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兄が届けてくれたのは  作者: くすのき伶
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タカがハルを見つめる目

「ねえハル君」


「はい」


「タカ君と仲良くなったら、私も嬉しいな」


「えっ、あ、はいっ」


「っていうのもね、タカ君がハル君を見る目はヒロを見る目と似ててさ。この前思ったんだ」


「それは……兄を思い出すからですよね、きっと」


「うん、たぶん。でもそれだけじゃないよきっと。ハル君はタカ君にとって親友の弟だけど、さ。上手くいえないけど……。うん、やっぱり上手く言えないや。あははっ。ごめんね、忘れて。でも2人は仲良くやれると思う」


「あはは、そうだといいです」


「それに、タカ君と飲みにも行ったんでしょ?この前タカ君から聞いたよ。どうだった?」


「ああ、すごく楽しかったです。飲みは僕から誘ってみました。お酒の場って、気も緩んで気楽に話せる気がして」


「そうだよね~。タカ君、全然変わらなかったでしょ」


「お酒を飲んでってことですか?」


「そう。私たちもよく飲んでたんだけどね。タカ君がベロッベロに酔ったとこ、私は見たことない。強いよね」


「サエさんはお酒は?」


「私は……タカ君ほどじゃないかな」


「へえ。なんとなく強そうです」


サエは、そんなことないよ、と首を軽く横に振った。


「ヒロはね、弱かったよ。飲めるには飲めるんだけど、何杯もいける感じじゃなかった」


「えっ」


「あれっ、もしかしてハル君も弱いとか?」


「はい。全然強くはないと思います。タカさんと飲んだ時も僕は、ほろ酔い気味でしたし」


「そうなんだね。そこも、ヒロと似てるね」


ふふふっとサエが笑いながら言った。


「はい。そうみたいですね」


「これからもっと、そういうこと知っていくんだろうね」


「はい。タカさんやサエさんから兄のことを聞いてから、今まで遠くにいた兄の存在がどんどん近くなってきている気がして、嬉しいです」


「そう言ってくれると、私たちも話しがいがあるよ」


会話しながら何度も微笑むサエの表情に、ハルは少しの心地の良さを感じていた。


「兄の気持ちも、なんとなく想像できるというか」


「え?」


「兄は、きっとサエさんを見るのが嬉しかったんだと思います。なんとなくですけど、本当なんとなく」


「そうだと嬉しいよ。私もヒロ見るの大好きだった」


そう言って、サエはまた微笑んだ。





気づけば2人がお店に入ってから3時間も経っていた。


「そろそろ行きますか?」


「うん、そうだね。ひゃー、心もお腹も満足です。今日ありがとうね、本当」


「あはは、いやいや、こちらこそです。来てくれてありがとうございます。このお店にしてよかったです。本当、よかった」



サエは、途中まで言いかけたタカとのことを、最後まで話すことはなかった。




駅でサエを見送ったあと、ハルがスマホを見る。


タカからの連絡を少しばかり期待したが、何も来ていなかった。






サエとハルの会話回はキヨヒロとタカ、サエの過去の話も絡み、だいぶ長くなってしまいました。

会話多っ!って感じですよね。


サエとタカの過去には、とある "しこり" が存在します。

この先の話でそこにしっかりと触れていきます。


彼らには、まだ明かされていない苦しみの種が残っており、ハルが現れたことによってそれも変化するんで、ハルは良い意味でも嵐を巻き起こしています。


とりあえず次の話で、ハルタカメインの内容に一旦戻します。

読んで下さり、ありがとうございます。

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