参加2
「7月8日 AM0:00
件名:【ふゅーちゃーがーど委員会】参加者が揃いました。
本文:
参加者の皆様、お待たせしました。
参加者数が既定に達しましたので、ゲームを始めたいと思います。
まずゲームの説明会を行うため、
下記地図に従い、
7月10日 13時に集合ください。
※ゲーム辞退はこれが最後のチャンスです。
ゲームが始まってからの辞退にはペナルティが生じるます。
ご了承ください。
ふゅーちゃーがーど委員会一同
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7月10日 PM12:30
東京港 埠頭 工場跡前。
「おっそーーーーい!!!」
無人の埠頭に、
茜の声が響き渡る。
「ま、まぁまぁ。まだ時間はあるし。さやが待ち合わせに遅れるのはいつものことだし。」
彼女の怒号を宥めるように栞言う。
「さやカップルが遅れるのは予想できたよ。出来たさ。けど、銀次と修も来てないんだけど!?」
「ぎ、銀次くんは、、、あれだけど、、、。」
流石の栞でも彼のフォローは出来ないようで、
普通の待ち合わせすらすっぽかす彼への信頼は当に尽きてしまっているよう。
そんな会話を行っていると、
細身で長身の短い金髪ヘアの男性が近付いてくる。
それに気付いた茜が更に怒号を浴びせる。
「おっせーぞ修!!!!」
「、、、ごめん。、、、寝過ごした。、、、電車で。」
眠そうな瞳を擦りながら茜の怒号にも動じず答える。
「相っっっ変わらずしゃんとしないなぁ修は!」
「茜ちゃん、それでも10分遅れだからね。まぁ何時もより早いと思うよ。」
苦笑いを浮かべながら、栞は彼を庇う。
庇われた彼は気にも止めず立ったまま寝ている。
「起きろーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
全ての苛立ちを修にぶつけるように、
身長差を埋めるように彼の耳を引っ張り耳元で茜が叫ぶ。
「ッッッッッッ!!!、、、あ、おはよー茜。」
その動作に最初は驚くものの、平常運転のように笑顔で2度目の挨拶をする。
「ったくもう。」
大きな声を出してスッキリしたのか、
声色が何時も通りに戻っている。
「あ、修くん。銀次くんとは連絡着いてない?」
「えーっと、今向かってるからって言ってたから、もうすぐ着くんじゃないかな?」
「今向かってたらおせーだろ!!!」
既に時刻は50分を過ぎていた。
開催時刻まで残り10分を切っていた。
そんな他愛も無い会話を続けていると、
「ごめーーーん!!!!」と後ろから声を掛ける2組が現れる。
この参加を決めた首謀者達だ。
「遅いよ!30分前って言ったの自分でしょ!」
怒りの元凶が現れて茜の声色は再び高くなる。
「ホンッッットごめん!!!!昨日気合いいれるために、まこくんとカラオケでオールしてて。。。」
「何してんだよ!せめて体調万全にしてこいよ!」
茜の罵声は帰ってきた反応に最早驚きを隠せなく、ただのツッコミとなっていた。
「茜ちゃん、茜ちゃんももうちょっと体力温存した方が、、、。」
そんな茜の姿が哀れに思えてきた栞が落ち着かせるように茜の肩を撫でる。
「、、、それに、なんかちょっと変じゃない?」
続く栞の言葉に茜は不思議そうに「何が?」と尋ねる。
「私達30分前からここにいるのに、他の参加者1人も見てないよ。」
「ッ!!!?」
冷静になった茜は栞の言葉に記憶を辿る。
確かに自分達意外の参加者を見た覚えがない。
何人の参加者かわからないものの、
全員が1時間以上前から行動しているというのも考えにくい。
「確かにおかしい。集合場所を間違えた?」
「えっと、さっきから気になってたからずっと調べてたけど、やっぱり間違ってなかったよ。」
「じゃぁなんで、、、。」
茜が思考に更けようとした時、
既に時刻は12時59分、時間まで残り1分を切っていた。
「きゃっ!!!??」
茜と一緒に思考していた栞が悲鳴をあげる。
彼女の両肩に腕を組み乗せるスキンヘッドの体格が大きな男がいた。
「おまたー。」
彼は悪びれる様子もなく、ヘラヘラと挨拶をする。
「おっせーぞ銀次!」
再び茜の怒号が飛ぶ。
「茜ちんこっわ。しおりーんガード!!!」
「え、ちょっ!!!銀次くん!?」
肩に乗せていた両腕を下ろし、
今度は両手を肩に起き茜と自身の間に栞を挟むように逃げ回る。
未だに遅れてきた彼の顔を一度も確認しないまま現状を理解出来ない様子で栞は困惑しているようだ。
「さやりーん様、まこりーん様、AKANE様、ページ様、しゅー様、ギンジ様、ですね。」
黒服の見知らぬ男が騒いでいる6人の背後から急に声をかけてくる。
その男性にはまるで精気が籠っていないようだ。
表情は形容し難いが、満面の笑みなのに内心が楽しそう·嬉しそうでない気がするのが精気を感じない理由であろう。
「、、、あんた誰や。」
今までふざけていた銀次の表情が、
その異様な雰囲気に敵意を全面に剥き出しにする。
「申し遅れました。私ふゅーちゃーがーど委員会のものです。」
銀次の問い掛けにも表情一つ変えずに答え、更に質問されるのを避けるように黒服は言葉を続ける。
「皆様既にお待ちです。参加される意思のある方はこちらまで。」
丁寧な口調のまま指指された目の前の倉庫のシャッターがその瞬間開き出す。
そこには全身が黒塗りされた大型バスが姿を現した。