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第123話 永遠の命

前話にて、高橋のヘイトを上げすぎてしまったためマイルドに改稿しました。


スケベ同人誌も描きあげたので本日から再開♪

「あぁ……どうしよう。

 どれから話せば良いんだ?」


高橋が頭を抱えているのを見据えながら俺は退路をどう確保するのかを考えていた。

だが、やはりそんなものはないのだろう。

どこまでも荒事に向かない自分が恨めしい。


態度に出ないよう、奥底で自己嫌悪していると高橋が顔を上げた。


「……よし、まずは質問。

 君は『永遠の命』を欲するかい?」


……身構えていたら変なワードが出てきた。


「それは……高橋氏のようにドラゴンになりたいか、という意味ですか?」


「違うよ。

 ドラゴンは確かに寿命が長い。

 種族によっては1万と2000年程度は生きる。

 でも不死ではないよ」


「じゃあ、アンデッドになりたいか、という意味ですか?」


「……概ねそうかな?」


「歯切れが悪いですね。

 でもアンデッドになるつもりはありませんよ」


古今東西アンデッドに良い印象がないというのもあるが、それ以上にアンデッドになった自分に自我が残るのかという問題もある。

さらに言えば人肉や血液を食うのはさすがに精神的な拒否反応が強いし、自我を保ちつつ人道的なアンデッドになれる可能性というのはいかほどのものなのだろうか。

正直、一発勝負の危険な賭けすぎてやる気も起きない。


「一応その他にも『神様に成り代わる』っていう手も取れる。

 もっと現実的じゃない方法だと、神様みたいな異世界人に身体を作り変えてもらうっていう事もまぁ……少なからず可能性があったりもする」


話が飛躍しすぎじゃありませんかね?


「神様に成り代わるっていうのは要するに……神様を殺してその座に座るって事ですか?」


「そうだね」


「そうだねって……」


「ヴェルフールさんの力を使えば不可能ってわけでもない」


マジですか。

あ、そうかヴェルさんって半神でしたね。

ヴェルさんってば神話のオーディンみたいな感じで成長する神様って立ち位置なんですかね?

とはいえ、


「やりませんよ。

 敵じゃないヒトを自分の欲望のために殺すなんてしませんし、させません」


「……なるほど。

 それじゃあ、神様みたいな異世界人に頼むのは?」


「それどのくらい現実的なんですか?」


「一応、俺はその人にドラゴンにしてもらったよ」


高橋がなんだか電波を飛ばし始めたんですけど。


「経緯は省くけど、そのお陰でハニーとお互い死ぬまで一緒にいられる。

 君も大体同じ理由で永遠の命が欲しいと感じたことはあるでしょ?」


「ええ」


考えないわけがない。

俺の寿命がヴェルさんと同じだったら、きっと彼女を悲しませなくてすむんだから。


「そのためにはどんな犠牲を払ってでも……って思わない?」


「それはないですね」


「……そこまでするほどヴェルフールさんを愛していないからって理由は……君の場合は当てはまらないね」


「そう決め付けられるのはシンプルに殺意が沸きますね」


「あぁ……うん。

 なんというかね、そこまで愛しているのにって思わずにはいられないんだよ」


「お金が欲しいからって理由で銀行強盗なんかしますか?」


「……あぁ、なんか凄く納得した。

 君は、君の死後ヴェルフールさんが自殺してしまってもその考え方を変えないね?」


なるほど、高橋氏が密談したがったのはこれが理由か。


「彼女が下した決断ですから」


「やっぱり話し合い済みかぁ。

 途中からなんとなくそうじゃないかって思ってたけどさぁ……完全に空回りだ。

 ヴェルフールさんには君の死後に別の(つがい)を見つけることも可能だと思うんだけど」


「それは考えましたけど、そんなこと百も承知でヴェルさんはそう決断したんだと思いますから。

 それに……正直なところ、ヴェルさんの決意を聞いたとき、とても嬉しかったので」


『老いがこようと死がこようとその程度で貴様と離れるつもりはない……』


告白の時の彼女の言葉を思い出す。

それだけで胸の辺りがじんわりと温まる。


「OK、ヴェルフールさんが自殺するのを止めようと思って君を騙して連れてきたのは悪かった」


「大半の人にとってそれは善意ですよ」


「そう受け取ってもらえるのはありがたい……ホントごめんね。

 あと、世界の敵にならないでいてくれてありがとう」


大げさな、と思いつつ、俺と高橋氏は飲食店で多少の買い食いをしつつ、時間を潰した。

ドラゴンについて彼の言っていたことは本当だったようで、太陽が高くなるに連れて噴水広場には少しずつ土だらけな農民風の出で立ちの人たちが増えていった。


……少し警戒しすぎていただろうかと考えつつ、それでもやっぱり単刀直入に言って貰えないなら警戒してしまうのも仕方がないと思い直し、高橋氏に愚痴っぽく小言を言いまくった。

これくらいの仕返しをしてもバチはあたらないだろう。

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