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TGJC mission file 10:<違法薬物製造工場強襲作戦> 1

お久しぶり?です。

三月です。

前書きと言われましても自粛期間という事もあり大した外出もないので近況報告もクソもありません。

それに、本編に触れるような発言はここではネタバレになってしまうのであとがき行き。

前書きって何を書けばいいんでしょうか?

「で、コヒュポスの調査メンバーは決まったけど具体的な目標はあるの?」

 ユウカは投げナイフを太腿のベルトに刺しながら聞く。

「またなんかタツミが掴んでたりするんじゃないの?」

「まさか。そんな都合よくホイホイ情報なんて集まってこねーよ。まぁけど、流通が日本で重点的な事と製造にはそれなりの施設が必要という事を重ね合わせれば思った以上に見つかるかもしれないがな」

 ミズキの質問に首を横に振るタツミ。

「まぁ、今この国で勢力出してる裏企業なんてドラゴンズハートと新デーモンとか言うこの前のテロ集団位だし、何とかなりそーなもんだけどな」

 親指で弾丸を弾きながらマサキが問うとユウヤがスクリーンにデータを投影した。

「そうもいかなそうだよ。ついこの前、大企業が海外の密売組織と繋がってて一斉検挙されたっていうニュース」

「つまりなんだ? 暴力団の他にも金持ち企業が関わってるわけか。大変そうだなー」

「ひ、他人事みたいに……」

 ユウヤは苦笑いして情報の捜索を始める。

「一応……情報体収集ロボット作ってみた……。けど……通気口とかに潜んで情報を持ち出すものだから……」

「なるほど、つまり私達の仕事は裏勢力が何処かだけ掴んでしまえばいいってわけね!」

 ミズキはサイレンサーを付けた小型銃を上着の内ポケットに忍ばせてユウカと共に外に出て行った。





 栃木県某所、私有地。


「えー、それじゃーコヒュポスの製造工場は国内にあるんですかぁー?」

 太った男に這いよるように煽情的なデザインの服を着たミズキが迫る。

「そ、そうなんだよ! お嬢ちゃんコヒュポスに興味あるのかい?」

 男はミズキの胸を触りながら鼻息を荒げた。

「いやぁん! もう、伯父様ったら~」

「デゥヘヘ、お嬢ちゃんが興味あるなら長野の工場からうんと新鮮なヤツを取り寄せてやるよ」

「えぇ~! ほんとーですか~!」

「本当本当!」

「伯父様ありがとー!」

 ミズキは男に抱き着き背中に注射器を突き立て注入する。

 そしてすぐさま男は泡を吹いて気絶した。

「工場は長野県っと。全く、男ってチョロいわねー」

 ミズキが着替えていると、扉を蹴り開けてユウカが入ってくる。

「こっちは終わったよー」

 そう言って彼女は何人もの屋敷にいた人物を縛って引きずってきた。

「で、殺す前にちゃんと情報は引き出したの?」

「ばっちり! コヒュポスは海外の工場と日本の工場の二か所で製造されてるってさ!」

 ユウカは非常に嬉しそうである。

 二人が部屋で話していると突然警報が鳴り響いた。

「ちょっとユウカ、あんたなんかしたの!?」

「え、えぇ!? 私!? ちゃんと通報とかさせない速度で始末してきたんだけど……」

「警報装置のジャミングは?」

「けいほうそうちのじゃみんぐ?」

 惚けたユウカの顔を見てミズキは溜息をついて無線機を取る。

「ツー、エマージェンシーよ」

『うん、何となく分るよー。軍隊レベルの増援が今屋敷を囲ってるから戦闘は避けられそうにないねー☆』

「ないねー☆じゃないわ! え、打開策とかなんかないの?」

『一応……ある……。私の……ロボに……機関銃……二丁搭載されてる……』

「ならスリー、私達の所にそのロボット移動できる?」

『取ったデータもこっちに転送済み……問題ない……』

 ミズキとユウカの元に蜘蛛の様なロボットが通気口から現れた。

 二人はロボットから切り離された機関銃を持ち、扉にもたれるように構える。

『はいはーいこちらツーだよー☆ 援軍続々と中にしんこーちゅー! 流石に数が多すぎて狙撃したら蜂の巣になるので援護は不可能でーす☆』

 ユウカは苦笑いしてミズキにアイコンタクトを取り頷き、扉を蹴り開けて二人でトリガーを引き、外で武器を構えていた武装隊を混乱に陥れた。

「これ反動きつっ……!」

 二人はつらそうに弾倉の中身を空にする。

「で、でもこれのおかげで大分数が減らせたし混乱で大した反撃もないし、あとは相当でオッケーなんじゃないかな?」

「ユウカ、あんた簡単に言うけど……私はこの銃のマガジン三つ、あんただって服の内と太腿のナイフ、合計であと十本がいいところじゃないの?」

