其の参
「アタシが不思議なのはさ」
「なんだよ急に。」
「あのリナが肝試しじみたことをやろうとしてるってことさね」
「いつもの気まぐれだろ。」
「忘れたのかい?去年の夏休みにクラス委員が計画してた山城の肝試し大会、誰が駄々こねて中止になったのかをさ」
「ああ、あれか。嫌なら自分が行かなければいいだけなのに、わざわざ父親まで呼んで中止にさせた、例の肝試し事件だろ。」
「そ、そう。リナちゃんは、その、心霊とかの話題に敏感で、話を聞くのも、すごく嫌みたい。」
「確かに、そう言われてみると不自然だな。でもそんなこともうどうでもいいだろ。あいつも一人で行くって言ってるんだから、ほっとけばいいだろ。」
「そうね、アタシもできればそうしたいさね」
「なんだよ。煮え切らないな。」
「だ、だって、その、さっき言った肝試し大会、こ、今年こそ、やるみたいなんだけど、それが・・・、今週の・・・、土曜・・・。」
「・・・偶然だろ。」
「アタシはさ、いろんな人からあの山城の噂を聞いてるのさ、主に悪い噂をね、それを踏まえるとねぇ、あんまりいい予感はしないさね」
「う、うん、リナちゃんだけじゃなくて、く、クラス委員の子も言ってた、ちょっとおかしいって、その、どうしても、肝試し大会は、そ、その日じゃないとだめだって・・・。」
「そう、それさね、なんでも、町内会の許可がその日しか下りなかったらしいのさ、それも何の理由も聞かされずにね」
「そ、そういうこと。今年の、き、肝試し大会・・・、何かおかしい。」