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いち なぜこいつ?!

 新しく始めました!よろしくお願いします。


 乙女ゲーム転生ものって面白いですね~。気が付けばブックマークがそればかりに。ちょっと流行りに乗っておこうとか、そんなことは全然…あるようなないような…?乙女ゲームしたことないので、ちょっと手探りで亀更新です。

 暗い部屋。


 あまり広くないその部屋は、おぼろげに光るランプに照らされていた。


 趣味がいいとは思えない。むしろ悪趣味…いや、本当に人間の部屋なのかと言いたくなる部屋。地下の部屋であるせいか、少しジメジメしている。本が高く積み上げられ、怪しげな色の液体の入った瓶がそこらじゅうに放り出してあり、部屋の中心にはベット代わりのソファ。だが、ホコリが少しつもり、怪しげな液体がかかったのか、ところどころ変な色に染まっている。明らかにさっきまで寝ていたソファだが…なんでこんなところで眠れたのか、自分のことながら、その神経を疑いたい。

 空気も淀んでいるし、なんの匂いだと問いたくなるくらいの臭さ。臭いに慣れてるから平気なのか、普通の人なら気絶するレベルだろう。明らかに空気の色がうす~く紫色に見えるのは絶対に気のせいじゃないし、変な幻覚が見えているわけでもないと思う。


 (病気にならない頑丈さに感謝なんかしない!)

  

 足元を見ると、踏み場がないほど敷き詰められた本の上にくっきりと足跡が見えるのも、カサカサという黒い悪魔だけでなく変な虫が見えたような気がしたのも、気のせいだと思いたい。


 (踏み場がなければ、踏めばいいとか…本の神さまに謝れ!)


 この部屋の汚さもだが、なにより…。眼をやりたくない物体が部屋の隅に積まれている。液体の入った大きなビン…中身は、見たくないから、説明もしません!!理科室にあるようなものだと思ってて!!



 思わず頭を抱えてしまう。




「……なんてこったい」




 ようやく、辺りを見回して、それだけをしぼり出す。


 神さま…、これは夢ですよね―???


 いや、切実に夢であってほしい!早く眼をさました~い…泣








 眼が覚めたのは、ついさっきの話だ。

 

 当然ながら、寝ていたのだろうソファから起きた瞬間、部屋を見た瞬間、鳥肌が全身に立ちました。そりゃあ、もう。全力で逃げ出したくなるぐらいきったねぇ部屋ですよ。清潔な国、ニッポンで普通に育った普通の女子大生に、どんな拷問?!とか、泣きそうだった。


 (なにこれ!誘拐?監禁?きったねぇぇぇぇ!!!)


 おっと、こほん!女子らしくない叫びを…。思わず、大絶叫で叫びたくなるほどの衝撃だった。


 自分の状況が即座に理解できなくて、きったねぇソファに中途半端に座ったまま、しばし固まった。


 固まったまま、状況を整理してたら、私のだけじゃない記憶が頭の中に存在していたわけなんですよ。


 ん?なんじゃこりゃ?


 と、疑問に思っていたら、なんだか急に理解した。妙に冷静になってしまう原因もわかった。


 さすがは、今世の私!稀代の天才!


 (自分で言っちゃうと、うすら寒い…。)


 前世の記憶と今世の記憶を頭の中で、綺麗に整理しておくなんて!


 (頭の中は整理できるのに、なぜ部屋は整理できない?!)


 でも、前世の私が強く出ているのはなんででしょ―??


 (おーい、今世の私――!どこいった?!)




 おっと、皆さまを置いて、1人で勝手に納得してしまうところだった!


 まぁ、つまり…流行りに乗っかって、やっほい!異世界転生だーい!!


 …ってわけなんですよ。


 え?そのわりに、テンションがおかしいって?


 まぁ、前日までニッポンの家のコタツでお雑煮を食べていて、その後の記憶がないんですよ。死んだのか?むしろコタツで寝てしまって見ている夢だと思いたい…。でも、今、ここにいると言うことは、死んだとみてもいいかもしれない。


 (餅か?餅を詰まらせたのか?)


 ちょっと今世いまの私の認識が悪いせいなのか、正確な歳を数えられないのが残念だ。たぶん、10歳くらいだと思うんだけどな~。


 なんで、いきなり記憶が戻ったかってのは…今の私の変な研究のせいだ!


