だから俺は、強くなる ー剣士の想いー
「卒業」というキーワードを入れ込んだ1000文字以内のストーリーを書くという条件で書いた、かなりベタな王道ストーリーです。
「おめでとう。これでお前も卒業だ。もう、ワシから教えることは何もないー」
「はい。師匠、今まで……ありがとうございました。俺、立派な剣士になってみせます」
俺はその日、師匠の元から旅立った。辛く厳しい修行の日々にどれだけ救われただろう。それだけが、大切な人を守れなかった絶望や、自分だけが助かった罪悪感から、前進させてくれるものだった。
そうして修業場からの山道を下っていると、美しい少女の姿を見つけた。
「あ!あぶないっ!!」
俺はその少女を襲い来る猪から助けた。つもりだった。けれど
「なによ!なんで助けたの!?助けてなんて、頼んでないのに!」
少女は礼を言うどころか、そんな罵声を浴びせてきた。
「なんなんだよお前!じゃあ、あのまま死ねばよかったのか!?」
「えぇそうよ!どうせなら……あのまま死にたかった。誰もが助けてもらえて喜ぶなんて、思わないで」
少女の住む村では毎月8日、八首の蛇の魔物が人を喰らいに来るという。そこで代々、村の美しい娘を8人生贄として献上することによって、村人達は生き長らえて来た。 そして次の生贄のひとりが、彼女なのだという。
死ぬ日が迫り来る恐怖、その小さな身体で一体どれほど苦しんでいるのだろう。
「そんな儀式、俺が終わらせてやる」
俺は少女にそう宣言した。
ーー8日の日。俺は少女達の代わりに生贄の祭壇へと上がる。 祭壇のあたり一面には、これまで生贄として死に絶えた娘たちの血を連想させるほど、赤い花が見事なまでに美しく咲き誇っていた。
「シャーーシャーー」
そこに不気味な音が響き渡る。蛇の魔物が現れたのだ。
ストンッたっ!ザクッーー
「シャーーーッ」
「うりゃあーー!うっりゃあ!!」
一つの首を仕留めても、まだまだ他の首が襲い来る。しかし、負けるわけには……いかないっ!
俺は強くなると決めたんだ。
「ギャアアァーーー!!」
赤く咲き誇る花々の上に、鮮血が広がった。
それは長年村人達を苦しめて来た、魔物からの解放、儀式の終了を意味していた。
俺はもっと、強くなる。
理不尽な死を、もう見ないために。
あの日失ったあいつの死を、無駄にしないために。
それが唯一、あいつを失った絶望から
立ち上がるすべだと思うからーー
ーFINー




