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レリサス試験 ―前編―

なかなか書くのが早くなって来ました10話目です。

 「すぅー」


俺は、息を吸い込み意識を集中させた。


心を落ち着かせ自分の周りへ、耳、鼻、肌、目以外の全感覚器官を使って集中する。


すると前回よりも早く万物に宿る精気つまりはマナを感じることができた。


「やはり空は才能があるの、よいか、前回みたいに体全体に取り込むのではなく、手から吸収するイメージを描くのじゃ」


俺は、ティアから言われた通り手に意識を集中させ、マナを取り込むイメージをした。


すると、水が腕の中へ入っていく感じがした。


「そうじゃ、その量を保つのじゃぞ。マナが自分の中心まで来たら、自分の魔力とマナを混ぜるイメージを思い描くのじゃ」


言われたとおり、俺は腕の中に入って来たマナと自分の魔力、イメージ的には、水と自分の血液を混ぜる。


すると、俺のなかにマナ、俺の魔力ではないものが出来上がった。


「うむ、成功じゃ。しかし、これだけマナと自らの魔力を上手く混ぜれるとは……」


「何か変な感じだな」


「うむ、しばらくすれば慣れるであろう。まあ時間もないことじゃし、続けるのぅ」


「ああ」


「その出来た魔力を体全体に張り巡らすイメージを描くのじゃ。まあ強化したい部分だけ集中してもよいがそれはまたの機会じゃな」


俺はティアに言われた通り、できた魔力をティアが言っていた、魔力回路に流し込み、体全体を流れるイメージをした。


すると、体が軽くなるような感じがした。


「おお、すげーなこれ」


「上手く出来たようじゃの。これで全体の身体強化の魔法は使えるようになったの。今度自動で強化できる魔法を教えるからの。しかし、始めて三日でこれとは…、そち、あまりにも規格外すぎではないか?」


「そう言われてもな~、まあ、出来たことに越したことはないんだしいいんじゃないのか?」


「まあ、そうじゃの。なんと言っても今日が試験日じゃしの。多少の準備は必要じゃろうて」


「いや、俺はこれくらいじゃ勝てる気しないんだけどね…」


そう、今日がまさにレリサスになれる試験当日なのである。

本当は三日前、つまりは俺が治ってすぐに試験を受けようとティアが意気込んでいたんだけど、こっちは病み上がりだし、ろくな準備もしてなかったので三日だけでも待ってもらったのである。(正確に言うと二日だけどな)


「では、行くとするかのぅ」


「ああ、でも本当に一人で大丈夫なのかよ」


「またその話か。大丈夫じゃ。これでも高位な魔術師じゃぞ心配御無用じゃ」


「まあ、危険になったらすぐに止めるらしいし大丈夫かな」


「まあ、見ておれ。すぐに空もわらわの強さがわかるじゃろう」


「ああ、期待してるよ」


そうして、俺達は一旦朝食を取る為に宿屋へ戻った。








◇◆◇◆◇◆◇








 「さて、行くとするかのぅ」


「そうだな」


「はい、頑張ってくださいね」


「ああ、まあ出来る限りのことはするよ」


「まあ、わらわと空なら楽勝じゃがのぅ」


俺達は取りあえずアリアに案内して貰って、ギルドに向かうことにした。


着いて見るとなかなか大きな建物で、木造建築で何処かのドーム2個分ぐらいの大きさがある。

そこは、大通りの比ではないものの、それなりに人が多く賑わっていた。


「でかいな」


「そうかの、軽くこの数十倍のものを見たことがあるがの」


「まあ、田舎ですしね」


「そうですね」


三人ともどんなの見たんだよ……。


とりあえず受け付けまで案内してもらうと、なんだか周りがヒソヒソはなしている。


俺は声を潜めてフレイに聞いてみた。


「なあ、なんで周りからヒソヒソされてんだ?、俺の服装変か?」


「そうではありませんよ。レリサスって言うのは一応試験を受ければ誰でもなれますがなれる人は一握りですし、それにそんな試験を受ける人自体珍しいですよ」


「なるほど、アリアとフレイってやっぱりすごいんだな」


「そうでもありませんよ、それに空様もすぐになれますよ」


「さて、どうだろうな」


そんな会話をしていると、ティアは受付が済んだらしく俺の番になった。


「ティア様の契約者のソラ・クスミ様ですね」


「はい、そうです」


「ではこの書類に登録事項を書いてください」


俺は言われた通り、登録書に書かれてある項目に従って書いていった。


「書き終わりました」


「ありがとうございます。ではこの契約書にサインを」


「はい」


俺はサインを一応書いたのだが、漢字でいいのかよ…。


「あ、あの、これは…??」


ほらやっぱり困ってらっしゃるよ!!


