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兄が届けてくれたのは  作者: くすのき伶
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サエとキヨヒロの出会い2

「そこからヒロとどんどん仲良くなっていったかな~話も合ったしね」


「そうなんですね」


「ヒロはね、哲学が好きだったんだよ」


「へえ。兄が哲学ですか。僕あまり哲学はわからなくて。難しそうです」


「うん。私も好きだけど、好きってだけで本当の理解は全然できてないと思う」


「人によって解釈分かれそうで」


「ね。ただ、人の心を知れる一番違い学問とは思ってる」


「……」


「って、ヒロが言ってたの」


「えっそうなんですか」


「うん。人の心……って複雑じゃない?ヒロは人間の内側っていうのかな?そういうの興味あったみたい。愛情とか、感情とか、そういうの」


「心理学ではなくて、哲学にいったんですね」


「うん。心理学だって人の心学べると思うんだけどね。でもヒロは哲学を選んだんだよね」


「へえ」


「もう十分知ってそうだったけど。10代なのに大人びてて。私にとってはヒロは落ち着いたお兄さんって印象だった。出会ったときからずっと。あっ、でも子供みたくはしゃぐこともあったよ」


サエはふふふっと笑って続けて話す。


「いろんなことにすぐ気づくし、全然怒らないし、私の話を……目を見て最後まで聞いてくれるし。なのに小さなことで子供みたくすぐ笑うところもあって。何この人って思って、それでどんどん惹かれてったな」


ハルは、サエの話を聞いていて少し照れ臭くなった。


「なんだか聞いててこそばゆいというか」


「あはは!そうだよね。話を聞いてくれるの、すごく嬉しかった。私の意味わからない例えとか、些細なことまでいつもちゃんと聞いてくれたの。……あ、これはやばい。ちょっとうるっときちゃうね」


そういってサエは水を勢いよく飲み込み、小さく深呼吸をして、ハルの目を見て言う。


「それに君のお兄さんは、なんていうのかな。海みたいな人だったのだよ。ほわほわ~とした、あったかい海みたいな」


「海……ですか」


「うん、隣にいると安心する。ぷかぷか浮いてるみたいな。あはは、例えが変だね」


「あ、でも、隣にいると安心するっては少しわかる気がします。僕が子供の頃兄はいつも隣にいてくれて、守ってくれてたから」


「そっか。大人びてたのは、愛する弟君がいたからなのだね」


「あはは、愛するって、なんだか重いです」


「ははっ。そうだね」


サエがふふっと優しい表情で笑い、窓の外をちらっと見る。



ハルがタカについて聞く。


「タカさんとは、いつ会ったんですか?」


「あっタカ君はね、ヒロと仲良くなりはじめてすぐの頃だったかな?」


「どんな印象だったんですか?」


「うーん……好青年!かなあ。ヒロみたいに優しい青年って感じだったよ」


「へえ」


「タカ君との出会いも、よく覚えてるよ」


そう言ってサエはタカとの出会いについて話しはじめた。


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