崇高な愛 11
ロジーネは他の令嬢たちとは違う少しシックな装いだった。暗い色合いのドレスは、大人びた印象をしているが、たしか、フィーネと同じ歳のはずだ。
黒髪に黒い瞳は一見、華のない印象を与えるが、顔立ちは整っていて、無駄に着飾っていないのが逆に彼女の美しさを際立たせているようだった。
そんなお互いを観察する時間が終わるころ、ひときわ華やかな天使のような少女がぱたぱたとかけてくる。
「ね、姉さまっ」
少し、焦ったような声に、フィーネは出来るだけのんきな笑みを浮かべた。記憶を手に入れてから初めての邂逅だったが、会ってみればやっぱりベティーナはフィーネの大好きな可愛らしい妹という事に変わりがなくて、今日の気合いが入ったベティーナの瞳の色と同じドレスは、ふんだんにレースやリボンが使われいて、お人形さんのように可愛らしかった。
「急に来てごめんなさい、ベティーナ。貴方の交流を邪魔する気はないの、ただ、昨日のことがあって、少し気分転換したくなって……」
あくまで、ベティーナは顔を広げるためにフィーネの代わりにこういった集まりに参加していることに、まったくいつもの通りに疑問がないような顔をして、フィーネは言った。
代理参加はいつものことでありフィーネも了解していたので、今までのフィーネはまったく疑問に思っていなかった。今がそうではないと悟られないように、ハンスの事で落ち込んでいるような顔をした。
「……仕方ない姉さま、でも困ったわ、ロジーネ様のご都合だってあるはずですし……」
ベティーナは頬を引きつらせつつも笑顔を作ってから、フィーネを何とか帰そうと、ロジーネの方を見た。
そんな、ベティーナの瞳にロジーネは気が付いていたようだったが、ふとそんな彼女から視線を外してフィーネの方へと視線を移した。
「私は構いません。今日は多くの令嬢を呼んでいますから、一人や二人増えても差し支えないでしょう、ようこそ、フィーネ様……ぜひ、魔法の勉強会を有意義に楽しんでいってください」
「……ありがとうございます」
「……」
フィーネの参加が許可されると、ベティーナはあからさまに機嫌が悪そうな顔をして、睨むように視線を鋭くして不機嫌に眉間にしわを寄せた。
ロジーネがガゼボの中へと戻っていくと、彼女の周りの令嬢たちも、同じように、勉強会の交流場所へと戻っていく。
「……気分転換といっても急すぎるわよ。それに、そのドレスじゃ浮くし……」
「ごめんね、ベティ」
「いやよ、帰ったら母さまに言いつけるんだから」
そうベティーナは言って、彼女も歩き出す。
フィーネはその後ろをなんとかなったことに少し安心しながらゆっくりと歩いた。




