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謁見

街に鐘の音が響き、地獄に朝の訪れを告げた。俺はベッドから体を起こし、顔を洗い今日の予定を確認する。今日は閻魔様に謁見する日だ。



 ここ地獄では上級の鬼たちが閻魔様の仕事の補佐をするために閻魔様の下で働き、それ以外の幹部、幹部候補生が一週間に一度閻魔様の下に行き、仕事で起こった問題、また進捗などを報告するのだ。俺も地獄学校を首席で卒業し、今の仕事に就いたためこの謁見に参加しなければいけないのだ。



 実は俺はこの謁見が苦手だ。いや、正直に言えば嫌いだ。この謁見には様々な種類、様々な年齢の悪鬼たちが集まるのだが、その中には地獄貴族が大勢おり、その悪鬼たちは自分の家の地位を守ることに執着しており、貴族以外の鬼が幹部になることを極端に嫌っているのだ。当然中にはそんな考えなんか持っていない鬼もいるのだが、ほとんどが自分の地位を大切にするような奴らだ。上級身分でもない俺は当然白い目で見られる対象だ。さらに運の悪いことに今の閻魔様は...


と考えていると目的地に到着した。

 閻魔城。いかつい外観は地上でいうところの西洋の城のような雰囲気だ。城は黒い岩のようなもので造られており、閻魔様の凶悪さを醸し出している。その入り口には巨大な門があり訪問者を圧迫していた。

 通称地獄の門。地獄で罪を犯した者は子の閻魔上に連れてこられるのだが、一度入ったものが逃げられないように頑丈で並大抵の鬼では傷一つ付けられないのだ。


 

 今日は報告会があるという事で門が開かれており、万が一の為に門の前には屈強な憲兵が並んでいた。俺はその中の一人に身分証明書を見せ、報告会に出席する旨を伝え中に入れてもらった。門が開いている今なら閻魔城に侵入できるかもしれないと思うかもしれないが、この憲兵たちは地獄の中でもトップクラスの戦闘能力を持っており、挑むだけ無駄という事なのだ。実際、閻魔城に連れていかれた仲間を助けるために百人規模の悪鬼たちがこの憲兵たちに殴り掛かったのだが、ものの十分もしないうちに悪鬼たちは皆殺しにされたという。


 そんな怖い憲兵さんたちの横を素通りし閻魔城に着くと、早速今日の報告会が開かれる会議室へと向かった。


 

 会議室に入ると、部屋の中にいた鬼たちがじっとこっちを見てきた。やっと来たのか、この貧乏人めという考えが含まれていることが一発で分かった。この報告会は多くの鬼たちにとって唯一の閻魔様と会うことのできる場のため、少しでも媚を売るために早く来ているのだ。実際俺が着いたのは最後だった。



 「遅いぞ、鬼川。」閻魔様の隣にいる悪鬼が口を開いた。俺はすみませんと言いながら、急いで自分の席に着いた。まだ開始の時間の十分前だぞ。


 「では、報告会を始める。」閻魔様が口を開いた。少し小柄なかわいらしい女の子、この子が今の閻魔様なのだ。

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