自己紹介は二文字で
長らく間が空いてしまいすみません。どうもモチベーションがあがらず。
単純ですので感想頂けたらあがるかもです。
批判的なものはご遠慮します。ヘコみます。
月日が経つのは早いもんで、俺はあっという間に12歳になった。つまり、学校に行けるようになったっつーことで。
今はその、入学式の真っ最中だったりする。
この学校は所謂中等部なんだが、入学するためには試験を受けなきゃなんねえ。そこでいい成績を残せば授業料と単位が免除されるという夢のような特価つき。ンなアホな。
貴族の人も通っているほどの超有名かつ名学校らしい。
んで、一番大事なのがペットの持ち込みがおーけーなとこ。だからヒエはこの学校を選んだんだろーな。
体の大きさは限定されるけど、賢ければいいよみたいな。その賢さの基準何。それは主への絶対の忠誠と暴れないこと。
いや訳わかんねえからと突っ込んだ俺は普通だと思う。
現在、長ったらしい話しを聞き流している俺の右肩にはちっさい狼。ヒエ鎮座。
俺のペットになってる。
図体の大きさは自分で調節したとか。青い猫ロボットのライト機能をそんな自由自在に使えるヒエすげえ。俺のペットすげえ。でも、俺が他の人と喋ろうとすると首に噛みついて阻止して来る過激さも兼ね備えている。その目が訴えていた。友達作るな。俺も訴えた。首モゲル。
最後に偉そうな生徒が挨拶をして入学式は終了。
となれば教室に行くわけで。
その時に周りをちらりと見たら意外とペット連れてるヤツは少なかった。
それにしても皆からの視線が痛い。女の子は分かるんだ、確かに俺イケメンだし、色気パネェし。でも何故野郎共まで俺をきらきらな目で見る!あれか、兄貴かっけえ!みたいなノリか。嬉しいと言やあ嬉しいが、俺はそれを全部無視しなければならない。目が合っても無視。手を振られても無視。声を掛けられても無視。腕クイクイされても無視。すまん許せ、俺の癒やしのためだ。だってほらお前、ヒエを見てみろよ。俺が無視する度、嬉そーに満足そーに顔を擦り寄せてくるんだぜ?
か わ い す ぎ る !
もういいや、俺。友達とかもういいや。萌えの方が大事。ヒエ最高。
俺のクラスは5組だったからそこに入って席の確認。名字みたいなのはないからムトのムで、窓側の後方の席になった。ナイスチョイス。
ちなみに俺のように名字がないヤツもそれなりにいた。さほど珍しくもないらしい。
担任らしきおっさんが教室に入ってきて、軽く自己紹介をした後、おまえ等も自己紹介しましょー的な流れになった。まじかよ、俺そーゆーの苦手なのに。
廊下側の前から順にセンセーに指名されて起立。名前とか好きなもんを言って着席。
友達いーらねってなった俺が聞いてもしょうがないからから、ずっとヒエと戯れてた。喉を撫でてゴロゴロ。耳裏を撫ででゴロゴロ。
かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいもっふもふかわいい!
ごほん、ちょっと狂喜乱舞してしまった反省。
「じゃあ、次の人」
あ、俺だ。
立ち上がろうとすればヒエからの熱い視線が。うん、目は口ほどにものを言うってまさにこれだな。よろしくなんて言ったら首かじかじの刑だ。分かってんだろうなてめぇと、ぎらつく瞳でヒエに睨みつけられる。あいよちゃんと分かってるから。信用しろっつうの。
軽くヒエの頭をポンポンして今度こそ立ち上がる。
うーわ、視線が。視線が。
「ムト」
俺の自己紹介終わりですけど何か?
教室が変に静まり返った。けど俺はそんなもん気にしねえぜと席に座る。
ヒエにどんなもんじゃいと笑ってみせればどうしてだろう、周りから悲鳴が上がった。
「すっごいねー、あんた。どんだけ色男なの」
なんか前の席のチャラいイケメンくんが話しかけてきたんだが。しかし俺は返事をしない。ただイケメンくんの茶色い瞳を見返すのみである。左手でヒエを撫でながら。
「クールだねえ。無愛想だねえ。やばいわー、超かっこいいんですけど」
興奮気味に言われても困る。俺困る。すかし野郎うぜえんだよとか思われるのは仕方ないとしても、カッコイいって何だ。君の方がルックスいいぞ。俺もいいけど。
「ムトくんだよね、俺はハウロ。これからよろしく」
なんてフレンドリーいい子。でもゴメンナサイ、ヒエが唸りながら俺の指甘噛みしてるから返事出来ない。これ何か言ったら指パーンてなる。つか、唾液が。後で手、洗おう。
意識してゆっくりと瞬きする。俺なりのよろしく。友達は無理だけど知人なら大丈夫だろ。
「カーーーッ!!色男!いい!美しいよ!!溢れ出るエロスが堪らんね!」
正気か?
もしかしなくてもあれだ、危ない人ってやつだこれ。
変人もドン引きな変人とかなにそれ怖い。おれ知ーらね。知人?んなもんポイだ、ポイ。ヒエですら困惑オーラだしてんだぞ、あの人間皆生ゴミ思考のヒエが。初めて見たわ。
そもそもなんでヒエがこんなとこにいるのか。
アンサー、この学校が全寮制だから。
家に帰れねえってことは、ヒエとも会えないことになる。それを知ったヒエが一言、なめんなとか言ってついて来た。人間嫌いなくせに強がっちゃてよぉ。どんだけ俺好きなんだよと冗談で聞いたら喰い千切りたいくらいというバイオレンスな答えが返ってきた。俺死ぬじゃん。
中身ちょめちょめ歳な俺にとって、学校の入試は簡単なものだった。簡単つっても魔法学とかイッツ・ア・ファンタジーなことも学ばなきゃいけなくて、勉強自体は何気大変だった。ヒエに教えてもらってなんとかなったが。
そして特待生になった俺は夢の特価つきで入学したのである。