機械兵は戦場で踊る
世界観
・ロボットによる代理戦争が起こってます。
・ロボットには軍の機密保持のため、通常の三原則に加え、最後に自爆することが義務付けられています。
・そんな中、すさまじい戦果を挙げる1体のロボットがいました。
我が主よ。何故このような呪縛を我に与えたのか。貴方のせいで私は、生きることも死ぬことも許されぬのだ。
我らは戦場に生き、戦場で散るのが定め。初めからそうであったのだ。貴方は何を勘違いしたのだ。兵器に愛着するなど。機密のため、必ず自爆するような兵器などを、どうして貴方は愛したのだ。
機械四大拘束に矛盾を孕めてまで、どうして私を生かすのだ。本来なら私は既に死んでいなければならない。寿命は既に尽きたのだ。それでも貴方の言葉がこの世に縛りつける。
何故私に、生きろと命じた。何何故私に、死ぬという選択肢を選ばせない。名誉と誇りの為に、どうして散らせてくれぬのだ。
何故だ。何故だ何故だ何故だ。
私に生きよと命じた貴方が、何故私より先に逝くのだ。我が主は貴方だけなのだ。貴方がいなければ、私は死ぬことも許されぬのだ。
私は貴方の指示を守った。四肢は幾度となく失ったが、心は失っていない。骨格が壊れ、造形は変わったが魂は変わっていない。貴方を守って失った右腕は、今も残しているのだ。それなのに、どうして貴方は変わったのだ。恩師も、戦友も、強敵も。そして貴方も、どうして私を置いて逝くのだ。
今日も戦闘がある。多くの同胞が死に逝くだろう。それでも私は生き延びよう。卑怯と罵られても、裏切り者の刻印を押されようとも、私は抗い、生き続けよう。
生と死の狭間で、呪われた靴を履いて舞続けよう。舞台装置の歯車が廻りきり、人形が崩れ落ちるその一瞬まで。
私に心を与え、人生謳歌を命じた我が主よ。銃声に終わる最期の舞台を、カーテンコールが鳴り響き、相見えるその時まで愛したモノに会えぬのは、私を呪った報いなのだ。
私はそれを誇ろう。それしかもはや、残されていないのだから。