恋愛は銘々稼ぎ3 Love finds its way.
遅れました。
イレギュラー更新です。
今日は崇直の誕生日だ。
僕の仕事が終わり次第、池袋に集合。
時間があれば和光まで迎えに行こうと、紅緒と決めたのだ。
タイムカードの前で、あと30秒と待っていたら、先輩に肩を叩かれる。
「分かりやすいな、おまえは」
「うわっ」
びっくりした、もう!
「5時になったぞ!」
そう言って、先輩が意味ありげに笑う。
愛想を返したつもりだけど、上手く笑えないや。
「お、お疲れ様です」
カードを打刻したら、先輩も続けてカードを突っ込んだ。
「え、先輩も定時っすか?」
「俺は管理職。いつ打っても関係ないんだよ。定額働きほーだい」
うわぁ、社畜道まっしぐらだ。
エレベータに乗り、1階で降りる。
「これから大阪だ。日向、今週はご苦労さんだったな。また、来週も頼むわ」
そう言って、二指の敬礼を投げてくる。
はは、そっくりだよ先生と。
「ども。気を付けて行ってきてください」
僕も真似をして、やってみた。
先輩は笑顔で手を振り、エレベーターから降りると、玄関先の呼んでいたタクシーへと走って行った。
羽田直行で、大阪か。
あの人、いつ休むんだろう。
これから僕は霞が関まで歩いて、丸の内で池袋だ♬~
ビルに移る自分の姿を見て、とりあえずチェックする。
髪の毛は、大丈夫だよな。シャツも……
後ろを通るOLさんに笑われた気がして、慌てて目を逸らす。
この日の為に買ったんだけど、下ろし立てに見えるのかな。
このカーゴパンツ、気に入ってるんだけどな。
やっぱり気になるので、駅までショーウインドウやビルに映る度、目が行ってしまう。
うーん。先に先輩に見てもらえばよかったか。
いや、聞いたところで揶揄われるだけだしな。
そんなことを考えながら、地下鉄に乗るとあっという間に池袋に着いてしまう。
地下1階への階段を上がり改札へ向かう。
東上線の中央改札入り口で待ち合わせ、なんだが……
居たよ。
改札抜けた直ぐ先に。
昔みたいに髪の毛を後ろで束ねた、ポニーテール。
今は制服じゃなくて、Gパン穿いてた。
「わーちゃん、来た!」
と駆け寄ってきた。
「よぉ」
「切符買っといたよ~」
そう言って、僕に切符を渡し笑顔で僕の隣に並び歩き出す。
待ったとか聞くのも、デートみたいだし。
何ていえばいいんだ、こういう時は。
「まだ時間あるけど、何か飲む?」
「向こうに行ってから、時間潰すか?」
あはは。お互い考えることは同じか。
切符もあるし、
「先に行くか?」
「うん」
始発なので、余裕で座れた。
それでも、出発の時刻には立ってる人も増えてくる。
人が増え、自然と角に座った紅緒の方へ詰める形になる。
僕の二の腕辺りに、紅緒の肩が当たる。
う、これは下手に腕を動かしたら、紅緒の胸に当たりそうだ。
「あのさぁ」
うぉあ、思う間もなくこっち向くか、おい。
当たってるよ!
「な、なに」
じっと僕の顔を見る。
紅緒の瞳に僕の顔が映っている。
「いや、マジでわーちゃんの顔って左右対称だよね」
それ以上見つめられたら、ちょっと辛いぞ。
当たってるし、な。
大きく揺れ、電車が動き出した。
ああ、僕の腕、このまま死んでもいいくらい幸せだ。
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