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第一歩、踏み外した

BL的表現があります。

苦手な方はご遠慮下さい。


ホームルームも終わり、危ない変人を振り切った俺は自分が寝泊まりする部屋にやってきた。

寮生活とかどうしよう結構緊張するわー。

なんて初々しい気持ちを抱けるほど俺若くねえし。きゃっきゃしてる周りの奴らが近所のがきんちょに見えるよ。

「別にいいんだ、俺にはヒエがいるから」

むしろそれ以外に手を出したら大変なことになる。主に俺が。

しかしそれにしても部屋が広い。かつ豪華だ。名門学校凄すぎる。でもソファーが革製とかやりすぎだと思うんだ。ベッドが天蓋付きとかもうラリってると思うんだ。その天蓋ベッドに堂々と仰向けに寝そべっちゃってる俺流石じゃね?

いきなり腹の上にヒエが乗っかってきたせいで「ふんぬぅあ」という奇声を発してしまった。腹筋鍛えようかな。

「どうした、ヒエ」

「眠い。撫でろ」

きたこれデレ。

「ここは人間が多すぎる。お前に触りやがった野郎もいる。殺していいか」

きたこれヤン。

ヤンってのはあれだ、病んでる部分みたいな。俺が今考えた。

「落ち着けって。俺ももうヒエ以外に触らせないようにするから。今回は見逃してやれよ」

宥めるように優しく毛並みを梳く。こいつが好きな耳の裏も撫でればゴロゴロ喉を鳴らしてご機嫌になった。ちょろい。でも可愛い。

俺も少し寝ようかな。夕飯までまだ時間あるし。

あー、腹がぬくい。




***




目が覚めたら人型になったヒエが俺にのしかかってたんだけど。どゆこと?

「っち、」

「おいこら何だその舌打ちは」

一体何をしようとしてたのかは聞かない方がいいと俺の本能が警告している。つまりこいつは俺の本能が警告するようなことをしようとしてたワケで・・・。

駄目だ考えちゃ駄目だ、うん。

「さっさと狼になれ、食堂に行くぞ。飯だ、飯」

別に自分で作ってもいいんだけどめんどくさいし学食がどんなもんなのか興味もある。好奇心はなんちゃららってやつだ。

あれ使いどころ合ってるよな?

部屋を出て鍵を閉める。無くしたら大変だからヒエから貰った首輪改めチョーカーの上から首にかけとく。ネックレスみたいだ。俺ってばオシャンティ。

覚えたての道を肩にヒエをのせながら進む。広すぎて迷子になっちまいそうだ。

「迷子になるなよ」

「・・・」

ニヤニヤしながらヒエが茶化してくる。

笑ってるんだろうけど牙が剥き出しで歯茎まで見えちゃってる。俺は付き合いが長いから笑ってるんだなって分かるけど、これ知らない奴が見たらマジで喰らう五秒前って感じだろうな。

現にほら、今すれ違った男の子が二度見からのガン見してきてるし。顔真っ青だけど大丈夫かな。確かにちっさくなったとは言え、ヒエの迫力は結構なもんだ。

俺からしてみれば可愛いの一言に尽きるんどけど。


「お、あれじゃね?」

廊下の突き当たりに表開きの大きな扉がある。

フォークとナイフの装飾が施されているからここが食堂でまず間違いない。

そう言えばペットって入ってもいいんだろうかなんて考えながら扉を開いたら、思った以上に力が入ってしまい、バタンならぬガタンと大きな音を立ててしまった。

静まる食堂。集まる注目。やらかした俺。


あちゃー。







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