息子
黒薔薇アキラという16歳の少年がいた。彼は父親と母親と共に暮らしていたが、母は津波で命を落とした。彼女はアキラを守るために命を捧げたのだ。しかしアキラはその時の記憶を失っており、完全にトラウマ状態だった。
だが、16歳になったとき、彼は徐々にあの日の出来事を思い出し始めた。
彼は父のことを好ましく思っておらず、敵のように見ていた。父を役立たずと考え、母のことを口にされると激しく怒り、毎日のように口論になった。アキラは父親として彼を尊敬していなかった。
しかし、ある日、二人の口論がきっかけで、アキラの人生を大きく変える悲劇が起きた――。
夜。空は暗く、星がかすかに光っていた。街の明かりはまぶしく輝いているが、一つのアパートだけが暗く、その中の一つの部屋のバルコニーだけが光っていた。
バルコニーには一人の少年が座っていて、片手で顔を覆い、長い前髪が右目を隠していた。しばらく物思いにふけった後、少年はそのまま埃だらけの床に横になり、手を枕代わりにして眠りについた。
朝、部屋のアラームが鳴り、少年は目を覚ました。バルコニーで頭を抱えるようにして座り、「また嫌な一日が始まる」とつぶやく。朝日が彼の顔を照らし、彼の瞳の下には小さなホクロがあった。
リビングから声が聞こえる。「アキラ!学校の時間よ!遅れても文句言わないで、私に関係ないからね!」
アキラ:「一度も文句言ったことないだろ、自分のことだけしてろよ。」
父(小声で):「まったく、あのバカが……」
父:「じゃあ、出かけてくる。」
アキラはため息をつきながら立ち上がり、部屋の中へ。制服に着替え、父が用意してくれた朝食を黙って食べた。食べ終えると母の写真の前に立ち、「母さん、行ってきます」と微笑んだ。
ドアを開けながら、「また最悪な一日か」とつぶやく。
アパートの下に降りると、友人のハルトが待っていた。
アキラ:「おはよう、なんで上まで来なかったの?」
ハルト:「えっと…それは…お父さんが…」
アキラ:「ああ、なるほど。」
ハルト:「ち、違うんだ、そういう意味じゃなくて―」
アキラ:「いいんだ、慣れてるから。」
ハルト:「は、はい…まぁ、話はやめよう。すごい偶然だよな、アキラとあの子、同じ月に生まれてるなんて!」
ハルトは自転車を押しながら、アキラと一緒に学校へ向かう。
アキラ(心の声):
「俺の人生はずっと暗闇だった。でもその中で二つのろうそくを見つけた。
そのうちの一つは大きく、暖かく燃えていた。
俺はこの気持ちを、誰かと一生分かち合いたいと思った。そしてその“誰か”を見つけた。
それが、あの大きく燃えるろうそく―」
教室のドアを開けながら:
「その人が…」
アキラ:「おはよう、星月。」
星月:「おはよう、アキラ。」
「昨日も床で寝たんでしょ、いつも通りに。」
彼女はアキラに近づいて、服の埃を手で払う。すると友達が近づいてきて、彼女は急にそっけなくなる。アキラは静かに「おはよう」ともう一度言うが、彼女の友達は無視して立ち去った。
数時間後、アキラは教室で窓の外の木を見ながら、母を思い出し、左目から自然と涙がこぼれ落ちる。
ハルトはそれに気づき、アキラを現実に戻そうと「カラスが飛んできた!」と叫び、先生の注意を引く。怒った先生はハルトを教室から追い出す。アキラも涙を拭いて先生を妨害し、一緒に外に出る。
洗面所で顔を洗っていると、星月が現れて「どうしてここにいるの?」と聞いてくる。
ハルトが説明している間、アキラは洗面台の水の渦を見て吐き気を感じる。
星月はアキラの肩に手を置いて「大丈夫?」と優しく声をかける。
放課後、アキラは友達と帰宅するが、自宅付近で「ここからは一人で帰る」と言って別れる。
帰り道、アキラは自分の手のひらに小さな炎が見える気がして、心の中でこう誓う。
「この火を守らないと。前に俺を支えてくれたもう一つの炎を失ったから。
今度こそ絶対に、この炎を絶やさない。俺の命が尽きるまで、絶対に。」
その瞬間、空から雨が降り出し、アキラは空を見上げたあと、家に向かって走り出す。
その頃、家では父がアキラの帰りを待ちながら一人で怒りをつぶやいていた。
この物語を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。私はこの作品を通じて、登場人物たちの心の葛藤や成長を描こうと心掛けました。特に、アキラの悩みや苦しみを通じて、読者の皆さんに共感を呼び起こすことができたなら、嬉しく思います。
執筆の過程では、時には思い悩むこともありましたが、支えてくれた読者の皆さんの存在が大きな励みとなり、最後まで書き上げることができました。心から感謝しています。
これからも、少しずつ成長していけるような作品を作り続けたいと思います。もし、またこの世界に戻ることがあれば、その時もお付き合いください。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。