表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄が届けてくれたのは  作者: くすのき伶
53/82

サエさん、お聞きしたいことがあります

ハル、タカ、サエの3人が会って1週間が経った頃、サエにハルからメッセージが届いた。



「サエさん、こんにちは。先日はありがとうございました。もしサエさんが迷惑でなければ、今度お茶しませんか?お聞きしたいことがあるんです」


「こちらこそありがとうございました。楽しかったよー!お茶大丈夫だよ、いつにする?」



その数日後、ハルとサエ、2人だけで会うこととなった。



約束当日。


ハルが待ち合わせ場所の駅に到着する。

その10分後、サエがやってきた。


「ハル君」


「あ、どうも。こんにちは」


「待たせちゃったよね。ごめんね」


「あ、いえ、僕が早く来ただけなので」


サエの微笑む表情を見て、兄はこの笑顔をいつも見ていたんだな、とハルは思った。


「じゃあ、行きましょうか。こっちです。すぐ近くです」


「うん」


ハルは甘いもの好きのサエのことを考え、スイーツのメニューが評判なダイニングカフェを予約していた。


「サエさんは自分でよくケーキとか作るんでしたっけ」


「うん、作るよ。最近は頻度減ったけど作ってる」


「へえ。お店でも食べますか?ケーキとか」


「食べる食べる」


「そうですか。よかった。今から行くとこケーキ人気みたいで。もしお腹空いたら食べてみてください」


「ええ!わざわざありがとう、そういうお店選んでくれて」


「いえ、こちらこそ時間を作ってもらいましたし」



そう言いながら歩いていると、お店の前に到着した。


歩いている途中、すれ違う男性があまりにもサエを見るので、ハルは隣にいるのがなんだか申し訳なく感じた。


お店に入り、注文した飲み物が到着する前にハルが話をきりだす。


「サエさん。あの、今日会ってほしいってお願いした理由なんですけど……」


「ヒロのことでしょ?」


「ああ、はい。それと……タカさんのことも」


「え?そうなの?なんかあったの?」


「あ、いや、何かあったわけじゃないんですけど。あの、兄のことはもちろんそうですし、タカさんは兄と仲良かったみたいだから。2人のことも知りたくて」


「うん、すっっっごく仲良かったよ。私からしたら兄弟のようで。って、ハル君の前でこんな言い方は良くないか、ごめん」


「いえ、全然大丈夫です。あの、いまさらではあると思うんですけど、僕が兄のことをサエさんから聞くってことは、兄との思い出を引っ張り出すわけで……その、辛くなったら本当に無理しないでくださいね、本当に」


「タカ君みたいなこと言うね。全然大丈夫だよ、ハル君。ありがとうね」


そういってコーヒーを飲んで、続けて言う。


「優しいところもそっくり」


「あ……いや、そう……なんですかね」


「うん。それに、もし嫌だったらそもそもハル君と連絡先を交換なんてしないし、ここにも来てないよ。ハル君が誘ってくれたとはいえ、私が今ここにいるってことは私の意思で来たことだから。だから気にしないでね」


サエはハルの目をまっすぐと見つめて言った。


「ありがとうございます。兄は……。その、兄とタカさんとサエさん、どんな出会いだったんですか?」


「そうだよね。気になるよね~!私が2人に会ったのはね、大学生のときだよ。18、19とかかな?」


「みなさんの出会い、すごく聞きたいです」


「話す話す。ヒロとの出会いから話すね。最初に会ったのは大学の講義のあと!同じ講義受けてたんだよね、ヒロも私も。その講義がね、びっくりするくらい難しくて何言ってるかわかんなくて!笑 哲学なんだけど。その講義のあとに、ヒロが話しかけてくれたんだ」


「へえ」


ふふふっと、目を細めて笑いながらサエは当時の状況を話しはじめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