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あぶはちとらず  作者: 井氷鹿
第2章 Fall between two stools. 1 1995年 春 崇直編
21/61

灰吹から蛇が出る4 Out of the blue comes green.

誤字修正しました。

 早めに亘のマンションを出たのは良いが、どこへ行こう。

 昼に爆食いしたから、腹減ってないしなぁ。


「池袋で時間潰していく? わーちゃんサンシャイン行けるよ」

「お、水族館。ペンギン見たい」

 わーかりましたよ。路線図を見て、と。

「新宿で乗り換え、の池袋」

「うーっす」

 

 ちょうど空いていた券売機で池袋までの切符を亘が3枚購入した。

 はい、はい、と出てきた切符をそれぞれ受け取り改札へ向かう。

 なんだか昔に戻った気分だな。


 電車に乗って入口付近で突っ立てるだけで、特に話すこともしないんだよな。

 流石に山手線は混んでたのでひっついてたけどな。

 窓から見える風景にあーだこーだとツッコミを入れてる間に、池袋に到着したよ。


「超ぉ久しぶりのぉ〜サンシャイン」

 紅緒が鼻歌交じりにスキップしてる。そんなに嬉しいのかね。

 亘もその隣で歌でも歌いそうだなぁ、おい。

 そんな二人を背中に引率して、東口を出て階段を降りたら後ろから声をかけられた。


「笠神!」

 振り向いたら、田中じゃん。何だおまえも外出してたのか。

「お前も今から帰り?」

「おおおっ、もしかしてナオト先輩?」

 横から紅緒が覗き込む。

 へ、紅緒、田中知ってるの?


 紅緒が田中に笑いかけてる。ああ、そうだ、そこに居たんだよな。

 思い出したよ。 

 田中尚途(たなかなおみち)、直樹の親友だ。

 背番号4番。

 オレって、直樹の思い出と一緒に記憶まで封印しちゃってんじゃん。

 高校の3年間、一緒に戦ってきたチームメイトなのに。

 あー、嫌になるよこういう時。


「あー、べーちゃんだ。久しぶり。相変わらず美人さんだね」

「褒めたってなーにも出ないよ。それより弁護士なったんだ、先輩。おめでとう。やるねぇ、現役じゃん」

 と肘で田中の胸を小突く。

 

「それが、まだ弁護士じゃないのよ」

「崇直は現役で試験通ったからもう弁護士かと思ってた」

 そう言いながら、さり気なく亘は田中に場所を譲り、自分は一歩下がる。

 そういうところだよ、おまえ。  

  

「まだなってねーのよ、オレら。司法研修生はただ試験に合格しただけの無知な役立たずだ」

 田中の肩を組んで亘の方を向かせる。

「な。これ田中。直樹の親友で、高校時代のチームメイトで、大学の仲間で今は研修生の同期。

 こっち、幼馴染で、友人の日向亘ね。オレらと同じ大学のまだ学生やってる」

「田中尚途(なおみち)です」

「ひ、日向亘です。工学部電子情報工学科の院生で情報工学を専攻してます」


 なんか変な空気になったぞ。

 直樹の名前だしたからか。

 田中、お前こういうの和ませるの得意だろ、おい。 


「あ、そうだ。あたしら今からサンシャイン水族館行くんだけど、ナオト先輩も行く?」

 おんぅ、おまえが誘うか?

「え、混ぜてもらっていいの。行くよ、もちろん」


 それが合図のように、信号が青に変わった。

 いつの間にやら紅緒の横に田中、オレと亘がその後ろを歩いている。

 こりゃ旗色悪いなぁ、亘よ。

いつも早朝から更新に合わせて読んでいただきありがとうございます。

毎日更新がんばりまする。

よろしかったた⭐️での応援も、お待ちしてます(^o^)☆彡

↑ 星のお願いで緊張して噛んだ。

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