2.初の会話相手が木の棒だった
「嘘だろ!? おい、HP真っ赤じゃねえかー!」
俺の雄叫びが洞窟内に木霊した。
残響が後を引いて、空気をウワンウワン震えさせる。
「HP3って何だよ! スライムにすら勝てねえよ! 1ターンで殺されるから!」
「避ければ良いじゃん。RPGじゃないんだからバカ正直に攻撃を受ける必要ないでしょ」
「そ、そうだよな! うわ、あせったー」
「あ、でも一応止血はした方がいいよ。傷口が開いたら、今度こそ出血多量で死んじゃうから」
床に広がる血溜まりを見て頷く。
「ああ、そうするよ。貧血でフラフラするもんな。心なしか幻聴まで聞こえて来るし......えっ?」
俺、いま誰と話してたんだ?
ギギギッと首を軋ませながら後ろを振り返るとーー
「!?」
ーーそこには誰もいなかった。
背筋をツゥーッと冷たい汗が流れる。
「誰が幻聴だ!」
そこでまた声が聞こえた。
「やっぱり誰かいる! どこだ? 隠れてないで出てこい!」
俺が虚空に向かって吠えると、憮然とした答えが返ってきた。
「ここだよここ。さっきからすぐ隣にいたでしょ?」
声のした方を振り向くが、やはり誰もいない。クラゲたちがのんびり宙を舞っているだけだ。
「違う違う、もっと下」
俺が床に視線を落とすと、
「へ?」
そこには木の棒が転がっていた。ちょうどうどんを伸ばすのに使う麺棒くらいの大きさだ。
おっかなびっくり安全靴のつま先で突いてみる。
「ちょっと、何で蹴るのさ!」
木の棒が抗議の声を上げた。
「き......」
「き?」
「木の棒が喋ったー!」
ポイント超欲しいです。
ブックマーク、評価、レビュー、感想よろしくお願いします。
もし間違っている所やおかしな点があったら、教えてくださると嬉しいです。
今後もよろしくお願いします。