いざ旅へ
最初は空くんはクールなキャラに設定してたんですけど、成り行きで普通の人に……。
シュゥゥーン。
そんな効果音と共にツインゲベアは虚空へと姿を消した。
「ふぅぅーー、終わった…」
『とりあえずはじゃがな。まあ、お疲れ様』
「あいよ、そういや急な展開で忘れてたけどティアは何処にいんの?」
『いや、残念ながらわらわは現界できていない』
「はあ!? だって、契約した時の魔力で体が作られるんじゃなかったのか??」
『うむ』
そういうとすぅーとティアが姿を現した
「おお!! びっくりした~。なんだ現界できんじゃん」
「いや、これはほんの一時じゃ……」
「え?、なんで??」
「それはじゃな、わらわと空が特別すぎたのじゃ…」
「どういうこと??」
「うむ、普通の契約者たちならばちゃんと二人とも現界して、それぞれ自分にあった武器を与えられるのじゃが、わらわと空は魂があまりにも高霊すぎて、その魂が入っていた体を再現するのに予想外の膨大な魔力が必要になったのじゃ……」
「じゃあ、なにか? ティアは自分よりも俺を優先させたのか?」
「そ、そうじゃ。ちなみに今わらわが現界できてるのは、空が体の一部である結晶つまりはピースを集めたから、空の体を再現する負担が減ったからじゃ……」
「くっ、なんで俺なんかを優先させたんだよ!!」
「そ、それは…、そ、空に、まず初めにこの世界を見て欲しかったんじゃ。空自身の目で」
「けど…」
「だってあんまりにも理不尽じゃろ? この世界に来ていきなり殺められて、なにもこの世界のことを知らないまま死んでしまうのは…。それでは空にとってこの世界は悲しい記憶しかないではないか!!
わらわは嫌じゃ、わらわが住んでいた世界が、そんな、そんな、風に思われてしまうのは……」
そう言うとティアは顔を落としてそれっきり黙ってしまった。
「……わ、悪かった。ご、ごめんな。ティアの気持ちも知らないで自分勝手なこといって……」
そう言うとティアは涙を潤ませながら若干上目遣いで、
「ゆ、許してくれるのか??」
「も、もちろん!!、だから泣くな、な??」
「う、うん!!」
そう言うとティアは涙をゴシゴシ拭いてやや頬を赤らめながら微笑みかけて来てくれた。
それから俺は真っ赤になった顔を戻すのに大変だったのはまた別の話である――――。
◇◆◇◆◇◆
「それで、ティアはどれくらい現界できるの?」
「今の所、一日一時間程度じゃな」
「い、今の所って、それって伸びるのか?」
「そうじゃ、空のピースを集めればわらわの負担も減り、より現界することができる。さらに言えばわらわのピースを集めれば完全に現界できるのじゃ」
「なるほど、どれくらい集めればいい??」
「そうじゃな、わらわのピースじゃと……少なくとも三つは必要じゃな」
「三つか~、きついな…。でもティアのためだもんな、俺一生懸命探すよ」
「う、うむ、感謝するぞ。だが無茶はするでないぞ、空の身が一番大切だからな」
「あいよ、ところこれからどうすんだ??」
「そうじゃな~、まずは、その服装をどうにかせい、それでは目立ってしまうぞ」
「おう、そうだな、制服じゃなぁ」
俺らは取り合えず旅の物を扱ってそうな店におじゃました。まあ平たく言えば窓を叩き割ってる時点で強盗なんだけど。
「ふぅーー、マジで入ってしまった…、母さん僕はいけない子です」
『なんじゃ汚いの~』
ちなみに今ティアは霊体に戻っている。
俺は取り合えず店内を物色しているんだけどなかなかいい服が見つからない。
『どれも安っぽいな~、もっといい物はないのか?』
「無理言うな、窃盗してる時点でまずいんだよ!! しかも俺金なんてないし」
「貰えばよいではないか、この街の住民は全員奴らに食われてるし貰ってもいいじゃろ」
『いやそれ、泥棒だからね。てかティアほんとにお嬢様??』
そんなことを平気で言うもんだから時折耳を疑ってしまう。
「ん? これは??」
『ん? なんじゃ? ああこれは盗賊用のものじゃな』
その俺が目を付けたのは、ティアが言うとおり盗賊用のようだ
それはフード付きの漆黒のコートに、黒と赤で統一された丈夫そうな生地で出来たシャツと、ズボン。やたら隠れたところにポケットのようなものがあり、銃を収めるホルターなどもある。
