幼なじみたちはとっておきの幸せを分かち合う
――想いあっている2人を私が邪魔していたのね。
レナはベール男爵家の娘だ。両親は隣の領地のリース男爵一家と仲が良く子どもたちも幼い頃から交流がある。レナと嫡男のウィルは同じ年で仲が良いこともあって両親たちにすすめられて婚約した。以来、気の合う友人として付き合っている。
16歳になり貴族たちが通う学園に入学すると2人は毎日一緒に過ごすようになった。人懐っこいウィルはたくさんの友人ができて学園生活を満喫していたが、ある日有名な令嬢に話しかけられたと自慢してきた。
「すごいじゃない。いったいどうしたの?」
「へへっ、すごいだろ。ハリーと一緒に王都のスイーツの店を調べてたら声をかけられたんだ。彼女、物知りでさ。王都中の店を教えてくれて勉強になったよ」
彼女はショコラ・ロール男爵令嬢。王都に店を構える裕福な商会の娘で、天使のような容姿と甘い声をしたお洒落な令嬢だ。しかし、いつも見目の良い令息たちと一緒にいることから、一部の令嬢たちには「好みの令息にべたべたとすり寄るはしたない女」と陰口を叩かれている。
ウィルは幼い頃は勉強よりも体を動かすのが好きで、使用人や領民たちを引きつれてあちこち駆け回り、汚れと傷だらけになって母親とメイド長を嘆かせていた。レナはそんなウィルの話を聞くのが楽しかったし、ウィルもいつもとっておきのお土産を持ってきてくれたものだ。
成長するにつれてウィルはリース男爵家の跡継ぎとしての振る舞いを身に着けていき、やんちゃだった子ども時代を知るレナから見ても頼もしいイケメンになった。さすがに婚約者のレナの前では露骨にはすり寄ってこないが、友人曰く令嬢たちにも密かに人気があるそうだ。
レナはショコラの悪い噂が気になったが、都会育ちのきれいな女の子に話しかけられて舞い上がっている素直な幼なじみに水をさすのも悪いと思い、しばらく様子を見ることにした。
そんなある日、ウィルとお互いに教え合いながら宿題をしているとショコラとウィルの友人たちがやって来た。
「あ、ウィルだ。もしかして宿題してるの?」
「そうだよ。こうやってお互いに教え合うとはかどるんだ」
「そうなんだ。私たちもちょうど宿題をやろうとしていたところなんだ。一緒にいい?」
ウィルがうなずくとショコラはにっこり笑いかけて彼の隣りに座った。その際にショコラの手がウィルの袖をかすめたのが見えてその距離の近さにレナが内心眉をひそめると、向かいの席に並んで座った男子たちの1人が不満そうに呼ぶ。
「ショコラ、そこじゃ遠いだろ。こっちに座れよ」
「え~、でもここの方が皆が見えて話しやすいじゃない。ウィルだってそう思うでしょ?」
きれいにピンク色に塗った唇を尖らせたショコラはウィルを上目遣いで見つめる。
さっきからウィルの隣りに座るレナをまるっと無視してウィルにだけ甘ったるく笑いかける彼女にレナはもやもやした。しかし、レナの気持ちとは裏腹にウィルはへらりと笑ってショコラにうなずいた。
「座りやすいならそこでいいよ。この人数で教えあえば宿題も早く済むな、さっさと終わらせよう」
「ね~。そうだ、終わったら皆でカフェに行きましょ。今日から新作のスイーツセットが出たんだって」
上機嫌なショコラにウィルも友人たちもしょうがないなあとばかりににこにこと笑って宿題に取りかかる。レナも内心の不満を押し殺して付きあった。
おかげで宿題はすぐに済んだが、レナはショコラを中心に自分が知らない話で盛り上がる場にまったく馴染めず、時折気を遣って話しかけてくるウィルや友人たちに愛想笑いを浮かべるのにすっかり気疲れしてしまった。
カフェに寄る彼らと別れて寮に帰るとウィルは「送っていく」と言ったが、レナは「私のことはいいから楽しんできて」と送り出した。心配そうにしながらもとぼとぼ戻ったウィルを迎えたショコラが彼ににっこりと笑いかけたのが見えて。レナはまたもやもやした。