 それは、おいおい説明するとして…。


 (この世界に普通に輪廻転生の概念があることにびっくりだわ)


 受け入れるの早すぎって?


 オタク要素が若干ある前世の私と冷静が服着て歩いているような今世の私。


 それなりに小説やら漫画やらアニメやらゲームやらをやりまくっていたから知識として十分すぎるくらいあった。しかも、全力でパニックを起こそうとしたら何の補正か、そんな感情があっという間に消えてしまう。


 (むしろ、冷ややかに受け止めてしまう…)


 くっ!私の感情まで冷静になっている!恐るべし!今世の私!!


 (何この子…こわい…)


 まぁ、そんなことはいいんですよ!たいしたことじゃない。


 (あれ?おかしい!流されてる?)





 ところで、皆さんは乙女ゲームって知ってます?


 おもしろいですよね?いろんな種類があって、いろんな結末があって…。


 まぁ、詳しくは省くんだけど、実は私には前世で激ハマりしたゲームがありまして…。


 ミステリー的な要素も含みつつ、若干現代に近いヨーロッパ的な魔法の世界で主人公が魔法学校に入り、きゃっきゃうふふするよくありがちなゲームでした…。言ってみれば、ハリー○ッタ―のような世界?



 何が言いたいかは、お察しの通り!!


 そんな世界への転生です!!


 タイトルは…え~…。なんだっけ?思い出せない。


 まぁ、いいや。


 とにかく、そんな世界への転生…。


 大好きなゲームだったのに、私の気分は最悪!!


 世界の悪意を感じるよ!!私が何をした!!


 私の役どころ?当ててみてくれ!




 ヒロイン?


 (それなら全力で喜んでるっての!むしろ小躍りしちゃうよ!)


 サポートキャラ?


 (いや、それでも、普通に喜ぶし。第三者視点バンザイ!だよ)


 悪役令嬢?


 (そう言うキャラもいたな~。高飛車、傲慢、高圧的、典型的な貴族のお嬢様。それでも、大喜びしちゃいますけど!今の私と比べたら、泣いて喜びますけど!!)


 女性モブ?


 (むしろ、今からでも間に合う!!モブにしてくれ!100%マシですけど!!)



 

 じゃぁ、ここでヒントを…!


 …頭を抱えていた理由にもつながるんだけど、今世の記憶を見る限り…。



 ぺったんこの胸…。10歳だしね…。


 (おい!どこのどいつだ?!前世と変わらないって言ったやつ!!表でろや!)


 そして……下半身の違和感!


 (ふふふ…!受け入れられるわけないよね~。ささやかながらあったものが消えて、なかったものが…ごにょごにょ…)


 


 現在の私の性別…『男』。




 そう…、『男』なんです。




 何たる試練…!!



 女子大生!『女』だった私がある朝(?)、急に『男』へとシフトチェンジ!!


 (小学生の時、いつか父親と同じものが大人になったらはえてくると思っていたが…そんな状態か?)


 悲劇…。いや、喜劇か…?もう、むしろ笑ってください!


 むしろ、私が笑っちゃう!!


 だから、ヒロインでも女性サポートキャラでも悪役令嬢でも、女性モブでもあるわけがない!



 では、なにか…?





 攻略対象?


 (うん…!それでも、喜んじゃうかな?今の状況より200%マシ!!女性に恋できるのか疑問ではあるけど…だからって、男になったからか男に恋とか無理です!)


 男性モブ?


 (それ、女性モブと同じ感想だね)



 こうなってくると、その人たちに生まれ変わった人はなんて運がいいんだろう。



 わからない?では、答えを…。


 よく思い出してほしい。


 さっき私は「ミステリー的な要素も含みつつ、剣と魔法の世界で~」と言った。


 この…「ミステリー」が最大のミソだ。


 話の所々に学園で起こる連続殺人。殺されるのは、学園の生徒だったり、一般人だったり…。選択肢を間違えると、主人公が殺されたりする。その犯人を追いかけつつ、恋愛を育んでいく。一般的かどうかはよく分からないが、ありがちなゲームだ。



「私の名前は…」



 このミステリー要素を含む、乙女ゲームの最大にして最悪の敵。


 ファンから、ゴキブリのように蔑まれ、一部ファンから熱烈に愛された、稀代の…ごにょごにょ…。



 

 こほん…。稀代の…快楽殺人者であり、死体愛好家ネクロフィリア


 

 

 フィアレイン・レグド・ガーナード。



 その人だったのだ。



 

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