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だから俺は、強くなる ー剣士の想いー

作者: 心花
掲載日:2013/03/10

「卒業」というキーワードを入れ込んだ1000文字以内のストーリーを書くという条件で書いた、かなりベタな王道ストーリーです。




「おめでとう。これでお前も卒業だ。もう、ワシから教えることは何もないー」


「はい。師匠、今まで……ありがとうございました。俺、立派な剣士になってみせます」


俺はその日、師匠の元から旅立った。辛く厳しい修行の日々にどれだけ救われただろう。それだけが、大切な人を守れなかった絶望や、自分だけが助かった罪悪感から、前進させてくれるものだった。


そうして修業場からの山道を下っていると、美しい少女の姿を見つけた。


「あ!あぶないっ!!」


俺はその少女を襲い来る猪から助けた。つもりだった。けれど


「なによ!なんで助けたの!?助けてなんて、頼んでないのに!」


少女は礼を言うどころか、そんな罵声を浴びせてきた。


「なんなんだよお前!じゃあ、あのまま死ねばよかったのか!?」


「えぇそうよ!どうせなら……あのまま死にたかった。誰もが助けてもらえて喜ぶなんて、思わないで」



少女の住む村では毎月8日、八首の蛇の魔物が人を喰らいに来るという。そこで代々、村の美しい娘を8人生贄として献上することによって、村人達は生き長らえて来た。 そして次の生贄のひとりが、彼女なのだという。


死ぬ日が迫り来る恐怖、その小さな身体で一体どれほど苦しんでいるのだろう。


「そんな儀式、俺が終わらせてやる」


俺は少女にそう宣言した。


ーー8日の日。俺は少女達の代わりに生贄の祭壇へと上がる。 祭壇のあたり一面には、これまで生贄として死に絶えた娘たちの血を連想させるほど、赤い花が見事なまでに美しく咲き誇っていた。


「シャーーシャーー」


そこに不気味な音が響き渡る。蛇の魔物が現れたのだ。


ストンッたっ!ザクッーー


「シャーーーッ」


「うりゃあーー!うっりゃあ!!」


一つの首を仕留めても、まだまだ他の首が襲い来る。しかし、負けるわけには……いかないっ!


俺は強くなると決めたんだ。


「ギャアアァーーー!!」



赤く咲き誇る花々の上に、鮮血が広がった。

それは長年村人達を苦しめて来た、魔物からの解放、儀式の終了を意味していた。



俺はもっと、強くなる。

理不尽な死を、もう見ないために。


あの日失ったあいつの死を、無駄にしないために。


それが唯一、あいつを失った絶望から

立ち上がるすべだと思うからーー






ーFINー







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