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蝶は、暁を知らない。  作者: 白露 彩風
11/17

拾 境界(せかい)は戦乱の鐘を鳴らす


(貴方に救われたのも、こんな場所だったかしらね)

紫が感傷に浸っていると、張り詰めるような気配を感じた。

「ゆ、紫様...あれは...」

藍の慌てた声がした。その目線の先には、空がピキピキとひび割れていた。

「藍しゃま...お空が、壊れて行ってます!」

橙が藍の服を握って泣きそうな声を出していた。

「藍、封印の書を持ってきてちょうだい。橙、霊夢に言伝(ことづて)を」

紫は、この非常事態に驚くでも慌てる理由でもなく、ただいつも通りに式達に指示を出した。


ーーー

博麗神社では、橙の言伝を聞いた霊夢が身なりを整え、魔理沙も早苗も慌ただしく用意をしていた。

「れ、霊夢様...一体何が...」

「博麗大結界にひびが入って、壊れかけているの。私と魔理沙で、現状を確認して来るから、それまで千はここで待ってなさい」

霊夢は札や針の数を数え、袖に入れた。

「私も行かせてください!霊夢様のお手伝いを...」

「これは、弾幕ごっこじゃないの。幻想郷の住民皆の命がかかっている。千、私が出掛けている間、貴女がこの神社を守るのよ。ただの留守番じゃないわ。この博麗神社を覆う規模の結界を張って、ここに逃げてきた人達を守って欲しいの。大切な役目よ。千なら出来るわよね?」

霊夢は千夢の言葉を遮り、そして千夢に目線を合わせ、肩を強く握った。

「でも...」

千夢は今にも泣き出しそうな顔をしている。

「大丈夫。絶対戻って来るから」

霊夢は笑顔で千夢にそう宣言した。

「霊夢、こっちは準備出来たぞ」

魔理沙が霊夢に声をかけた。それに早苗も頷いている。

「分かった。じゃあ早苗、住民達の誘導と永琳への連絡頼むわよ」

「了解です。行きましょう、早季ちゃん」

「はい、早苗様!」

早苗と早季は博麗神社を後にした。

「橙、千を頼んだわ」

「うん!千ちゃん、頑張ろう!」

「うん...霊夢様、魔理沙さん、気をつけて...」

「えぇ」

「あぁ」

そうして霊夢と魔理沙は異変現場へと飛び去って行った。


ーーー

空を飛んでいる間、魔理沙は何度も横目で霊夢を見ていた。

「何?そんなにちらちら見られると気が散るんだけど」

「悪い...なぁ、霊夢。お前、この異変どう思うよ」

「さぁね。それを見つけるために、こうして現場に向かってるんでしょ」

霊夢は、そう言い放つ。

「何だか気味が悪いんだよ、この異変」

魔理沙はそう小さい声で言葉を零した。

「着いたわよ」

その一言で、魔理沙は思考中の脳内を目の前の状況を理解する方へ切り替えた。

「これは...」

目の前にあるのは、大きな結界から垣間見えるその先の未知なる世界だった。

「穴が大きくなってるわね。多分、結界の修復は紫と藍が作業に取り掛かってるわ。私達は暴れている妖怪がいないか見回りましょう」

「修復に向かわないのか?」

「きっと紫がいればなんとかなるわ。それより幻想郷の混乱を抑える方が最優先よ」

そう言って霊夢が再び前方に目を向けると、恐ろしいものが目についた。

「嘘...でしょ」

「何だ...あれは...」

それに、霊夢も魔理沙も言葉を失った。

そこには明らかに幻想郷の妖怪達ではない、【異世界】の妖怪達が壊れた結界から次々となだれ込んでいる様子だった。


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