パチンと音がすると俺が書いた文字が全て筆記体の文字に変わった。


「まったく世話が焼けるの~」

「サンキュー、助かったよ」

「はい、ではこれで登録完了です。ではこちらへどうぞ」


俺達は案内されるがまま行くとドームぐらいの広さがある広場に案内された。

そこは、床が平らで土でできていた。また、その床を囲むように、座るところがあった。まあ言うなれば闘技場だな。


「ここが試験会場となっています。試験官を呼んで参りますのでしばらくお待ち下さい」


試験官が来るまでの間、俺はアリアに質問することにした。


「なあ、なんで人が集まってきてんだ?」


「まあ、レリサス自体が貴重ですしね。試験が見れることなんて滅多にありませんし」


「そうは行ってもあんまりにも集まりすぎじゃないか?」


「ここは試験は見学自由のようですしね、たぶんこの国の多くの人がここに来るんじゃないんでしょうか」


「マジでか…」


「そう気を落とさなくてもいいんじゃないんですか、応援してくれる人は多いほうがいいですし」


「そ、そうだね……」


俺は取りあえず心を落ち着かせるために適当なところに座り、目を閉じた。

周りに意識を集中させ、全感覚を使って周りを感じ取る。

観客の声、土の匂い、砂埃を巻き上げながら吹いてくる風。

そんな事を感じていると自然と落ち着くことができた。


「落ち着いたかのぅ??」


「ああ、なんとかな」


そうしていると受付の人が二人の人を連れて来た。


「お待たせしました、お連れしました。ソクラウム様とヒアグム様です」


「その二人が試験を受けに来た者かのぅ??」


受付の人が連れてきた二人のうち、茶色いローブを羽織った白い髭を蓄えた爺さんのほうが話してきた。


「そうです。この二人です」


と受付の人が答えてくれた。


「そうか、まあそう堅くならなくてもよいからの。わしの名はソクラウム・クル・タームじゃ、ソクラウムと呼んでもらって結構じゃ。して、おぬしらの名前はなんと申す」


「クスミ・ソラです。ソラと呼んで下さい」


「わらわはティアじゃ、よろしくの」


俺達は老人の握手をしたあと、隣にいた三十代くらいの同じく茶色いローブを羽織ったブラウンの髪をもつ男が前に進みでてきた。


「私はヒアグム・スリグームと申します、ヒアグムと呼んで下さい」


同じように俺達は握手をした後、ヒアグムさんが、


「では早速ですが、ルールの説明に参りたいと思います。まず第一としてこの試合はあくまで試験です。なので命を落とすことはないと思いますが、自らの魔法などによる死亡事故などの責任は負いかねます。また、試験官への直接攻撃は原則無効とさせていたたきます。対戦時の武器は基本的に認められていますが、万霊殺しの効果の付いたもの、またはそれに準ずるものの使用は禁止です。おおまかな説明はこのくらいですが、諸ルールはこの説明書で確認しておいてください」


そう言ってヒアグムさんは三ページ程度の紙をくれた。


「では、これから三十分後に試合を始めます」


「わかりました」


「試合はどちらからでも構いませんがどちらからにしますか」


「あ、ああ……じゃあ俺からで」


「?、わかりました。では三十分後に」


「はい」


俺が口ごもったのは言うまでもなくティアのせいだ。

俺は、ティアが危ないから俺と一緒に出て俺が戦うと言ったんだけど、『嫌じゃ、わらわも一人で出る』の一点張りで結局一人ずつで出ることになってしまった…。


「なあ、マジで大丈夫なのか?」


「ん?、だから何度も言ってるじゃろうが。それより空の方はどうなのじゃ??」


そういって少し意地悪そうな顔でニヤリと笑ってきた。


「お、俺か? そうだな、自信なんてもんはまったくないけど、でもまあ、なんとかするよ」


俺がそういってティアの方に苦笑いをすると、


「ま、まあそちがそう言うなら大丈夫じゃな…」


そういってそっぽ向いてしまった。


まったくなんだろうな……?








