表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強魔導士は隠居したい  作者: ヤスキジュン
2/3

プロローグ2

「は?」

 俺は自分が放った魔法の威力に戦慄していた。少しの間をおいて、

「なぁ、今の・・・。マルクが撃った魔法だよな・・・。」

 後方で指揮しているザールが話しかけてくる。

「ああ、俺の魔法だが・・・。」

「今のフレアだよな。」

「一応・・・。」

「フレアがあの威力か・・・。」

 少しのやり取りの後、ザールが大声で味方に鼓舞する為に一声を掛ける。

「皆の者!我々の勝利は近い!全軍突撃開始!」

 喚声を上げながら、全軍が攻勢を開始する。敵部隊はあの魔法の威力を見て

散り散りに敗走を開始している。

「マルク、君の魔法があれば勝利をもぎ取れる。我が傭兵部隊の勝利は確実だ。

 だから、東門と西門の部隊の応援に行ってくれないか?」

 それと同時に紋章を渡される。

「それはギルドマスターの代理を証明する証。それを持っているとギルドマスターの

 代理として様々な決定権を持つようになるが・・・。取り合えず今回の戦争で

 他部隊の指揮に従わなくて良いという事だけ覚えてくれ。それが無いと色々面倒

 なんでな。」

「分かった。」

「それじゃあ行ってこい!」

 そう言って俺は東門に向かうために走る事にした。


 東門に到着すると、遠くに陣を引いていた王国部隊の旗差しが見えた。

近づくと陣後方に指揮官らしき馬に乗った騎士数人がいた。その人はこちらに振り向き。

「誰だ!」

 大声でそう問いかけてくる。

「俺はマルク、ギルドマスターのザールの指示により、援軍として来ました。」

 俺は答えながらギルドの紋章を掲げた。

「そうか、援軍か。助かった。」

 少し安堵した様子の一番豪華な甲冑を着た総大将らしき人がそう言った。

「それで?他の人は?」

 部下らしき騎士が俺に向かって話しかけてくる。

「俺一人です。」

 動揺が広がる様子の騎士と取り巻き。

「ザールは何を考えてるんだ?一人居たところで何にもならないじゃないか。」

 憤慨した様子の部下。しかし、それを宥める様に。

「いや、つわものは一人でも多い方が良い。ご助力感謝する。」

 俺に頭を下げる総大将。偉そうな他の貴族や王族と違って腰が低いなという印象だ。

「それで、戦局はどうですか?」

「かなり厳しい。敵は攻撃と離脱を繰り返しており、こちらの部隊の消耗を狙って

 来ているようだ。幸い今は戦闘が始まって居ないがいつ始まるか分からない。」

「そうですか。」

「貴殿は何が出来る?」

 俺にそう言って聞いてくる総大将、それを聞いて戦略を練るようだ。

「魔法が使えます。」

「そうか・・・。それなら済まないが全軍が戦闘を開始した時、魔法による援護をして

 もらえないか?」

「分かりました。ただ、こちらからもお願いがあります。」

「何だ?」

「敵部隊の戦力を中央に集中させて頂けませんか?」

 俺は効率良く魔法を撃つために総大将に助言した。

「なっ!!!」

 周りから驚愕の声が聞こえる。当然だ、何も知らない状況でそんなギャンブルみたいな事を

採用できるわけが無い。

「よかろう。」

「危険です!もしあ奴が撃つ魔法が弱かったらどうしますか?中央を突破され

 敵に容易に殲滅されますぞ。」

 周りの部下からの諫めの声が出てくるが、総大将らしき騎士は少し肩を落とした様子で、

「もはや、我が軍には敵を足止めする戦力はあれども、撃滅する力は無い。だから、

 私はこの一縷の望みにかけよう。ギルドの紋章もあるしな。」

 そんなにこの紋章に意味があるのか、今まで一度も見た事なかったからな。


 そんな話をしていたら、斥候らしき兵士がやって来て

「伝令!敵部隊進行中。」

「よし!全軍に命令!展開せよ。」

 そう言って中央を薄く、両翼に厚みを持たせるような形の陣形を張った。

次の瞬間敵の大軍が攻めてきた。人数はさっきと同じぐらいだろうか。

 こちらの部隊の形を見て中央突破を図るように戦力を中央に集中させてきた。

そして、射程圏内に敵部隊が突っ込んできた瞬間。

「フレア!」

 さっきと同じように青白い光が飛んでいくと、爆轟を上げて敵部隊の殆どが消し飛んだ。

「「「!!!」」」

 呆然とこちらを見ている指揮官たち、しかし隙を見せないように総大将らしき騎士が、

「こちらは充分だ、貴殿は西門に行ってくれ、全軍進軍開始!」

 鬨の声を上げて攻めていく部隊を尻目に俺は西門に向かう事にした。

 

 西門に近づくと戦いの音と兵士の叫び声が聞こえる。俺はそのまま門を出ると、

散々に打ち破られたヤクティ王国軍と圧倒して進軍してくるレイモンズ帝国軍があった。

俺は倒れている王国軍兵士を巻き込まないように少し上を目掛け、射程圏内に来た瞬間に

「フレア!」

 敵部隊の大多数は今の一撃の衝撃で消し飛んだが、一部生き残りが居たみたいだが、

俺の魔法の威力に驚いた様子で、残存部隊は散り散りに散らばっていった。

 辺りを見回していると、敵と味方の死体まみれだった。取り合えず回復出来るなら

した方が良いと思い味方に対して

「エリアヒール」

 そう言うと、今までの回復量とは思えないような神々しい光が辺りを包み、

辺りを癒していく、そうして

「ん・・・。」

 数十人程が立ち上がった。

「君は・・・?」

 その中で、また着飾った甲冑を着た騎士が聞いてくる。

「俺はマルク、ギルドから応援として援軍に来ました。」

 そう言ってギルドの紋章を掲げると、少し微笑んだ様子で。

「そうか。それで戦況は?」

「敵軍を撃破し、敵軍は敗走して行きました。」

「一人でか!?」

 ガバっと身体を起こしながら大声で叫ぶ騎士。

「はい。」

 何か考えている様子の騎士だったが口を開こうとする前に、ドドドドドドという

複数の足音が聞こえてきて。

「英雄だ!」「英雄が居るぞ!」

 人々によって賞賛され、そして同時に揉みくちゃにされるのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