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最強魔導士は隠居したい  作者: ヤスキジュン
1/3

プロローグ1

「ふう。」

 椅子に座り、自作したお茶を啜りながらのんびりしてる。

彼の周りには自作した家と育てた畑と開拓した道が連なっている。

「色々あったけど、これからはのんびり出来るな。」

 そう言って落ち着きながら今までの事を回想する。


~半年前~

 「なんだ?これは?とてつもない魔力の塊だな・・・。」

 ヤクティ王国のソロ冒険者として活躍していた俺は偵察の業務の途中で

ある洞窟で光り輝くクリスタルを見つけた。魔導士として人並以上の魔力を

持っていたが、目の前にあるクリスタルの圧倒的な魔力の前に戦慄をしていた。

 誘われるようにクリスタルを触った途端身体にとてつもない魔力が流れ

込む感触があった。

「う、ぐおおお。」

 小さいダムに大量の水が流れ込むように、圧倒的な魔力が身体を蝕む感触に

襲われ、気絶し倒れこんでしまう。どれくらいの時間が経ったのだろうか、

目を覚まし、周りを見渡すとクリスタルは光を失っていた。

「い、生きてるな・・・。なんだったんだ、一体・・・。」

 俺は何が起きているか分からず、呆然としていると囁く声が聞こえる。

「導かれし者よ、そなたに力を」

「導かれし者って俺の事か?」

 俺の問いに対する答えは返ってこない。しかし、脳に溢れるばかりの知識が

入り込んでくる。

「な、なんだこれは。」

 溢れんばかりの知識の渦で俺の脳は揺らぎ、吐きながら倒れてしまう。

 しばらくして意識を取り戻すと、辺り一面は静寂になり、何も起きそうになかった。

「仕方ない、王国に戻るか。」

 そうして、俺は冒険者ギルドに戻る事にした。


 王国に戻ると、辺り一帯は相変わらず慌ただしく兵士達が駆け回ってるのが見える。

「戦争中だから、相変わらず慌ただしいな。」

 この世界では様々な種族がそれぞれの国を建て、そして争っていた。

俺の居る国、ヤクティ王国もその戦火の中に包まれており、多くの人々が戦っていた。

 冒険者ギルドに到着し、受付に今日の報告をする。

「マルクさんおかえりなさい。」

 受付嬢は笑顔で対応してくれているが、空元気そうだった。当然だ、戦時中で

国民の顔は全体的に暗い。

「ただいま、今日の報告だが。」

 そうして、今日の戦果を報告していく、念の為クリスタルの事だけは伏せて。

「そうですか、あちらの地方での敵軍の様子は無かったと。」

「ああ、まだ敵軍は終結していないみたいだ。」

「ありがとうございます、それでは報酬をどうぞ。」

 報酬の金貨を受け取り、宿屋に行き眠る事にした。


 翌日、またギルドに行き依頼書を眺めている。

 ギルドに貼っている依頼は、偵察、傭兵、軍備拡張など戦争に関わるものが

ほとんどだ、昔は魔物の討伐など生活に関わるものが多くを占めていたがな。

などと、依頼書を眺めていると、

「伝令、サ―ヴィン公爵様敗走、レイモンズ帝国軍この王国に接近中」

 血塗れに負傷した伝令兵が叫びながら街を駆け回っている。レイモンズ帝国は

魔族が立てた国で、多くの都市国家を降伏させたこの世界屈指の強国だ。

 ギルドの入り口から街を眺めていると、多くの市民が恐怖で固まる者、泣くもの

など様々だった。

「おいおい、マジか・・・。」

 ギルド内でも混乱が発生し、心配そうなもの、戦う覚悟があるもの様々だ。

「皆様聞いてください!」

 控え室から出てきた受付嬢が大声で叫ぶ、冒険者達全員が振り返ると

「本ギルドも徹底抗戦の為、傭兵として戦う人を募集します!特別任務となりますので

 特別報酬もご用意しております!この王都を救うため力を貸してください!」

 特別報酬と聞き辺りに喚声が響き渡る、男性も女性も多くが傭兵に志願していた。しばらく

人が少なくなった後、俺も受付に行き

「俺も志願する。」

「マルクさんありがとうございます。」

 そうして、俺は傭兵に志願する事になった。


 王都の入り口は北、東、西の三か所があり、傭兵は前線に近い北門に集められた。

「皆よく集まってくれた、ギルドマスターのザールだ、本件の指揮を執る。」

 ギルドマスターが直々に指揮官として働くみたいだ。

「戦士は前衛、魔導士は後衛、治療師は後方支援として回復を頼む」

 そういって、各々が指示された場所で小隊を組んでいく。

「魔導士は前衛のサポートと敵後衛へ攻撃を頼む。」

 全部で300人程度の小部隊で魔導士は50人程の小人数だ、やれるだけの事は

やろうと考えていると、斥候部隊が戻り

「敵軍間近です!北門に向けて進行中」

「人数は?」

「1500人は下らないかと・・・。」

「1500人・・・。」

 ギルドマスターや他の人の顔が青ざめる。当然だ、敵の精鋭部隊が1500人

こちらと戦力で5倍の差がある。

「静まれ!」

 ザールが喝を入れる。

「俺達にはもう後がない!戦いは人数ではない!死ぬ気で勝利を勝ち取るのだ!」

 皆も鼓舞されたようで”うおおおおお”っと喚声が響き渡る。


 しばらくすると、相手の魔族が地上や空中から攻めて来ていた。1500人以上の部隊は

圧巻で、かなりの圧力を誇っていた。相手はこちらの部隊数を見て嘲笑を含めながら

進行してくる。

「全部隊進軍開始!」

 ザールの一声により、喚声を上げながら傭兵部隊がぶつかっていく。しかし多勢に無勢

両翼を広げたが人数差で中央が薄く、相手は中央に兵力を集め突破を図ってくる様子だ。

「魔道部隊、放て!」

 その合図で他の味方が撃ち始め、俺も魔力を手に集中させる。

「フレア!」

 中級魔法を俺は放つと、青白い弾が敵中央に高速で飛んでいき、

ごおおおおおおおんと爆轟を放ち敵中央部隊が消滅した。

「は?」

 俺は余りの威力に戦慄し、硬直した。

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