◇◆◇◆◇◆◇








 その後、俺達は闘技場の休憩室のような所に案内されて、休憩というか、最終調整をした。

アリアとフレイは入れないので観客席で応援するとのこと。


しばらくそれぞれ調整をいていると、


「そちが相手をするのはあの老人の方じゃな」


「ああ、ソクラウムさんだろ、それがどうかした??」


「空だから心配することはないと思うが相当なてだれじゃ。気を引き締めるに越したことはない」


「ああ、忠告ありがとう。お互い頑張ろうな」


「うむ」


そう言って俺達は握手をした。


そうしていると、


「ソラ様、ティア様時間です」


「はい、わかりました」



そう言って俺達は休憩所から出て案内してもらった。


闘技場へ――――。








◇◆◇◆◇◆◇








 「それでは始めたいと思います、両者前へ!!!!」


そう叫んだのは審判らしき男で、俺は闘技場の中心へ足を進める。


俺は今平然とした顔で歩いているが、内心はかなり焦っている。


と言うのも、俺達が会場に着いて、会場を見回すと、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、――――人ばっかりだからだ。


この国のほとんどが来てるんじゃないのかというぐらいの人で会場は犇めき合っていた。


緊張するのも当然だろ?

だって俺が経験したのってせいぜい全校集会で(1000人程度)委員会の活動報告したくらいですよ、こんなの比じゃねぇ!!!!


会場は人の歓声で騒がしく、今か今かと試合を待つ声が大きい。司会者の話によるとこの闘技場は試合を行う所と観客席の間に強力な迅壁が張ってあるらしく大丈夫なのだとか。


「では、両者挨拶」


そう言って俺は軽く頭を下げると、ソクラウムさんも頭を下げてきた。


そうして一定の距離をとると、ソクラウムさんは腕を掲げると、


「我の召還に従いその姿を現せ、ヴァルキリー!!」


そうソクラウムさんが叫ぶと腕に青白い幾何学的な刻印が浮かび上がり、スゥーと何処からともなくヴァルキリーが登場した。


すると会場の声援がさらに大きくなった。


ヴァルキリーさんは白と黒を貴重とした服の上に青い鎧を装備していて、顔は同じく青いヘルムを本当は頭だけなのに少し深めに被っているせいで見えない。また、髪は俺と同じ黒髪で動きやすいようにポニーテルにしてあった。


「主、御呼びですか」


「うむ、レリサス試験じゃから相手を頼む。手加減は無用じゃ」


「承知しました」


そう言うと、ヴァルキリーさんの左手には軽くデフォルメされた木製盾が二本のベルトのような物でくくり付けてあって、右手にはつばのない、刀身が大きめで黄色にデフォルメされた剣が現れた。


俺も虚空からツインゲベアを取り出した。


それを合図としたように


「それではただ今よりレリサス試験を始めます、試合開始!!!!!!!!!!」


そうして試験が始まった――――。








◇◆◇◆◇◆◇








 「はっ!!」


最初に飛び出したのはヴァルキリーの方。


俺の胸元に向かって飛び込んできて、下から振り上げるように斬り込んできた。


俺は、とっさに後ろに下がりさがら右手のゲベアの受け止める。


「くっ、重い!!」


ガキーンと音がすると、次にヴァルキリーは俺の脇から抜け出て俺の後ろに回り込んで、今度は上から振り下げてきた。


それを俺は振り返りながら、またゲベアで受け止めながら、わき腹めがけ、横蹴りを繰り出した。


それを盾で受け止めると、逆に、俺の腹に向かって左手で殴ってきた、俺はそれをゲベアを仕舞い同じ左手で、受け止め、虚空から再びゲベアを取り出し、さらに左足でヴァルキリーの腹を蹴ろうとしたら、