「わーぁお! 透視? まぁけど、その辺の兵士から武器ごとかっさらえば?」

 そう言った瞬間、大量の弾丸が二人の間を駆け抜けた。

「あっぶなー!」

 二人は物陰に身を潜める。

「駄目じゃない! てかよく見なさい、この銃、生体認証ライフルよ。私達には使えないわ!」

「え、えぇどうしよう!」

 二人が話していると、遠くから声が近づいてきた。

「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁですわぁぁぁぁぁぁ!」

 壁をミニガンと共に突き破って現れたのはドレスを身に着けたスズ。

「ど、どうやって入ってきたの……!?」

「ミニガンで壁をぶっ壊しながらですわ。ちなみにあまり中に弾を入れないように流石に最後はミニガンでぶち破りましたわよ。感謝してくださいませ」

 ユウカはミニガンをまじまじと見つめる。

「でもここ四階だよ……?」

「このミニガンにはバランスを保つために機械制御のジェットが搭載されてますの。それをサオリさんに解除していただき小型ミサイルに跨ってきたように突っ込んでまいりました」

「ほえぇー」

 ユウカとスズの話を見てミズキは溜息をついて扉を指さした。

「あの、敵来てますけど……」

「あら、そうだったわね」

 そう言ってスズはミニガンを発射しながら前進し、敵を一掃していく。

「うわー、私達の出る幕はなさそうだね」

「そうでなければ困りますわ。私が来た意味がなくなるではありませんか」

 三人はスズを先頭に屋敷を出た。

「さて、私はここでお暇いたしますわ。お二方はまだ調査に行かれるのでしょう?」

「うーん、それも考えたんだけどどう糸を伝っても出てくる情報は同じなのよ。だから私はもう十分なんじゃないかと踏んでるんだけど……ユウカはどう思う?」

「私もそう思う。それに、今日だけで四つも襲撃してるからさすがに警戒されちゃっててそう簡単に潜り込めないと思う」

「あら、そうでしたの。でしたら近くにXUVがありますのでミカさんやサオリさんともそこで合流しましょうか」




 東京都内某所、TGJC本部。

「なるほどね~。長野の山奥とイランの海沿いか~確かにイランは第三次世界大戦目前の今、中立を保っているから他国が武力干渉する事は難しいし、中国なんかの場所を使うと敵対勢力同士で関税の問題も出てくるからね」

 ユウキは長野県の地図とイランの地図を広げながら未開拓地及び空き地を照らし合わせ始める。

「ならちょっと使ってみたいもんがあるんだけど」

 タツミは携帯を取り出し机の上に置いた。

「ちょっと待ってくれタツミ、どういう話から使ってみたいものの話になるんだ?」

「だからミズキに能筋って言われるんだぞ? まぁいいか。中立国内部にある敵対勢力の工場と、国内の工場を潰すには俺達の国籍や組織名を完全に隠したまま同時に攻撃する必要がある。つまり、俺達がイランの地に足を付けるのは一度に絞る必要がある。しかし、今日本に偵察部隊は居ないわけで、ならばミルリグロス部隊から引き抜いた俺達の直轄部隊を動かしたらどうだと提案したんだ。で、どうだ?」

 ユウヤが軽く頷くのを見てタツミは席を立ち、部屋の外に出て行く。

「はえー、やっぱあいつ頭いいんだなー。まぁ自分の体の状態は理解できない馬鹿でもあるけどな」

「まぁ、今のタツミの質問の意図が理解できなかったのはマサキだけじゃなさそうだけどね……?」

 ユウヤとマサキの目線の先には唖然として口を開けたユウカのの姿が。

「ゆ、ユウカ、なんか最近バカっぽさが加速してないか……?」

「そんな事ないわよ」

 彼女が笑いながらソファーに座る。

「そう言えばミズキとユイカはどこに行ったの?」

「ミズキは昨夜の疲れをとるために隣で仮眠中、ユイカさんは……どこに行ったのでしょうか」

 スズは不思議そうな顔でティーカップから紅茶を飲んだ。

「そういや今朝からあいつ見てないな……」

 トオルはスズのお茶の横に置かれたクッキーを摘まんで言う。

「どうしたのでしょうか……」




 神福山周辺私有地。

「あら、珍しい客人ですね。宮下の小娘が何の用かしら」

「お久しぶりです、伯母様。私が来た理由ならば伯母様の方が理解していると思いますが」

 豪華な屋敷の最上階、床一面に赤いカーペットが引かれた部屋でオフィスデスクを挟んで向かい合う二人。

「わからないわ。貴方が今どこで何をしているかも存じ上げませんし、興味もありませんので」

「そうですか。でしたらThe Gray Justitia Company 執行官№4として忠告申し上げます。天久居あまくい友理奈様、今すぐコヒュポスの取引から手をお引きください」