*****
その後、ショコラは学園内でウィルとレナが一緒にいるとウィルの友人たちを引きつれてやって来て、ちゃっかり混ざってくるようになった。
友人たちは良い人だが、やはりショコラはレナが嫌いなようで露骨に無視し、レナもまた常に場の中心にいないと気が済まないショコラに付き合わされるのにうんざりした。
そんな女子2人の微妙な仲を感じとったのか。ウィルはショコラが来ると断り、レナがいないところで会うようになった。レナはウィルが友人たちもいるとはいえショコラと会っていることにもやもやを感じたが、ウィルの友人づきあいに口を挟むのも悪いとぐっとこらえた。
そんなある日。レナは1つ年下のウィルの妹リサと街歩きを楽しんでいた。リサとは昔から実の姉妹のように気が合い、たびたび忘れさられるウィルは「俺より仲が良いよな」としょんぼりしてレナの兄に慰められている。
一通りお目当ての店を巡った後にお目当てのカフェで休もうとすると隣りのカフェの看板が目に入る。レナに気づいたリサが読み上げる。
「へえ~、新鮮なミルクを使ったスイーツが名物なんだって」
「ホントだ。このケーキアソートセットっていうの、おいしそうね」
看板に書かれた複数のケーキを食べられるというアソートセットの絵や説明文に見入っていると、リサが小さく驚きの声を上げた。
「あれ、ウィルだ。そうだ、確かここって今恋人たちに人気のお店らしいよ。何でもそのケーキアソートセットを頼んでシェアすると良いことがあるって聞いた」
「ここがそうなんだ。確かに恋人たちが多いわね。それにスイーツもおいしそうだし、ウィルたちも何かお目当てのメニューがあったのかしら」
「ふっ、どうかな。ウィルは変なところで抜けているから。うっかり好物のチーズにつられて入り込んで、出るに出られなくなったのかもよ」
ちょっぴり抜けたところがある兄をやゆってにやりと笑うリサにレナも思わず想像してしまい小さく噴き出した。
道に面したテラス席は仲睦まじく寄り添う恋人もしくは女性同士で来ているお客ばかりだ。ウィルも友人たちも笑顔を浮かべているが若干周りから浮いている。
「ね、こっそり様子を見に行こう」
リサに誘われてレナも付いて行く。が、聞いているだけで胸焼けしそうな甘ったるい声が聞こえて足が止まる。
「や~ん、こんなにたくさんあると迷っちゃう。ね、ウィルはどれが良いと思う?」
ウィルの隣りにはショコラが座りいつかの時のように少し動いたら触れそうな距離感で見上げている。彼らのテーブルには看板メニューの複数のケーキが載った大皿が置かれていて、ショコラはウィルに選んでとねだっているらしい。
レナから見ると不自然極まりない距離が気にならないのかウィルは彼女を見てふんわりと笑う。それが周りの幸せそうな恋人たちを思わせて、レナはショコラを見た時に感じるもやもやしたものがこみ上げてくるのを感じた。
「そうだなあ、このチョコレートケーキなんてどう?」
「ウィルもそう思う? 実はそれが気になってたの。ふふ、ウィルは私の好みを良く知ってるのね。じゃ、私はこれをもらうわ。ウィルにはそうね……」
ショコラはお返しにとウィルの皿にもいくつかのスイーツを選んで乗せた後、自分のケーキを少し切って「はい、一緒に食べましょ」とウィルのお皿に載せた。その自然な仕草に心のもやもやが濃くなっていく。
「……何あの女。こんな人目のあるところで複数の男性たちに囲まれているだけでみっともないのに、婚約者がいる男性にべたべた引っ付くなんて。レナ、ごめん。うちの大馬鹿兄を引きはがしてくる」
憤慨するリサに2人をじっと見ていたレナは我に返った。