ヴァルキリーはくるっと回って剣を今度は横振りに繰り出して来た。


俺はそれを右手のゲベアで受け止め、距離を取る為に爆風の弾を想像し、快楽のほうのゲベアで弾を放った。


バン!! と音がするとヴァルキリーに当たり、俺の反対側の壁に吹き飛ばされていったが、空中で一回転すると、すとんと地面に降りた。


実際手合わせして分かるけど、かなり強い。

あの俺が至近距離から放った弾に反応して、実は剣で僅かばかりながら弾いている。

俺は先ず魔力を練って、身体強化魔法を使おうとしたんだけど、不完全なまま来たもんだから、すこし腕が痺れている。


「ふっ」


俺は少し笑ってしまった。可笑しかったんじゃなくて、楽しいからだ。

今までこんなにも強い人と相手をしたことがないからだ。

だからこそ快楽の方のツインゲベアが発動した。


俺は距離を置いたことで、完全に魔力を練る。


足と手に魔力を集中させて、今度は俺から飛び出した。


俺は、初撃に閃光弾のような弾を想像し、ヴァルキリーの前に撃ち、俺は目をつぶりながら気配を頼りにヴァルキリーの後ろに回り込んで、ゴム弾を想像して、腕、足に4発的確に撃った。


そして目を開けて見ると撃ち込んだ腕と足の所に背中から生えてきた真っ白い翼が覆いかぶさっていて俺の弾は全て防がれていた。


俺が呆気に取られてるうちにヴァルキリーは振り返り、剣を振り下げてきた。


「くっ!!」


俺は、すぐに後ろに下がったんだけど、ヴァルキリーの剣のほうが早く、右の肩口を少し斬り込まれてしまった。


確かに避けれたが、傷口は浅くはなく、服を赤くぬらすほどの血が出ている。


そしてさらにヴァルキリーがとどめを刺そうと何度も斬り込んできたが、ぎりぎりの所でなんとか避けて再び爆風の弾を撃ったんだけど、今度は食らわなかった。


というのも翼がはためくと、その場から姿を消し、上空へと飛んだ。


まずいな、上空かよ…。

確かにゲベアは飛び道具だけど、まだ百発百中とはいかない。

それに、さっき受けた傷のせいで右腕が上手く動かない。


俺は少し服を破き、あまり効果はないが肩口の怪我を止血した。


そうしているとヴァルキリーが、


「なかなかやりますが私には敵わないと思います。降参するなら今ですが?」


「はっ、降参? しねぇよそんなこと。約束してるからな」


「そうですか残念です。では、行きます!!」


そう言うと、ヴァルキリーは天から俺を倒すべく、剣を掲げながら向かってきた。


ふぅ、正直ヤバイな。

俺は無い頭で戦略を練ったけど、一つしか出てこなかった。

仕方ないか、勝つ為だしな。


俺は決心して、ヴァルキリーめがけて、ツインゲベアでゴム弾を放った。

しかし何発も放つがヴァルキリーはスイスイかわし、俺の胸もとに入り込んできた。


「これで終わりです!!」


そうして俺めがけて剣を突き刺してきた。


それを俺は避けもせず、あえて受けた。


「ごふっ」


「なっ!!」


そうしてヴァルキリーが混乱しているうちに左手に今練れる魔力を左手に精一杯練り上げ、そしてヴァルキリーの腹めがけて、


「うぉらぁあああ!!!!」


と殴った。


そうすると、ヴァルキリーが気絶した。


そうすると、会場はしばらく静かになったが、審判が、


「しょ、勝者、挑戦者ソラ=クスミ!!!!!!!!」


と叫ぶと会場はひときは大きな歓声に包まれた。


そうして俺は安心して、張り詰めていた気が切れたのか、気を失ってしまった。


いつか感じたやわらかい誰かに抱きとめられる感触を感じながら――――。


毎度読んで頂きありがとうございます。今回は木曜が休みだったので早く投稿することができました。そして今回でようやく十話いきました、今後も変わらぬ気持ちで読んで頂けたら幸いです。またお知らせなんですが、十話突破したので、もう一作書きたいと思いますので、そちらも暇がありましたらどうぞ読んでみて下さい。

毎回ですが誤字脱字の指摘、感想、アドバイスなどをお待ちしております。

ではまた次回に。

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