第1話 異世界に迷い込んで1週間が経過しました。
初投稿ゆえ、色々至らない点もあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
俺は佐藤須々岐、30才無職。
深夜にコンビニへ向かう途中でマンホールに落ちて、気がついたら異世界の森へやって来ていた。
ショルダーバッグを背負い、ジーパンとスニーカー、Tシャツ姿で森をさ迷うこと1週間……──。
「((ノ∀`)・゜・。 アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
──遂に精神的臨界点を迎えていた。
◇◆◇
「人すら居ない! こんな森! パソコンなんかあるわけなく!」
「電気もガスも水道もッ、食事だってありゃしない!」
「食べれるものも、分からない! キノコは一歩手前で食べようねッ!」
良く分からない即興ソングを大音量で歌いながらスキップで森を彷徨う姿はさぞ滑稽だろう。
暫く失意体前屈状態になって精神を落ち着かせたあと、ふと木上を見る。
そこには青白く発光している白い小人達がいた。
見た目がほぼまんまなので脳内で勝手にコダマと呼んでいる。
こいつらは俺が付近を通ると鳴子が如く、頭を揺らして、
カラコロコロ
と、不思議な音を鳴らすのだが、今は何故かそれをせず、全員が俺に顔を向けていた。
こんなことは初めてである。
顎の下をかきながら、考えをまとめ、四股を踏むポーズをとる。
結論、気にしたところで現状は変わらない!
そうとわかれば、俺は両膝に手をついた状態で1歩ずつ歌いながらあるきだした。
「でんでででんでんでででんで」
「シャーク!」
「でんでででんでんでででんで」
「シャーク!」
シャークと言うときに中腰のままガオー!とするのがみそだ!
これは観る事の叶わなかったサメ映画に捧げる鎮魂歌。
サメに対して歌詞は要らない。
一定のリズムを繰り返しながらシャークと叫ぶ。
これこそが至高。これこそが本能。
あぁせっかくの超大作サメ映画……出来るならこの眼で観てから死にたかった……。
そんな鼻声で唄にしかならないのでこのフレーズを繰り返しながらまた森を彷徨いだした。
ちなみに振り付けに深い意味はない。
死にそうなので死ぬ前に全身でサメを表現したいだけだった。
◇◆◇
不思議なことが起こった。
「でんでででんでんでででんで(こんころころこんこんころころこんころ)」
「シャーク!(ころん)」
「でんでででんでんでででんで(こんころころこんこんころころこんころ)」
「シャーク!(ころん)」
歌い続けること数分、この1週間座って音を出してるだけだったコダマ達が俺の真似を始めたのだ。
しかも俺のあとへ1列に並んでだ。
その姿を見た他のコダマ達もまた列の最後尾に並び俺の真似をする。
気分は笛吹男のパレードである。
このパレードはいったいどこまで続いていくのだろうか……。
そしてやめ時を失った俺はいったいいつになったらやめられるのだろうか……。
そんな状態で1時間ほど行軍したところで、俺たちの前に白いクソデカ狼さんが立ちはだかった。
クソデカ狼さんはクソデカ狼さんなのでとてもでかい。目測、ビル2階建て分くらいでかい。
「貴様らはなにをやっているのだ……?」
半ば呆れた様子で狼さんが尋ねる。
普通なら悲鳴のひとつでも上げて逃げるところなのだが、ぶっちゃけ逃げようがどうしようが死にそうな俺である。
相手と話せるとわかった俺に狼さんの声はまるで福音の鐘の音のように聞こえていた。
「どうかお水を下さい、狼さん……」
緊張の糸が切れた俺は、狼さんを目の前にして気を失った。
うまく投稿出来ていれば予約投稿を使っていきたい所存。