「待って、リサ。あの人はウィルの友だちで、ウィルのことが好きなんだと思う。……その、たぶん、ウィルも」
言いづらいそれをようやく認めて口にすると、ショコラを見るたびに感じていたもやもやしたものの正体がようやくわかった。
ショコラは最初からウィルに好意を寄せていてウィルもそんな彼女を受けいれていた。そして、2人は楽しそうに過ごしている。
自分は仲が良いウィルがいつの間にか他の女性に恋をして優先することに傷つき、自分を敵視してくることもあってショコラに嫉妬してもやもやしていたのだろう。
「ごめん、リサ。私、悪いけれどこれ以上は楽しめそうもない。せっかくのお出かけなのにごめんね」
「それは私の方だよ、ごめんねレナ。その、私も一緒に寮まで付いて行っていい?」
「もちろんよ。秘蔵の紅茶とスイーツをごちそうするわ」
――これを見るにずいぶん前からウィルとショコラは想いあっていたのだろう。こうしてレナの目が届かない学園の外では親しい友人たちに見守られて恋人らしくのびのびと過ごしているのだから。そして、自分は気づかずに2人の仲を邪魔していたお邪魔虫だったのだ。
冷静に自分のことを振り返ったレナは、ただ仲が良いからと親たちに薦められて婚約者になっただけなのにウィルを無意識に束縛していたのだと気づいて、あまりの自分勝手さにどっと落ちこんだ。
できたらこのまま部屋に帰ってベッドの上で転げ回って発散したいところだが。兄のことを知らなかったらしいリサは強ばった顔をしていて、自分たちの問題に巻き込んでしまったことに後悔した。レナはリサが落ちつくまで寄り添うことにした。
その後、寮のレナの自室に戻る頃にはリサは兄に手厳しいいつもの彼女に戻り、ウィルとショコラのことを根掘り葉掘り聞いてきた。聞き終わるとリサは疲れた顔をした。
「はあ~、ウィルの奴本当に救いようのない馬鹿だわ。レナ、あの馬鹿で鈍感で節穴な兄上がまんまと変な女に引っかかって本当にごめんなさい。このことはお母様に伝えてきっちり反省させるわ」
「そんな、私のことなら気にしないで。確かに彼女の態度は改めた方が良いと思うところばかりだけれど。ウィルが彼女との婚約を望むなら、私、婚約を解消するわ」
良く知るウィルと別れるのは寂しいし、自分に見せつけるようにウィルにすり寄るショコラは気に入らないけれど。大事な幼なじみに好きな人ができたのならば寂しいけれど幸せを願って身を引こう。これ以上恥をさらさないように潔く覚悟を決めたレナがそう言うとリサは愛らしい顔を引きつらせた。
「ええっ!? ちょ、ちょっと待って、レナ。そ、その、やっぱり怒ってるよね。わかるわ、私だって今すぐ兄上を引っぱたきたいもの。でも、お願い。私たちがあの大馬鹿兄上に悔い改めさせるチャンスをください!!」
「どうしたの? 落ちついて、リサ。私はまあ怒っていないといえば嘘になるけれど、ウィルに本当に好きな人が見つかったならそれは喜ばしいことだもの。でも、できたら別れてもリース男爵家の皆もウィルもこれからも付き合っていきたいわ」
リース男爵一家とは長い付き合いだし、例え婚約がなくなっても引き続き良いお付き合いをしていきたい。珍しく慌てふためくリサをなだめると彼女はすんっと表情を消して重々しくうなずいた。
「わかったわ。ありがとう、レナ。図に乗った兄上とあの泥棒女のことは任せてちょうだい。我が家の幸せな未来のためにもきっちりと説得するわ」
「え、ええ……」
尊き方に誓いを告げる騎士のように厳かに宣言するリサから何やら不穏なオーラが立ち昇っている気がして。レナは気のせいよねと首を傾げた。
*****
翌日からウィルはリサ曰く「急用ができた」とのことで学園を休んだ。よほど忙しい時以外は毎日顔を合わせていたウィルとまったく会わなくなるとそれはそれで何となく寂しさを感じた。
