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あぶはちとらず  作者: 井氷鹿
Fall between two stools. 1995年 春 崇直編
19/23

灰吹から蛇が出るⅢ Out of the blue comes green.

 買い込んだレジ袋を亘に渡し、樹は出かけていった。

 昨夜作ったモヒートの詫びも兼ねて来たようだ。


 樹の彼女は紅緒の親友で、幼稚園からの付き合いになる。

 来年結婚することになっていて、オレ的にはそれがとても気に食わない。

 樹のくせに。 

 

「樹がねぇ、狭山と結婚かぁ」


 買ってきた食材を冷蔵庫に入れながら、亘は感慨深げにまたため息を付く。


「いっちゃんとひろよちん、結婚したらママたちと暮らすのかな」


「さぁ。樹は神社に通えればどこでも良いんじゃね」


 テーブルコンロを出して、ダイニングに持っていくか。

 後は、亘と紅緒が用意してる野菜類を持ってきて、と。

 テーブルセッティング、完了っと。

 三人でわちゃわちゃやってるとあっという間に、すき焼きの準備ができた。 

 


 あー、食った食った。

 すき焼きをたらふく食って、あー満足。

 

 食器を下げ、紅緒が洗いオレがすすぎ、亘が拭いてと。

 これまた、あっという間に片付いた。

 チームワーク抜群だな、おい。

 共同生活したら巧くいきそうで、いかねーんだろうなぁ。

 あー、ホントめんどくせぇ。


「嵩ちゃん、そんな格好してるとここの住人みたいだね」


 まぁ、爆発した頭によれよれパジャマだからか。

 ある意味オレが一番寛いでるか?

 

 紅緒が大きめのクッションを胸に抱え、床にそのまま寝そべった。

 膝を曲げて、意味もなくバタバタさせてるが、あれま、見事に亘の顔にケツが向いてんじゃん。

 それじゃ、亘の座ってるカウチからクッションを失敬して、と。

 紅緒の横に並んで寝そべった。

 オレのケツもプリチィだろ。


「着替えても良いんだが、スーツしかないんだよこれが」


「崇直、服貸すぞ」


「いいよ、帰るときまでこの格好で」 


「嵩ちゃん何時戻るの、あっち」


「ここ、5時には出たいんだ」


「ねーねー、一緒についてっちゃダメ? 司法なんとかって研修所」


 あ、お前連れて行ったら女よけになるかもな。 


「最高裁判所の機関なんだろ。なんかすごく厳つい感じだよな」


「いいけど、中は入れないぞ」


「なんで」


「どうして」


「さぁ。国会議員でも予約しないとダメみたい。三権分立だからじゃね」


 中で特に特別なことをしてる訳じゃないんだが、親族でも入所式と修了式しか無理なんだワ。

 

「ふーん」


「駅からバスだし、周り何にもねーぞ」


 5時に出ても着く頃は6時回ってるし、マジなんもねーんだわ。


「入れないが、門から少しは中見れるかもな」


「おお、見たいみたい」


「僕も見れるなら見たい」


 押し切られる感じで、司法研修所チラ見ツアー開始となった。


 まぁ、暇を持て余してる二人は物見遊山気分だろうが、こっちは明日は日曜返上で翌週の模擬事件の台本あげなきゃならんのだよ。

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