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なな かっこわるぅ!

わぁ!ブックマーク数が100件超えてる――!!

嬉しいです!ありがとうございます!評価にも感謝です!

 ドンドンドンドン!!


 ふっと扉を叩く音に眼を覚ます。


 来たか?


「フィアレインさま!!」


 ソファの上に起き上がる。シャルドの声…。


 立ち上がりかけて、思いとどまる。フィアレインはそんなに簡単に出て行かないかな~。座ったまま、しばらくドアを見つめる。


「フィアレインさま!!なぜ、セレナさんの花を…?!」


 ぶっ!!吹き出しそうになって、慌てて口を抑える。


 (フィアレイン、すげぇ!第一声が一言一句違わず予測のまんま!)


 おっと、こほん!口が悪い悪い。


 ちらっと時計を確認する。


 (時間まで予測通り…!)


 さて、と…。立ち上がってドアに向かう。足元は見ません。ええ、もちろん!!なんだか、ぶちっとした何かを踏んだような…?いや、気のせいだ!!うん!見たら、おしまいだ!


 どさどさと本を横に落とす。

 無理やりこじ開けるが、本が邪魔をして、ほんの少ししか開かない。

 ドアの隙間からシャルドの顔が少し見える。


「フィアレインさま!!」


 …うるさい!!寝不足の頭に響くんだよ~。キンキンする。


「…うるさい」


 睨みながらそう言うと、シャルドはびくっと肩を揺らす。


 (この反応!!ふきだしそう…!でも、我慢我慢!お腹抱えて笑うとか…フィアレインのイメージじゃないし!!)


「朝から怒鳴るな。頭に響く」


 シャルドは何かを言おうとしたが、そのまま口を噤んでしまう。


 視線を下に向けると、シャルドは食事を乗せたお盆を持っている。


 …食事は従者が作れと言ったのに、いつもと同じか…。


「お前が作れと言ったはずだ」


「お…私は料理をしない方がいいと思います!セレナさんが用意してくださいました」


「…」


 無理やり押し広げた隙間からお盆を受け取り、じっとシャルドを見る。


 茶色の髪、茶色の瞳。幼いが、どことなく見覚えがある顔。


 (かわいい顔だよね~。感情が顔に出すぎな気もするけど…。フィアレインのこと『嫌い』だって顔に書いてあるよ~?)


「…料理ができなくとも、昼はお前が作れ!いいな?」

 


 シャルドは真っ赤な顔で口をパクパクさせていた。けど、さっさと扉を閉めて、本を元の通りに扉の前に積み上げる。

 手に持ったお盆にはまだ温かいスープとパン、フルーツが乗っている。そのお盆に急に、ボッと炎が上がる。


「さ~て、どんなものができるかな~♪」


 食器までも炎で燃やし尽くし、私は笑みを浮かべる。手には何も残らなかった。


 (まぁ!なんてこった!悪者のようになっているよ~!って、悪役だったよ、私!あ!これ、記憶取り戻して初魔法じゃないか!!)


 微妙な心境になってしまった。初めての魔法が…ただの残飯処理とか…!


 はぁと深ぁ~いため息をついてしまった。


 (かっこわるぅ!)



 ちなみに、魔法についてだが…。この世界にある魔法は『自然的』なモノの力を増幅させる。といった使い方が一般的だ。火種を大きくしたり、つむじ風を竜巻にしたり…。つまり、火種やつむじ風と言った自然の『モト』がなければ、それに『魔力』を注いで『魔法』として使用することはできない。


 では、先ほどのフィアレインの魔法は?と言うと、これこそが、フィアレインが『天才』とも言われる所以だ。


 (誰も言ってくれないから!自分で言っちゃうさ!!)


 フィアレインが、火を付けるのに使用する『モト』は、物と物とが接触した時に起きる摩擦だ。だが、それを利用することは、長年魔法研究者たちが追い求めてきた究極の使用方法。それを、10歳のフィアレインが簡単に使えてしまう。って言うか、チートだ!チートすぎる!さすが、最大の敵!ラスボス!チート感が半端ない!!


 (使えることを知っている人はいませんけど!話す人なんていませんけど!引きこもりのぼっちですけど!!それが何か?!)


 そして、火だけではない。空気中の水を、身体に付いた砂を、息の風を、そんなものを利用するフィアレインの魔法は、強力で、恐ろしいまでに緻密だ。緻密すぎるからこそ、さっきのように手の上で火を起こしても、火傷もしない。


 ふつうはそんな小さなもので魔法は発動させられない。だから、普通の魔法使いは火打石と水筒を常に持っていたりする。…なんか、かっこ悪いよね。まぁ、それを持つのは『もしも』の時、魔法石が損失してしまった時のための予備なんだけど…。


 (いや~!もしもの時に火打石でカチカチやってるの見たら、きっと爆笑してしまうわ!)


 魔法使いが持っているのが、魔法石が付いている杖だ。単純に魔法が入っている石ね。市販で売っている魔法石に魔法を入れておくんだけど、これが面倒くさいものなんだよね。小さい真珠大くらいの大きさから手の平の大きさの石まである。中に入れているのは『モト』になるもの。例えば、火が周りになくてもその中に入れている火の『モト』を『魔力』によって発動させて、『魔法』に進化させる。つまり、この石がない魔法使いは完全に役立たず…こほん!ちなみに、その魔法石。魔道具や魔法武器を作るのにも使うんだけど…説明が長くなるから、省略!


 言ってみれば、ヒロイン・リリーのように魔力の量が多くても、あまり意味はない。量はある程度は必要だが、求められるのは正確さ!小さな『モト』からどれだけわずかな魔力で正確な魔法を発動できるかにかかっている。



 そして、そんな使い勝手の悪い『魔法』の…例外中の例外も存在する。



 自然の属性も何もかもを無視した、属性不明の魔法。それは、脅威にも成り得る異質の『力』。



 


 (かっこ悪い使い方をしたのは、仕方がない!忘れよう!私はポジティブなおん…男!) 

 

 と言いながら、落ち込みつつ、すごすごとソファに戻る。さ~て!



「まずは…シャルドを手懐けることから始めましょ~!」


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