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第133話 何故、佐藤須々岐は異世界へやって来たのか

「……案外街中にも神様っているもんですね」


色々聞きたいことや叫びたいこともあったが、結局ポンコツさんに対して口から出てきたのは何気ない世間話だった。


「都心とかは紛れやすいですからね~。

 印象がとにかく薄い外見で出かけると案外気づかれないものです」


のほほんとポンコツさんがのたまった。

ヴェルさんを隣におろして、ポンコツさんから貰った粉を竹のコップの容器の中で水に溶かす。

番茶……久しく飲んでないなぁ。


「どうぞ」


「ありがとうございます」


ポンコツさんがお茶を一口含んで口を潤し一息つくと、では、と早速本題に入った。


「お気づきの通り、私は佐藤さんが生まれた世界の神様をやっているものです。

 今回は佐藤さんへの状況説明と今後についてご相談したくやって参りました」


「神様……いたんですね」


「世界があればそこに神様は必ずいますよ。

 自然発生という言葉がありますが、その『自然』を作るのが神様ですから」


なんだか言葉狩りみたいな事を言い出した。

すると、ポンコツさんの隣に座っていたゴウさんが手を上げて発言する。


「先に言っておくぞ、サトウスズキ。

 俺やヌマ、メーテとこの方を一緒に考えるなよ?

 この方はこんなに丁寧な言葉使いをされているが創造神だ」


「へぇ~……」


「……お前わかってるのか?」


「あっ、はい。

 なんとなく……?」


正直頭が追いついてない気もする。


「あぁ、ポンコツさん呼びはさすがに拙いですかね?」


「いえいえ。

 元々私がそう呼んで良いと許しましたし、貴方がこの世界に落ちる不手際をやらかしたのも私のうっかりミスですから」


「うっかりミスって……そりゃあいくらなんでも謙遜しすぎですぜ……」


俺より先にゴウさんが頭を抱えた。


「我輩が質問するのもアレだが、何があったのだ?」


「掻い摘んで話すと、世界の境界線に穴を開けられたんです」


「穴?」


「はい。

 セキュリティ面には自信があったんですけどねぇ」


「つまり、スズキは穴に落ちてこの世界にやってきたのか?」


「ん~……宇宙空間に放り出されてこの世界に不時着したって表現の方が正しい気がします」


どちらにしろそれって……。


「ポンコツさんのせいではなく事故って事じゃあ……」


「いえいえ佐藤さん。

 その事故すら予測し、対処できなければ神様なんて務まらないのですよ」


どこまでも真剣にそう言い切るポンコツさん。

それだけで彼女は神様関係なく、凄く真面目な人なんだろうという印象を受ける。


「だから、佐藤須々岐さん。

 このたびは貴方を巻き込んでしまい、申し訳ございませんでした」


ポンコツさんは目尻に涙を浮かべながら深々と謝罪した。

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