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兄が届けてくれたのは  作者: くすのき伶
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タカとサエの電話

「もしもし」


「どうしたの?」


「ああ、電話ありがとう。あの……さサエちゃん。ハルさんに会ったんだよね」


「……」


「聞こえる?」


「……」


「あ……ごめん。電話じゃないほうが良かったかな。ごめんね、メールにす……」


「あ、ごめん。違うの、ちょっとびっくりしただけ。全然大丈夫。ヒロの弟さんだよね」


「うん」


タカは、ハルと初めて会った海でのことをサエに話した。


タカが話をしている間、サエは静かに相槌を打ち聞いていた。


「でさ、実はさっきもハルさんと会ってたんだよね」


「えっ!あ、そうなんだ」


「うん。まあ……いろいろ重い話を聞かせてしまったし、ハルさんもいろいろあって。ちょっと気にかけてる」


「そっか」


「サエちゃんのことも伝えてて、ハルさん会いたがってたよ。ただ俺がセッティングしたり勝手なことはしないから安心して」


「うん」


「サエちゃんさ、最近はどう?元気にしてるの?」


「元気にしてるよ。大丈夫。話すネタも溜めてるよ」


「ネタ!そっか」

ふふっとタカが笑った。


「サエちゃんお菓子作るの辞めないでね」


「うん。たまに作ってるよ」


「よかった。急にごめんね。一応ハルさんのこと伝えておきたくてさ」


「あ、ううん。大丈夫。ありがとう。タカ君は平気なの?」


「何が?」


「だって、ヒロの弟さんに会うってことは……いろいろ思い出したでしょ?」


「うん、思い出したよ。すごく。でもなんていうか、むしろ少しずつ肩の荷がおりてる感じもするんだよね。ヒロって弟のことすごく気にかけてたから。俺が代わりに出来ることしたいなって感じ」


「そっか。ヒロはタカ君のことすごく信頼してたもんね。頼れる相棒って感じで」


「そうだね。じゃあ、またなんかあったら連絡するね。今度ゆっくり話す。電話かけさせちゃってごめんね」


「ううん。私こそ連絡ありがとうね。じゃ」

 


 


タカはサエとの電話を切り、ふうっと深く深呼吸をして空を見上げた。




雲がオレンジ色に染まりかけていた。




「もう夕方じゃん……きれいな色してんなー」




タカは、小さな声でそう呟いた。


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