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最強魔導士は隠居したい  作者: ヤスキジュン
3/3

プロローグ3

「昨日は酷かったな・・・。」

 俺は宿で目が覚めて、昨日のあの後を回想する。

各門を守っていた部隊の兵士や傭兵同士で合同打ち上げがあったのだが、そこで様々な

質問をされるわ魔法を教えてくれだの、訓練に来てくれだの、英雄だの様々な声を

浴びていた。しかし、指揮官らしき者とザールは報告があるみたいで、王城へ入って

行き、宴会の時には居なかったと思う。

「そろそろ行かないと。」

 俺は冒険者なので生活費を稼ぐために準備をしてギルドへ向かう。


「あ、マルクさんこちらです!」

 ギルドの入り口に立つと、受付嬢から急に呼び出される。俺は受付嬢に向かって歩き

「何かあったのか?」

 俺は急に呼びだしを受けた事に疑問を持ったので受付嬢に問いかける。そうすると

「ギルドマスターからの呼び出しがあるので、応接室にお入り下さい。」

 ザールから?何だろう、俺はそう思いながら応接室の椅子に座る。しばらくすると、

ザールがやって来て。

「マルクか、良く来てくれた。」

「要件って何ですか?」

「それは、後二人来てから話すよ。」

 もったいぶってるなと思ったが、これ以上何か言う必要が無いと思い、その件については

黙る事にした。だが、ギルドの紋章を返す必要がある事を思い出したので、

「ギルドマスター、頂いたこれを返そうと思ったのですが。」

 そういって紋章を手渡そうとしたが、

「いや、その必要は無い。君の実力があればそれは後々必要になるかもしれないから、

 持っておいてくれ。」

「分かりました。」

 そう言って、軽くザールと雑談していると、扉をノックする音が聞こえて。


「何だ?」

 ノック先の相手に対して返すザール

「お客様がお見えになりました。」

「入って貰ってくれ。」

 ザールがそう言うと、イケメンの男性と綺麗な女性が入ってきた。俺は何かわからず

呆然としていると。

「お待ちしておりました。御掛けになって下さい。」

 ザールがそう声を掛ける。二人が座った事を確認したうえで。

「マルク、このお二方は。ルーク様とルイーザ様、先の戦争で指揮官を務められていた方達だ。」

 俺がびっくりしていると、男が先に口を開き、

「ルークだ、貴殿の活躍により、レイモンズ帝国を撃退する事が出来た。本当に感謝する。」

「ルイーザです、貴方が居なかったら私は殺されていたでしょう。犠牲になった士卒達も

 居ますが、生き残った者も多く居ます。本当にありがとうございました。」

 続いてルイーザも話を続けていく。

「マルクです。俺はただ魔法を撃っただけです。特段と何かしたつもりはありません。」

 そう言うと、三人とも苦笑しながら、ザールが口を開く。

「そう謙遜するな、マルクの魔法が無かったら多分殲滅されていたぞ。」

 少しの間をおいて、ザールが声を掛ける。


「ルーク様はサ―ヴィン公爵のご子息、ルイーザはご令嬢だ。」

「は?」

 思わずは?と言ってしまった・・・。そりゃそうだ。公爵の子女って言ったらそりゃあ

お偉い様だからなぁ。

「先程の決戦では、父上が残存した貴族を率いて決戦を行ったが、敗走し国には敵軍を撃退する

 兵力も残って無かったのだよ。だから私とルイーザで最後の抵抗を試みるしか無かった。」

「はい、王国では父上の一部残存部隊と王の親衛隊のみしかありませんでした。各地の領主

 は一部壊滅、決戦に臨む部隊も壊滅と悲惨な有様でしたから。」

 おいおい、本当に滅亡寸前だったのかよ・・・。俺は衝撃を受けていた。

「だから、あの時私は貴殿のみが援軍と聞いても藁にも縋る気持ちだったのだよ。」

 かなり安堵の表情を浮かべるルーク、ルイーザも同様の表情をしている。

「だから、助かった。ありがとう。」

「ありがとうございます。」

 俺に頭を下げる二人。

「いえ、皆様が無事なら良かったです。」

 少しこそばゆくなり、そう返すしか出来なかった。


「それで?俺がここに呼ばれた理由は?」

 頭を下げ続ける二人に俺はちょっと気まずくなり、今日の本題を切り出した。

「まず、陛下から此度の戦の褒美が下賜される。その式典に来て欲しい。」

「分かりました。」

 俺は即答で答える。

「そして、これは次の話だが。」

 神妙な面持ちで話しかけてくるルーク。

「帝国に占拠された各都市の解放を貴殿にお願いしたい。」

 俺は衝撃的な話を聞く、少し硬直していると、

「お恥ずかしい話、我が国には敵戦力を撃滅する力はない。貴殿に頼るほか無いのだ。

 私は王太子殿下と幼馴染で軍備の話を良くするのでな。」

 どうやら先の戦争でかなりの戦力を削られているみたいで、この国にそもそも体力が

無いみたいだ。出来ても専守防衛程度で占拠された都市を奪い返す力も無いと。

「占拠された奪還して、その後取り返される可能性はありますか?」

 俺はまずそこを聞きたかった。奪い返した後また奪われても意味が無いからね。

「その点は問題ないだろう。残存勢力を取り返した都市に多く配置する事で

 貴殿が戻るまでの時間は稼げる筈だ。」

「分かりました。」

 ルークなら占拠後の指揮に関しては問題ないだろう。

「感謝する。都市を解放する解放軍の主力に貴殿、残存勢力の殲滅はルイーザが

 そして、占拠後の防衛は私が行う。この事を殿下に進言し、陛下の承認を得たのちに

 実行すると思う。」

「分かりました。」

 俺は承諾した。

「感謝する。」

「ありがとうございます。」

 二人から感謝の声が述べられる。

「それでマルク、今日は貴殿に謝意を示したいので私の屋敷迄来てくれないか。」

「え?」

 突然びっくりした俺、まさか呼ばれるとは思わなかったから。

「無理にとは言わないが、来てくれると助かる。貴殿は私達を救ってくれたのでな。」

「分かりました。」

 そう言って、ルークの屋敷に行くことにした。

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