地獄
地獄。悪行をした者が死後送られるといわれている世界。苦しい責め苦を受けるとされる。素朴な世界観では、じめんのはるかしたに位置することが多い。
なるほど、これがニホンジンの地獄に対するイメージか。なるほど、なるほど...
どうやら今のニホンジンは地獄に対していいイメージは持っていないようだ。
俺はプリントを読み終わると顔を上げた。腰かけていたベッドから立ち上がり、部屋にある鏡を眺める。映るのはヒトの姿に鬼の角が生えた姿。俺だって好きでここに生まれたわけじゃないっつーの。
第三地獄世界日本支部。ここが俺の生まれ育った地獄だ。草木の全くない薄暗い世界。地上ではタイヨウというものがあり、世界を明るく照らしているらしい。どんな世界なのか思いを馳せながら、職場に歩いていく。
この地獄では様々な種類の生物が生活している。地獄で生まれ育った者、地上から地獄に落ちてきた人間、犬、猫などなどだ。地獄で暮らす生物たちは皆、閻魔様に与えられた仕事をしなければならない。それが地獄で絶対に守らなければならないルールだ。破ったものには相当な罰が下されるらしい。それこそニホンジンが想像する地獄のような場所に送られるのだ。しかしそのルールを破らなければ、痛い思いをすることなく快適な生活をすることができるのだ。
「新聞を。」職場の近くにある雑貨店で新聞を買うのが毎朝の習慣だ。この新聞には地獄での出来事の他に地上での出来事も書かれており、この記事を読むことで地上の出来事を知ることができるという事だ。このほかにも、地上で売られている本や雑誌、写真などが地上のことを知ることができる品だ。
「はいよ。」店主から新聞を受け取り、目を通す。不況に殺人事件、事故に汚職事件。いつも通りの二ホンだ。
職場に着き、二つ並んだイスと机の片方に座る。どうやら相方はまだ来ていないみたいだな。始業まであと一分というところで思い切りドアが開けられた。
「すいませ~ん!」肩で息をしながら職場に飛び込んできたのが、俺の相方だ。
金髪で碧眼。体系は地上でいうところのナイスバディ。つまり、大きめの胸にくびれた腰ということだ。しかし、彼女の背中には白い翼があり、頭の上には白い輪が浮かんでいる。
つまり彼女は天使なのだ。