第3話 友人
ジャックは、無神論者で絶対に教会には来ない。代わりに、庭師の夫婦は、敬虔な信者で毎週欠かさずやってくる。
ジャックから知らされているのか、庭師夫婦は無警戒で色々な事を話していく。特に双子の事は、自分の子供の様に話していく。そんな一つのエピソード。
学園が始まり幾月かたったある日。二人は、寮から学園に向かって歩いていた。
「ねえ、ウッパ。」
「はい、お嬢様。」
少し後ろを歩いていたウッパが答える。
「私の隣の娘、名前を『ライラ』。大人しくいつも何かに脅えている娘。なにか気になるの、私この娘と友達になりたいわ。ねえ、お兄様もそう思うでしょ?」
二人の取り留めのない喧嘩の一つが、どちらが先に生まれた?いつも私が姉よ、と言っているのに、お兄様と言ってくる。刺激しない様に無難に返事をしておく。
「ああ、そうだね。ウッパも大変だろうけどお願いするよ。」
「かしこまりました。」
「そうね、少し面倒をかけるけど、お願いね。」
学院に送った後、二人の部屋の掃除と洗濯を授業中にしてしまう。残った時間は、自由に使っていいのでウッパは出かける事にした。帰れば、洗濯物を畳んでタンスに片付けておく。
授業が終わり、学院から出てくるとウーバが迎えに来ていた。食堂に行く時間を確かめて、一旦自室に戻る。
食堂で給仕を終えて、その後、呼び出しが無ければそれで本日は終了となる。
ライラは、大人しくいつも何かに怯えている。ある時、何に脅えてたのか聞いてみた所、『白いフワフワするものが見え、時々、子供の笑い声が聞こえる。』と言う。
結局、幽霊が見える事になり、・・・気味が悪いと・・・誰も相手に・・次第にいじめられ体質になり・・・。
そんないじめのリーダーが侯爵の娘『フローラ』、親の権威を傘に配下の娘を集め好き勝手ふるまっていた。そんな取り巻きの娘が4人、親同士の威厳に縛れてフローラのいう事を聞いていた。
フローラが食堂から戻ると、机に一枚の紙が置いてある。高価な紙が・・?
読むうちに、顔が青くなったり白くなったり・・。
取り巻きの4人も紙を見て、青くなっていた。
それぞれ書いてある事は違っているのだが、それは、幼い頃から見て知っている決してが、公に公表できない事が書かれていた。
王家に納める租税の誤魔化し。領民から徴収する租税の過剰搾取。屋敷のなかで行なわれる違法物の取引。親の性癖。など多岐にわたって書いてあった。
「誰が?」
ドアの鍵は掛かっていた、窓の鍵は閉まっている、最初、召使いが書いたと思い確かめるが、誰も知らないと言う。召使の仕業ではない事がすぐにわかる。
取り巻きの4人にも、内容は違えど同じものが机にあったと言われると、急に不安になってきた。審議は別にしても、公表されれば親の権威は地に落ちてしまう、自分も学園から去らなければいけない。
ただ、最後に書かれている意味の不明な文字が気になっている。
『あなたに、幸おおからんことを』
次の日、入学以来、事あるごとに目立ち注目されている双子が、ライラに話しかけている。昨日以来、気分のすぐれないフローラは、自分のおもちゃに手を出す双子が気に入らない。
「お早う様、ライラは私達のお友達ですわ。こちらに挨拶してから、ライラの気持ちを確かめた方が宜しいのではないでしょうか。」
「それは失礼しました。どうも順番を間違えてしまったようです。お詫びを込めて、あなたに、幸おおからんことを、」
みるみるフローラの顔が青くなる。その様子を見て聞いていた取り巻きも青くなって。
「どうしました?お顔の様子が悪い様ですが?」
「どうしたんだろうね、ライラに友達になって欲しかったのけれど、さっきの言葉通り先に言わないといけない様ではないですか。」
「あら、そうでしたの。それなら先に言ってくださいね。お兄様。」
「・・・・」
「フローラ様、遅くなってすみませんでした。私達とお友達になっていただけますでしょうか。」
「・・・」
フローラ達は、顔を見合わせて青くなったり赤くなったり・・しかし、フローラは、侯爵の娘。意を決して返事をする。
「ありがとうございます。ぜひ、私達とお友達になってください。」
双子の友達と取り巻きの出来た瞬間だった。
なお、後日、双子の学園冒険譚の中で分かる事だが。
ライラは、(全)妖精の加護を持ち「妖精の巫女」として生まれて来た。幾代も続く巫女の子孫だが、加護を持ち巫女の力を持つ娘は、百年に一度現れると言われていた。
あなたに、幸おおからんことを