「これは気にいった。これにするわ」
『うむ、それは空に似合っておるのぅ。見たところそれは妨魔作用の素材が使われているのぅ。さらにどれも高価な素材ばかりが使われておる、いったいどうしてこんな錆びれた商店にこんなものが…』
「まあ、諸事情はどうでもいいや、そんじゃ着替えるな」
そう言って着替えたのだが、これが見事に俺にピッタリだった。ちなみにもとの制服は銃をしまった要領でティアが預かるとか言って、虚空へ消えていった。
その後もティアに聞いたりして色々と便利そうなのを店にあった旅用の肩から掛けるタイプのバックにすぐ使いそうなのはつめて、あんまり使わなさそうなのや、重いものは全部虚空に仕舞って貰った。
ちなみに金は店の倉庫のようなところになかなかあったから貰い……、ぬ、盗みました。
ティアに聞いてわかったんでけど、いま確認しておくと、ここはラルグニア共和国の東の方にあるテリッサと言う街らしい。
この世界はオストニア大陸という大きな大陸が一つあるだけである。オストニア大陸は簡単に見るとひし形のような形をしていて、その真ん中にポッカリ穴があいていて、海を隔ててそこに一つ大きな島がある。真ん中の島は始祖の国シーグラムといい、すべての国の頂点に立つらしい。ほかのその真ん中の島以外は全部で四大国に分かれていて、北東が軍事国家ララムス。北西が聖神国ラクライム。西南が魔法国家クーアドルというらしい。そして東南にあるのがいまいるラルグニア共和国だ。
ちなみにそれぞれの国はシーグラムによって平定されているため戦争はないんだとか。
それとこの国の金の単位ラムはというらしく、一ラム100円ぐらいらしい。
「んで、どうすんだ?? これから」
『そうじゃな、取り合えず、ここから1番近い小国に行くとするかの』
そこは地図によると、ここから北東のところにあり森を越えていかなければならない。
「ひとつ、聞いていいか??」
『ん?? なんじゃ??』
「どうやって、そこにいくんだよ。ここから100キロ近くあるじゃん」
『そ、そうじゃの~…』
「って、考えてないんかい!!」
そんなことを言いつつ街を散策していると、偶然ある店が目についた。
「あ、あれ、バイクじゃない??」
『ああ、あれは魔法駆動式二輪車じゃ』
「んな!! マジすか。でも俺は魔法使えないし…」
『いや、使えなくても大丈夫じゃ。アクセルを握れば自然と魔力が流れて使えるぞ』
「わかった、早速使ってみる」
そういうと俺は黒いバイクに跨った。
なぜ俺がバイクを使えるかというと、ずっと前にやったピザの配達のバイトで免許をとっていたからだ。
ブゥォォオオオン、ブゥォォォオオオオン!!
俺はエンジンをかけてみたんだが、体の中の何かをを吸われる感じが少し違和感はあるけど、気にならない程度だ。何度かアクセルを回してみたんでけど、なかなか音はいい。
「さて、いきますか!!」
『れっつ、ごーじゃ』
「は??、なんで知ってんだよ」
『空の記憶が頭のなかに入って来たからのぅ』
「え、ぇぇええええ!! 俺のプライバシーが!!!!」
『し、仕方なかったのじゃ。契約すれば契約した者の記憶が来るのは避けられないのじゃ。』
「い、いや…、もういいですよ、ほんと…」
『まあ、気を落とすでない、今は前進あるのみじゃ』
もう俺は気にしないことにした。そう、もうヤケクソです。
「うっしゃーーーー!!!! いくぜ!!」
バイクはけたたましい音を立てながら爆走して行った。
や、やばいこ、これ。スクーターの比じゃねぇ!!!
だってピザ屋のだよ?? あたり前じゃん。
俺はどうにか制御しながら、街の外に出た。
目の前には深い森が広がっていた。
なんか居そうだけど、気にせず足を進めることにした。
そうして空たちは森へと足を進めた、そこで仲間と出会うことも知らずに――――。
どうだったでしょうか??
ほんと、読みにくい駄文ですみません。
今回までは2日に1部程度は執筆できたのですが、短すぎる冬休みが終わりをつげるので、ご迷惑をおかけするとは思いますが、一、二週間に1度くらいになりそうです。
また引き続き、感想などをお待ちしています。
ではまで次回また(^^)/