一方、ショコラはけろりとした顔でやはり見目の良い男子生徒にウィルにしていたようにべたべたと引っ付いていて。レナははっきりと彼女に嫌悪を感じた。
それから2週間後、寮に帰ると手紙が届いていた。差出人はウィルで急いで目を通すと「明後日、学園の中庭にあるガゼボで会いたい」とのこと。
もしかして、いよいよレナとの婚約を解消して好きなショコラと結ばれたいと言うのだろうか。でも、あんなウィルがいなくなったとたんに他の男子生徒にすり寄る不誠実な女性をすんなりとウィルと結ばせるわけにはいかない。
レナは承諾の返事を書きながらもウィルにどうショコラのはしたない振る舞いを伝えるか頭を悩ませた。
悩みながらも時は過ぎて。約束の日、ガゼボに行くと既にウィルは来ていた。ほんの2週間会ってなかっただけなのに彼はずいぶんとくたびれていて、レナはそのしおれぶりに内心同情した。
リース夫人は愛情深い方だが筋の通らないことには手厳しい。おそらくリサからウィルが婚約を解消する前から他の令嬢と出歩いていた報告が行き、それはもうトラウマになるぐらいにこってり絞られたのだろう。
ただでさえ痛々しい姿の幼なじみに愛する女性のふしだらな行いを告げたらしばらく立ち上がれないかもしれない。レナがどう伝えたものかと迷っているとふとウィルがレナに気づいた。
気づかれたことに驚いたレナが顔を引きつらせるとウィルは悲し気な顔をした。そして、なぜか保護した野生の動物を怯えさせないようにそろそろと寄ってくるウィルに混乱しつつも「こ、こんにちは。元気にしてた?」と話しかけると、彼はくしゃりと顔を歪めて突然土下座した。
「レナ、すまなかった!! 俺はとんでもない馬鹿で間抜けで最低最悪のふらちな男だ。レナが気が済むまで罰してくれ。でも、頼む!! 俺を捨てないでくれえええ!!」
「……はい?」
悲痛な叫び声を上げた後、ひたすら謝り続けるウィルを何とかなだめて事情を聞きだしたレナは呆れた。
「つまり、ウィルたちにとってショコラ様は王都に詳しい先生のような人だと」
好奇心旺盛なウィルは国中から珍しい物や人が集まる王都に興味を持ち、同じく地方から出てきた友人たちと語り合い、時々あちこち回っていたらしい。王都育ちのショコラはいろいろと教えてくれていた親切な人らしい。ちなみにこの間のカフェはショコラの一押しで、お世話になっている彼女へのお礼を兼ねて行ったのだという。
さっきまでは悪戯がバレた猫みたいにびくびくしていたのに。友達たちと出かけたところ、特にカフェは素晴らしかったと熱く語るウィルにレナはうんうんうなずいて「こういうところは変わらないなあ」と心の中でしみじみと思った。そして、ちょっぴり意地悪く言った。
「でも、ショコラ様はウィルの友達たちがいてもいつもウィルの隣りに座って、べたべた話しかけていたじゃない。本当はあんなにかわいい女の子に話しかけられてうれしかったんじゃないの?」
「うん、ショコラは確かにかわいいと思うし、いろんなことを教えてくれる楽しい人だと思ってた。でも、令嬢とあの付き合い方はありえない。レナに嫌な思いをさせて本当にごめん」
娘から話を聞いて激怒したウィルの母はこの2週間息子を部屋に閉じ込めて「ウィルにとっては友人でも、他から見たらただの浮気」だとこんこんと説教し、罰としてレナも学んだ淑女のマナー本を延々と復唱させられたらしい。
このやつれぶりを見るにお人好しな息子が何が悪かったのか理解するまで教育したのだろう。普段は優しいだけに怒った夫人はそれはもう悪夢の化身のように恐ろしい。レナはウィルに申し訳なく思った。
「そうだったのね。気づいていて注意しなかった私も悪かったわ。止めなくてごめんね。その上で聞くけどショコラ様のこと好きなの?」
レナが肝心のことを聞くとしおれていたウィルはかっと目を見開いて叫んだ。
