ギルドにて
大変遅くなってすみません。
第16話です。
今俺達はと言うとあの後、自意識過剰おっさん(俺命名)を取りあえず縄でぐるぐる巻きに縛ったあと、虚空に放り込み、町のみんなと町長に報告した後、後ろ髪引かれる思いはあったものの、依頼を早く終わらせる為に、急いでグムラウを出てクルサスに向うことにしたのである。
そうして、半時ほどバイクを走らせ、クルサスに着く頃にはすでに辺りは真っ暗になり、星星が輝いていた。
レリサスに着いた俺達は早速ギルドへ行き、虚空から自意識過剰おっさんを出し、町からの報告書なども出すと、
「はい、確かに。お疲れ様でした。こちらが報酬となっていますのでご確認を、よいしょっとっ」
そう言って受付人はなかなか大きめの袋を両手で持ちながら差し出した。
「あ、あの……、これ間違えてないですか?」
「え? いえ、これで合っていますけど」
「あの~、これちなみにいくらくらいですか?」
「えーっと、12万ラムになります」
「えっ、12万ラム? …えーと、いち、じゅう、ひゃく……、って、1200万円!?」
「へ!? あ、あのどうかされましたか?」
「あの、金額間違えていませんか?」
「え? いえ、合っていますけど…、もしかして不服でしたでしょうか?、でしたら依頼主に――――」
「い、いや、そうじゃなくて、こんなに貰っていいんですか?」
「え? はいそうですけども、いかがなされました?」
「いや、俺達はただ相手を一方的にやっつけただけだし、相手もとてもSランクに入るような奴じゃなかった。そもそもこの依頼額は俺には不相応だ。俺はこのお金に見合うようなことはしていない」
「ですが…、一応依頼は達成したので受け取って頂かないわけには…」
「空、受け取ってやるのじゃ」
「だけど、ティア――――」
「空、どうして人形使いの任務がSランク以上で、しかもこの額だと思う?」
「どうして…か?」
「うむ、まあわらわが話してもよいが、そこにおる受付に聞くのがよいじゃろう」
「えっ、私ですか?」
そう言ってティアは受付の女の人に目線を配らすと腰に手を当てて俺が聞くのを待っているようだった。
「じゃあ、どうしてなんですか?」
「そうですね、じゃあまずは人形使いがブラックピースを持っていることはご存知ですか?」
「ああ」
「なら話が早いですね。じゃあ、ブラックピースがただの魔力供給だけじではなく、個々の武器に変えていることもご存知ですね?」
「ああ」
「そうですか、なら話は簡単です。それはあなた方の命をお預かりしているからですよ」
「俺達の命…?」
「はい、そうです。ですがもちろん通常でもそのことは変わりませんよ」
「ならどうして」
「はい、それは通常の依頼と人形使いの依頼との違いです」
「違い?」
「通常の依頼ならばもちろん依頼に差はありますが、たとえば竜や大蛇などのモンスターならばある程度の技量、装備、そしてなによりも“倒した前例”というのが存在します。どんなモンスターでも一度は倒されそしてそのモンスターの弱点、攻撃パターン、回避方法など勝つため、倒すための情報があります。ですからギルドに来る受注者も多少は安心して依頼に向えるわけです。ですが人形使いの依頼は毎回相手が違う上に暗黒を扱いますし、個々に違う能力を持っていてその対応もさまざまな上に、それを戦闘中に考えなければいけません。また人形もLv.2からは高位の魔法、特殊武器でしか破壊でぎず、ブラックピースにはコトラスの武器、もしくはピースを内臓した武器でしか対抗、浄化ができません。そのような依頼では私達もサポートできませんし、なにより命を落とす危険性もかなり高いです。つまり何が言いたいかと言うと」
そういうと、受付の女の人は少し曇ったような、困ったような複雑な顔をすると
「せめてもの、償いです。わざわざ死ににいくような依頼なのに、行くあなた達に私達にはなにもできません。ですからせめて、せめて報酬でも充実させようということなのです」
俺は黙って聞いていた。
「ですから、通常の依頼よりもランクも高く、報酬も高額なのです。おわかりいただけたでしょうか?」
