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兄が届けてくれたのは  作者: くすのき伶
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タカとサエの出会い

サエがタカと出会った場所は、サエのバイト先だった。


バイト先はダイニングカフェで、サエはキッチンでケーキやクッキー、パフェなどスイーツを作る業務を担当していた。


その日キヨヒロは、サエの業務が終わる少し前に、バイト先に来ていた。たまにこうしてサエを迎えに来るのが2人の間ではいつものことになっていた。


キヨヒロがテラスで哲学書を読んでいると、バイト上がりのサエがやってきた。


「ひゃー!お待たせ~ いつもありがとうね、迎えにきてくれて」


「このテラス好きなんだよ、本に集中できるから。あ、ねえ、このケーキってサエが作ったやつ?」


「うん、この時間帯のスイーツはほぼほぼ私かな」


「うまいよ、さすがだね」


「いやいや、決められたレシピ通りに作ってるだけだよ」


「同じレシピでも作る人によって味違うんだよ」


「えーそうなのー?」


「うん。今日さ急なんだけど、俺の友達も呼んだんだ。会ってみてほしくて」


「えっ緊張してきてきたんだけど笑」


ちょうどそのタイミングでタカがやってきて、キヨヒロがこっちこっちと手を振る。


「よっちゃーん!」


タカはニコっと笑いながら近づいて、サエに向かって自分の名前を名乗る。


「はじめまして、サエ……ちゃんだよね!タカです」


「ど、どうも。サエです。って、え?タカ……?よっちゃんって呼んでなかった?あだな?」


サエがキョトンとした顔でキヨヒロに聞いた。


「うん、ヨシタカだからよっちゃん」


キヨヒロが満面の笑みで言うと、タカがふふっと笑った。


「よっちゃんなんてヒロしか呼ばないよ笑」


「あっはっは!俺は気に入ってる。よっちゃん」


「あ、サエちゃんは無理してよっちゃんて呼ばなくて良いからね。俺はタカって呼ばれてるから」


「あっはい。わかった!じゃあタカ君でいくね」


「うん、よろしくね、サエちゃん」


「サエ~、ごめんね急によっちゃん呼んで。でもよっちゃん爽やか良い奴だから」


「あ、はい!」


「何だよその紹介の仕方は笑」


タカがプハッと笑いながら言った。


「あっはっは!で、食べかけで悪いけどさ、よっちゃん。このケーキ食べてみてよ」


「食べかけかよ」


「えっ注文する?私メニュー持ってくるよ」


サエがメニューを取りに席をたとうとすると、キヨヒロが止める。


「いいよいいよ、今頼んだら他の人が作るでしょ?これ食べてみてよ、よっちゃん」


「まあ食べるけど」


タカはキヨヒロが使っていたフォークを手に取り、食べかけのケーキを一口食べる。


「どうよ」


キヨヒロが、ニヤっとしながら聞く。


「あ、うまい」


「でしょ?うまいんだよ~サエの作るケーキは」


「ちょっとヒロ、タカ君に無理やり言わせてない?タカ君ごめんね。これね、お店のレシピ通り作ってるだけだから、誰が作っても美味しくなるって言ったんだけどね」


「いや、サエはわかってないねえ。作る人によって料理の味は変わるんだよ」


「うーん……笑」


「あはは!うまいよ、めっちゃうまいサエちゃん」


「そう言ってもらえて……光栄です」


「あっはっは!」


キヨヒロが声を出して笑った。


何がそんなに楽しいのか、キヨヒロはサエが作ったケーキを食べるタカを見て、とても満足しているように見えた。


そんなキヨヒロを見て、まるでやれやれとでも言いたそうなタカの表情が、サエは微笑ましくも感じていた。


なんだかんだ56話目に突入です。

読んでいただきありがとうございます。


サエは、ヒロが自分のケーキを美味しいと言ってくれたことを実はものすごく嬉しく感じていて、沢山作るようになります。

そういうところが彼女の可愛いところでもあります。

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