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環境を変えること

「1年半前に役者になるため上京して来たんですけど、まったく名が売れなくてこの先どうしようって悩んでて。」


さっきまで平凡なサラリーマンだと思ってた人にこんな話をするのも変だと思ったが、不動産屋の社長と聞いてなにか解決策を見つけてくれるかもと期待を抱いた。


「俳優の卵か!これは素敵な人に出会えた。いつ売れるかなんて誰にもわからないさ。」


期待して損した。こんなことやってみたらとか良い事務所紹介するよとかあるわけないよな。


「でも、現状を変えたいなら環境を変えるのがいちばんだね。」

「環境を変えるって人間関係とかですか?」

「もっと簡単なのがある」

「ぜひ教えてください。」

「引越しをすることだ」


あ、そうだこの人不動産屋だった。


「営業ですか」

「そうとも言う。ただ、引越すと隣人が変わる。道ですれ違う人が変わる。関わる人や触れるものが変わるんだ。知らない世界を知るってとんでもない価値だと思わないか?」


確かに20歳まで地元の工場で働いてていきなり役者をやりたくなって飛び出してきた若造には知らない世界がたくさんある。


「どこか良い物件があるんですか?」

「おじちゃんに任せなさい。きみに合う物件探してあげるよ」


そう言って吉岡はコーヒー代を置いて店を後にした。



次の日夜勤のバイト終わりに再び喫茶ひといきを訪れた。


「いらっしゃい!好きなとこ座りな」

にこにこなカヨがお冷とおしぼり、灰皿を持ってきた。いつも通りブレンドのホットコーヒーを注文。たまの贅沢として自家製チーズケーキも付けた。


「新しい家見つかったかい?」

「いや、まだ吉岡さんから連絡なくて。」

「そうなの、あの人のことだから面白い物件見つけてくるわよ」


面白い物件ってなんだよ、怖いよ。どんな家扱ってるんだ。


「あいつは、命の恩人なんだ」

カウンター越しに正三の低い掠れた声が聞こえる。

「このまえ言ってましたね、吉岡さんがここで喫茶店はじめるのを提案したって。その話聞かせて下さいよ」








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