第1話 暑さ寒さも彼岸まで
「うあ〜…あっち〜…」
うだるような暑さのこもる体育館で高橋俊也(通称:キティ)は右手でパタパタと顔をあおぐ。視線の先にはテカテカと光る校長の頭。今日は全校朝礼なのだ。
「なぁなぁ!!あいちゃん!!あのハゲなんとかならんのか?!」
あいちゃんと呼ばれた男子生徒(本名:加勢愛斗)は、ダルそうに振り向いた。
「…話しかけんな。暑い。」
あいちゃんはそれだけ言うと、またダルそうに前を向く。キティは唇を尖らせて今度は後ろの男子生徒に声をかける。
「おい、ボイラ!!なんか少しでも涼しくなれる方法は無いんか?!」
ボイラ(本名:三浦大和)は困った顔をして言った。
「えっと…少しでも風の通りがよくなれば涼しくなるかもね。」
この言葉に納得したキティは前を向いた。少しでも風が通ればいい…その言葉を頭の中で反芻していたキティには、ある名案が浮かんだ。
―風が通らないのならば風を起こせばいいのだ―
キティはおもむろにフウフウと息を吹き出した。熱いものを冷ますように思い切り息を吹く。キティは息を吹くことで風を起こそうとしたのだ。
「生暖かくてキモイ。」
あいちゃんが振り向いてキティの頬をつかんだ。
「ら…らんらよ(な…なんだよ)」
キティは思い切り頬を両手で挟まれて息を吹けなくなった。
「お前の息が首にかかる。キモイし暑いしウザイ。上向いてやれ。」
あいちゃんは手を離すと不機嫌な顔で前を向いた。
それから30分間。キティは上を向いて息を吹きつづけた。あまりにも力いっぱい吹きつづけたので朝礼が終わる頃にはキティは酸欠状態に陥っていた。
「では各自、自教室に戻って10分後には………」
キティはそこまで聞くと倒れてしまった。グラリと世界が回る。体に力が入らない。
「ふぅぅぅぅぅ〜………」
奇妙な溜息と共にキティの体は体育館の床に貼りついた。
「ちょっ…キティ?!大丈夫?!」
後ろにいたボイラが慌ててキティの頭を起こした。あいちゃんは呆れたという顔でキティを見ている。そんな二人をぼやけた視界でとらえたキティがニッコリ笑いながら言った。
「おい…床って冷たくて気持ちいんだぞ……」
キティは意識を失った。
「…キティ…起きろ…」
目を開けると、そこには心配そうなボイラと冷めた目つきのあいちゃんがいた。
キティはいつの間にか保健室のベッドに寝かされていた。
「ちょっ…なんで俺はこんな快適な場所におるんじゃ!!」
何が起こったのか全くわかっていないキティは勢い良く起き上がる。
「キティは倒れたんだよ」
ボイラは安心したように可愛らしく笑う。
「そ…そうなのか…。俺は…みんなに風を起こす為に我が身を削ったんだ…」
キティの頭に激しいツッコミが入った。
「バカ。お前の息で風なんか起こるか。」
あいちゃんがク−ルに言い放つ。
「なんだよぅ!!誰のおかげで今こんなに冷房がきいた部屋に存在できると思っとるんじゃ!!」
自慢気に言い放つキティは、すっかり健康体に戻っていた。
そうして暑い教室に戻ったキティは蒸し風呂のような苦しさを感じながら、ある決意を固めていた。
「これからは朝礼で倒れることにする」
快適さを得る為なら自分の身を粉にして動く。嗚呼、青春時代真っ盛り!!!!!!!!!!
はい!!初めまして!!花音と書いて「カノン」と読みます。いきなりおバカでスイマセン。。夏なので読んで楽しくぶっ飛んだ小説を書きたいと思いました。これからもぶっ飛んで書いていきますので、よろしくお願いします。