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今日で卒業

君との距離は15cm。


 クリスマス、寄り添って歩くカップルの距離は2cm。


 学校帰りの私と君ー佐々木 裕太ーの距離は15cm。


 家族ぐるみで仲がよい私と裕太は幼馴染。


 運動神経抜群で優しい裕太。

 

 運動が苦手で人見知りの私、藤沢 恵。


 正反対の君に私は、恋した。


 目が合うとドキドキ。


 手が触れると心がフワフワ。


 高校2年生の私と裕太は今日も15cmで歩く。







 人の多い商店街を抜け、いつも行くスーパーに寄る。


「玉ねぎ、にんじん、カレー粉、きゃ。」


 かごの中身が重く、バランスを崩した。


「恵。気をつけろよ。」


 私より17cm高い裕太は優しく支えてくれた。


 色白の整った顔はまるで王子様のよう。


 すらっと伸びたモデル体型は女子に人気がありそう。


 私は近くの高校へ。


 裕太は電車で30分の名門高校へ入学した。

 

 小中と一緒だった裕太と初めて別の学校に通うことになる。


 少し寂しく、少しわくわくしていた。


 帰宅部の私は出会いも少なく、次々へと彼氏ができてゆく友達を見ているだけ。


 別に彼氏なんていらないと思っていた。


「何してんだよ恵。早く来いよ。お前、迷子になるぞ。」


 少しからかう様に笑う裕太。


 初恋。


 私は初恋というなの病にかかったのだ。







「今日はちょっと買いすぎたかな。」


 私は裕太の方を見る。


 お前には多すぎると言って半分持ってくれた。


 無意識に優しくされると困る。


 無意識の優しさはきっと、ほかの女の子にもしているんだろうと考えてしまうからだ。


「自分で持つ。私ん家のものだから。」


 裕太から奪い返そうとしたとき足がすべる。


「きゃっ!!」


 またしても、裕太に受け止められる。


「ごめん・・・・。」


 しょんぼりした。


 こんなところ見られたら何もいえなくなる。


 最近、裕太の前で恥ずかしいと思うときがある。


「やっぱり俺が持つ。さっきみたいに転ばれちゃ困るからな。」


 そういって私の前を歩く裕太。


 いつもより大きく見えて、いつもより好きになった。








 もうすぐで家に着く。


 やっと家に帰れると思ったとき。


「えっ?」


 急に裕太に手を引かれ人通りのない路地裏に連れて行かれた。


「何。怖いよ裕太。」


 いつもなら15cmの距離が10cmになった。


 私が裕太の裾を握っているからだ。


「あのさ。俺・・・・・」


 普段見せない顔でまっすぐに私を見る裕太。


「お前のことが好きだ。俺と付き合ってくれないか?」

 

 私は驚いた。


 私は火がついているように熱く赤くなっていると思う。


「わ、私でよければ・・・・・・。」


 まっすぐに裕太のことが見れないまま、返事を返した。


 裕太は雲が晴れたみたいにうれしそうだった。


 君との距離は2cm。


 鼻がちょんっと触れたとき。


 君との距離は0cm。


 今日で15cmは卒業。


 君色に染まる空を見ながら2cmの2人に入学する。


                                        END


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