エアスト2話 まさかの事実
エアスト2話投稿です。
「うっ、ここはどこだ」
意識が戻った俺が周りを見渡すと真っ暗な部屋だった。
「暗いけどなんか見えるな、肉体が変わったから暗くても見えるのか」
そう、実は俺の肉体は元の物と異なる体になっている。顔だけは変わらずそのままだがそれ以外は軒並み変わっている。まずは種族だが、俺は所謂ホムンクルスというのになっている。だから正式な生き物とは違うのだ。身長も15センチ程伸びているし、髪の毛も銀のような白のような色になっている......筈だ。一様願いがそのまま反映されているのならその姿になっている。
カチッ
周りを触っていると何かのスイッチを押して部屋に光がついた。光がつき周りがくっきり見えるとその部屋の異常性が目に見えた。まず第一にこの部屋は異世界と言うにはあまりに近代的であった。まるでSFの研究所のような雰囲気だった。
「つまり俺の体はここで作られたってことなんだろうな。でも、ある意味好都合かもな」
理想の自分とはホムンクルスになることだけではない。転生特典なんだから勿論チートも貰っている。俺が貰った特典は大きなものだと主に2つ、全属性魔法適性と魔導具士という職業の2つだ。全属性魔法適性はその名の通り全ての魔法の適性があるというもの。魔導具士は魔導具を作る為の職業だ。本来この世界にそんな職業はない。魔導具とは太古の神によって作られた
『神具』と一流の魔道士と錬金術士と魔工士が共同で作る『創具』の2つが全てで、魔導具を作る為の職業は存在しないらしい。しかし俺は特典で魔導具を作ることの出来る職業を手に入れ、更に全属性魔法を使うことでより幅広い魔導具を作ることができるようになったのだ。そしてこのまるで研究施設のような場所には色々な実験器具や薬品、異世界特有の物が数多く置いてある。ここにあるものを勝手に使えば魔導具を作ることが出来そうだった。
「さてしばらくはここに篭って研究三昧かな魔導具の研究とか魔法もちゃんと使えるようになりたいしな」
それから1週間程の間ずっとここに篭って研究を続けていた。魔法の研究や魔導具の研究をしているうちに俺は1つの大きな事に気づいてしまった。それは
「ホムンクルスの体じゃ魔法が使えないッ!!だと」
どれだけやっても魔法は発動しなかった。それだけならまだ慣れていないだとか使い方が違うとかも考えられるがその考えを、ここに置いてあった1枚の書類が打ち壊していった。その書類はホムンクルスについてだった。
『ホムンクルスについて
ホムンクルスとは錬金術と魔法工学と魔道を掛け合わせ作る人口の生命体である。錬金術と魔法工学で器を作りそこに魔導で活動するためのエネルギーを供給するのが大まかな流れである。但し活動するために莫大な魔力を用いるので魔法を使うことが出来ない。魔法工学が使われている為その肉体は純粋な生物ではなく体の所々に機械的なギミックが付けられている。これ1つで1種の魔導具と言える。』
つまり俺は全属性魔法の適性を持ちながらも魔法を使うことが出来ないことになる。そのショックで1日は立ち直れなかった。しかし魔導具を作る時には使えることが分かったので最悪の事態は逃れられたようだった。