若者の苦悩
はじめまして。
コーヒーと煙草が好きなただの若者です。
好きなものについて書くのってとにかく幸せな時間ですね。みなさんの好きなものってなんですか。
「ちょっと苦いな。豆変えたんですか。」
司の吐いた煙草の煙が指した先で男が聞いた。
「なんも変わっちゃいないさ。お前の舌がおかしくなったんじゃないのか。」
「あんたそれは言い過ぎじゃないかい!ねぇ吉岡さん。きっと疲れが溜まってるんだよ、疲労は味覚にも作用するってテレビで言ってた。」
ちょうど昨日同じテレビを観た。この夫婦もあんな遅くまで起きているのか、ちゃんと寝れているのだろうか。
「疲れが溜まっているのは確かですけどね、正三さん他人のこと言えるんですか?僕より15こも年上なのに」
正三は吉岡の嫌味に動じることなく口元を緩めた。
司は吉岡と同じブレンドコーヒーをすすっている、1年くらい通っているがコーヒーには疎いため味の違いはよく分からない。
「お兄ちゃん、いつもより苦いかい?」
カヨが聞いてきた。こっちにも飛び火だ。
「おれには味の違いはよく分からないですね、でもいつも美味しい」
素直に答えた。
「だってさ吉岡さん、別に不味い訳じゃないんでしょ?ならいいじゃない!」
カヨはどんな空気も朗らかに変えてしまう。正三もそんなところに惚れたのだろう。
「君は優しいなぁ、僕を傷つけないように言葉を選んだんだろう?」
いえいえそんなことは、と謙遜したが人に嫌われないように言葉を選ぶのは昔からの癖だ。
「このおじちゃん不動産屋の社長だから恩を売って損はないよ!」
「え、そうなんですか?」
「そもそもあたしらにここで喫茶店やったらどうだって提案してきたのこの人だからね」
おいおい、あんたが黒幕だったのか。正直平凡な中年サラリーマンかと思っていた。
「そんなこともありましたね、正三さんとは幼い頃からの仲でしたから。あんな顔した正三さん見た事無かったもので、、」
「忘れろと何度言えばわかる。しつこいぞ。」
正三の顔は険しかったが、感謝しているんだろうなという雰囲気が伝わった。
「まあ、そんなことだから、家のことでも違うことでも相談があったら僕に聞いてよ。できることはしてあげるよ」
「じゃあひとつ相談が、、、」
司という若者はどんな悩みを抱えているのか、物語は想像の斜め上を行く展開に。