「違う!! ショコラはただの友だちだ。俺が好きなのは今も昔もレナだけだっ!!」
「えっ……」
突然の熱烈な告白にレナは驚き、徐々にその意味がわかっていってじわじわと顔に熱がこもっていくのを感じた。ウィルも顔を真っ赤にしてぼそぼそと続ける。
「レナと王都でデ、デートをしたかったんだ。だから皆に協力してもらってとっておきの場所を調べてて、詳しいショコラにも教えてもらって。でも彼女に近づきすぎて浮気したんだ。本当にごめん……」
しょんぼりするウィルにレナは幼い頃を思い出した。
ウィルは幼い頃から好奇心旺盛で、旅人や商人が語る冒険話に憧れて、使用人や領民たちを引きつれて近隣のドラゴンが暮らしていた森やら伝説の花が咲く草原やらを駆け回っていた。
残念ながら両親に冒険を許してもらえなかったレナはウィルを応援して、お守りと称して気の良い使用人たちが考えてくれたかっこいい紋様の刺繍を施したハンカチやら1晩月光にさらして朝摂りの花びらを浮かべた聖水とかを渡したものだ。たまに怒った夫人たちから逃げて来た時には一緒になって謝ったものだ。
ウィルは無事に冒険から帰るとお土産を持ってレナのところに真っ先にやって来てとっておきの話を聞かせてくれた。そして、安全を確認すると大人たちを説得して「とっておきの場所を見つけたんだ。レナも一緒に行こう」と手を引いて連れて行ってくれた。
成長してもウィルの優しさは変わらない。レナはそんなウィルの優しさに甘えて、彼の”とっておき”はいつも自分のものなのだと当たり前だと勝手に思い込んでいた。そして、自分は幼なじみを愛していたのだと今やっと気づいた。
しかし、愛らしいショコラへの嫉妬と離れていくウィルにやきもちを焼いた。ウィルに醜い自分を見せたくないなんて良い人ぶって婚約解消なんて言ってしまい、彼を深く傷つけてしまった。
レナは自分の身勝手な言葉のせいでウィルを失ってしまうかもしれないと恐怖を感じてウィルと同じようにしゃがみこんで謝った。
「ウィルじゃない、悪いのは全部私だわ。ごめんなさい、ウィル。私、ウィルがショコラ様が好きなんだって勝手に思い込んで勝手に怒って。良く知るあなたに何も聞かないで、私が傷つきたくないからあなたのために別れても良いなんてとてもひどいことを言ってしまったわ。本当にごめんなさい」
ウィルは驚いたように目を見開いたがいつものようににかっと笑った。
「そんなことない。むしろ、レナが馬鹿な俺のためにそこまで心配してくれてうれしい。もうレナ以外の女の人とは近づかないって約束する。俺が一緒にいたいのはレナだけだ」
「私もよ。ウィル、大好き」
お互いに好きだと知って顔に熱がこもったレナとウィルはどちらからともなく手を差し出して繋いだ。それは幼い頃から2人でいたいと思った時の合図で。幼なじみから恋人になった2人はしばらくガゼボで幸せを分かち合った。
その後、レナが寮に帰ると待っていたリサに「仲直りおめでとう」と祝福された。
ウィルが昔からレナが好きなのは両家の常識だったが、まさか勘違いしたレナがウィルとあっさり別れてもいいと言ったことにウィルはひどくショックを受けてやせ細ってしまったらしい。それを聞いてレナは自分の思い込みの激しさと薄情さを深く反省し、これからはウィルにきちんと聞こうと誓った。
その後、ウィルとレナはまた一緒に過ごすようになり、時間ができた時には一緒に“とっておきの場所”を探しに出かけた。王都は広いのだし、大人になったレナはウィルに付いていける体力があるのだから。
2人は今度は恋人として新しい思い出と愛情を育んでいき。卒業して結婚する時には2人はどこからどう見ても仲睦まじい新婚夫婦になっていた。レナはウィルにとっておきの幸せをもらい、お返しにとびっきりの愛情を返した。




