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第1話 神の祝福をもらえなかった娘

 救いを求めて私の元に来た、彼女の名前は「マリア」。


 ダンジョンの町、ドラゴンの町と言われているこの町の片隅、普通の家に彼女は生まれた。しかし、彼女に神の祝福は無かった。


 最初の求めは、彼女が学校に入って来た頃から始まる。


 友達が成長して背が伸びても、彼女の背は、自分が望むほど伸びなかった。代わりに、骨が太くなると悩んでいた。

 それは、ドワーフへの先祖返り。彼女は、幾代か前のドワーフの血のせいだと聞かされていた。しかし、彼女の両親も兄弟もドワーフの血は受け継がなかった。周りは気にしていなくても、自分は人と違うと悩んでいた。


 結局、彼女は、学校を卒業すると一人で生活を始める。


 時が経ち、彼女も女の子として夢る時が訪れる・・・しかし、彼女の夢は、叶わない。身長150㎝、十人並みな童顔の顔、服を脱げば骨太で女の子とは・・幾度も恋をして破れて行った。

 そんな彼女に声を掛けて来た男がいた、やや年が離れていたが彼女は舞い上がってしまう。


 彼女は、救いを求めて私の元にきた。


 彼女が産んだ男の子を抱えて、彼は言った。

 「ありがとう、お礼を言うよ。実は、私に妻がいるんだ。でも、妻には子供が出来ない。君との事は遊びではないよ、でも、君を家に入れる事は出来ないのだ、許してほしい。その代わり、この子は私の跡取りとして、立派に育ててみせるよ。本当にありがとう。」

 そう言って彼女の前から消えてしまった。


 彼女は、教会の扉を開き私を捜した。神の奇跡を信じて。


 神でも消えた子供を連れ戻す事は出来ない。彼女の救いに、私はわずかな光を届けようと思う。

 彼女に手紙を持たせ、領主を訊ねる様に諭す。力なく立ち上がった彼女は、ノロノロと町はずれの領主の館を目指して歩いて行った。


 「旦那様、教会より使いがきています。しばらく後に女の子が来るので、話を聞いて欲しいと言われました。」

 「教会?、それだけか、分かったと伝えろ。」


 現れた女の子は、やつれた姿で一通の手紙を差し出していた。読んでみると。


 『この娘に、双子の乳母をさせて欲しいと願います。


    あなたに、幸おおからんことを』


 双子と言えば、昨日神の祝福を受けた妻の子供達以外に、心当たりがない。思案したが、結局、話した方がいいと思い。

 「義父さん、教会から女の子とこんな手紙が来ています。どうすればいいでしょうか?」

 手紙を受け取り・・見ると、手紙に語りかける。

 「君は、町に居たのか。」

 「お知合いですか?」

 「ああ、古い知り合いだよ。この娘は、何処にいる。」

 「玄関で、待っていますが。」

 「では、ここに連れ来てくれ。双子を頼むと言ってな。」


 彼女は、乳母として生まれ変わる事が出来たようだ。



 そんな彼女が思いつめた顔でやってきた。

 「私は、しばらくすると乳母の役目は終わりです。でも、親兄弟の元には、帰りたくないありません。どうすればいいでしょうか。」

 「あなたの素直な気持ちを、神に祈りなさい。」

 「私は、あの子供達の成長を見守っていきたいです。」

 彼女の目の奥に我が子がいるのだろうか。

 「では、その思いを領主様へ伝えなさい。」


 「旦那様、以前来た娘が訪ねて来ました。旦那様にお会いしたいとの事ですが。」

 「分かった、ここに通しなさい。」


 ・・・・・・・


 「事情は分かった。お前は、あの子達に一生付き添いたいのか?」

 「願いが叶うなら、私の人生をかけてお世話したいと思います。」

 「では、あの子達が学院に入るまで許そう。その時、試験をする。学院に一緒に入れるのは、メイドか執事、それと護衛だが。学園内に、何人も召使いを入れる事は出来ない、我が家では、せいぜい1名が限度だ。そこで、メイドと護衛の試験をする。それに受かれば、お前の好きなだけ子供達の傍にいる事を許可しよう。」

 「ありがとうございます、御領主様。」


 戻った彼女は、ユーノとマリーに自分の願いと領主屋敷での話を伝える。ユーノとマリーに反対する理由は無く、彼女の修業が始まった。

 この家には、優秀な教師がいる。領主メイド長の愛弟子のメイド、そしてジャック。メイドは、心良く承諾しメイドとしての修業が始まった。

 しかし、ジャックが教える事は無かった。代わりに教えてくてのは、庭師の夫婦。ジャックの弟子だという老夫婦は、乳母、メイドと忙しく働く彼女の時間を更に奪っていく。


 ユーノとマリーは、彼女が幾度となく音を上げると思っていた。そんな彼女に転機が訪れる。双子が話し始めたのです。

 「ぱーぱ。」

 「まーま。」

 「ねえね。」(メイド)

 「じいじ。」(ジャック)

 「じいや。」「ばあや。」(庭師の老夫婦)

 「この人は、あなた達の乳母よ。」

 「うーば。」

 「うっぱ。」

 「え?名前じゃないのよ。」

 「いいえ奥様、私の名前です。私は、今の名前が好きではありません。これからは、この名前とします。」

 「あら、まあ。」 

 


                あなたに、幸おおからんことを

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