「ああ、わかった。悪かった、勝手なことを言って。じゃあこれは有り難く受け取りますね」
「はい、お分かり頂いて有難うございます。あ、レリサスカードを出して頂けませんか?」
「え、ああ、はい」
そう言って俺とティアはレリサスカードを取り出すと受付の人に渡した。
そうすると、なにやら少し古めの木箱ほどの機械にカードを通すと俺達に渡してきた。
「はい、ありがとうございました。そのカードは依頼を重ねるごとにポイントが溜まり、ある一定に達すればランクが上がりますので」
「あ、どうも」
そう言って、俺達は出口へ向おうとして、俺はふと思い出すと振り返って受付の人に、
「教えてくれてありがとう。俺達も頑張るから」
そういうと、受付の人は一瞬虚を突かれた顔になったがすぐに笑顔になって、片手で手を振りながら、
「はい、またのご利用をお待ちしております」
と言ってくれた。
◇◆◇◆◇◆◇
「ふしっと、これで終わりっと」
「そうですね、お疲れ様です」
「お疲れさまでした」
「うぅぅ、空~、もう待てないのじゃ、早く何処か食べに行くのじゃ~」
「待てっつうの、お前どんだけ腹減ってるんだよ!?」
「しかし、空は案外罪な奴じゃの」
「なんでなんだよ!?」
「む、それは、空からあんな笑顔を向けられれば誰だって……」
と最後の方がぼそぼそ言って聞こえなかったから、
「えっ? 何?」
と言うと、ティアは
「な、なんでもない!!」
と少し顔を赤らめて否定した。
「そうか(絶対なんか言ってたんだけどな…)、んまあいいや、それで今日は何処に食べにいくんだ? まあ、金はあるし何処でもいいぜ」
「ん? なら5、6軒梯子して回ろうではないか、うむ、それがいい、我ながらなかなかの名案じゃ」
そういうとティアは誇らしそうな顔をした。
「5、6軒ってお前は大食いシスターさんかなにかか!! てかそんな大食い見たことねえよ!!」
「ふむ、すごいじゃろ?」
「褒めてねえ!!」
「空様、お嬢様にしては随分とセーブしているほうですよ。前なんて私の給料を食費だけで半分にしたんですから…」
そういってフレイはどこか遠い目をして明後日の方向を向いていた。
なんか、過去にあったんだな……。
「そんなに食べて太らないんですか?」
とアリアが言った。
「うむ、どんなに食べてもちゃんと魔力に変わるから太ったことはないのお」
「え!! ズルイです。私なんて腹8分目にいつも食べてるのに…」
「その割に肝心なとこは育ってないけどな…」
「む?、何か言ったかの…?」
そう言ってティアからビシビシと殺気が伝わってきたから、
「いや、ナンデモアリマセンヨ…」
と思わず顔を背けて片言で返事をした。
「ではそろそろ行きましょうか、結構いい時間ですし」
「うむ、出発じゃ」
そう言って、俺達は早速行くことにしたのだった。
余談だが、2、3軒目で3人横たわって顔を伏せていたらしい……。
はいどうも守月です。
一ヶ月も更新できず、すみませんでした。(しかも短い・・・・)
今回の言い訳をさせて頂くと、もちろん勉強もあったんですが、とある泣きゲーに嵌ってしまい、更新が遅れてしまいました。(本当に面目ないです・・・・)
いつもの通りですが、アドバイス、誤字・脱字の訂正、感想などをお待ちしております。
そして、後書きでしばらくしていなかった質問コーナーは今回から作者と作中のキャラクターとの雑談にして、質問があれば答えていくという主旨でいきたいと思いますので、では、約束どおり今回は、
ティア「うむ、わらわじゃ」
守月「そう、ティアさんです。ぱちぱち」
ティア「のお、守月。泣きゲーに嵌ってわらわたちをないがしろにしていたそうだな」
守月「ドキッ!!!、え、ええそうですけど」
ティア「ほお、わらわたちよりもそっちのほうが大事だったと」
守月「しかたないですよ、恭〇ーーー!!!ってなったんですよ」
ティア「お仕置きが必要なよじゃな・・・・」
守月「ティアさん、なんで両手に剣が、そしてなんで振りかぶってるの?、ごめんなさいって、うわあぁぁぁ!!!!!!!!!」
ティア「次回もよろしくの♪」