「何? 今更私達に文句があるというの? 一体あなたが引き取られるまで誰が世話をしてやったと思ってるんですか?」

 天久居友理奈は煙草をくわえて窓辺に立ち、溜息をつく。

「ですので忠告しております。我々は現在コヒュポスの国内流通を完全封鎖するため、関係企業、保管庫、製造所の全てを問答無用で殲滅する作戦を立てております」

「殲滅? 貴方ごときにこの天久居の家を落とせると思いですか? 笑止」

「そう思うのであれば海外への逃亡をお勧めします。我々には総理大臣吉原耕作より国内における関係場所への爆撃が許可されています」

「思いあがるなよ小娘が」

 天久居友理奈は煙草の火を消しユイカに歩み寄り脳天に拳銃を突きつける。

「私は伯母様に感謝しております。八までとはいえ衣食住を与えてくださったことに。ですので忠告しているのです。もし従われない場合は……」

 ユイカは突きつけられた拳銃を握る手の甲をつかみ、両手を拘束した。

「貴方を本気で殺しに行く」

「フフッ、そう簡単に行くかしら?」

「どういう事でしょうか」

「まぁ、貴方がここ来た理由は知っていました。貴方達政府直轄違法部隊が活発に動いているから仕留めたいと今朝、警察革命軍を名乗る方々が参りました。私達も貴方達を本気で殺しに行くわ」

「警察革命軍……」

 ユイカは距離を取り銃を構える。

「なるほど、貴方達は敵同士なわけですね。まぁ、向こうに貴方達の正体を話すのも面白いですが……言わない方が面白いでしょう。他の貴族もお呼びして盛大にやっていただきましょうか。さぁ、貴方も行きなさい」

 ユイカは舌打ちをして部屋を出て行った。




 同日夜、TGJC本部。

「タツミ、ユウヤ、ちょっといい?」

 ユイカは帰ってきて早々に二人を呼んで消えた。

「ん? どうかしたか?」

「はいよー」

 二人はついていき、今までの事情を聴く。

「は? 警察革命軍に天久居の本家だと?」

「それはそれは……この国の裏が二つに分裂しそうだね」

 二人は顎に手を置き頭を悩ませた。

「本当に面倒だな……」

「そうだね、あくまで警察革命軍は政府の裏組織から守るために向こう側に付くわけだから下手に手出しをすればこっちが悪者になっちゃうからね」

「闇討ちするか」

「いやダメでしょ」

 二人が考えていると、ユイカが書類を見せてくる。

「警察革命軍はあくまで警察組織内組織だから私達の権限の入れる権限で秘密区画の設計図まで丸見えよ。何か工作を働くだけなら問題ないんじゃないかしら」

「生体認証ライフルの生体情報を全部ゴキブリの物と書き換えて上げようかな」

「おぉ、ナイスアイデア! 早速サオリに作らせて……あいつにやらせよう」


「と、言うわけで君達に集まってもらいました」

 突如タツミ、ユウヤ、ユイカに集合させられたサオリ、ヒサノ、そしてゼロ部隊の大林凛、三波良太、矢崎健斗、山科亮の四人。

 タツミは彩芽の新作、ホログラム作戦ボードを地面において展開する。

「さて、まずはゼロ部隊に命令を出す。長野県とイランにあるコヒュポス製造工場の現地潜入調査をしてきてくれ。よし、この色々必要そうなものが入ったデータチップを渡すから作戦と班リーダー決めたら教えてくれ。ほかにもなんかあれば言ってくれ。じゃ、あとは与えた待機施設で頼む」

『了解しました!』

 四人は一礼して部屋を出て行った。

「さてと、ここからは機密の話だし、色々長いからユウヤにパス」

 タツミが溜息をついて椅子に座るのを見てユウヤは苦笑いして説明を始める。

「今回の作戦に敵対勢力として警察革命軍の介入がほぼ百パーセント。しかし僕達には国家機密の閲覧権限がある。そこで、警察革命軍が本拠地にしていると思われる日本警察庁地下五階機密区域に潜入し、ライフルや扉、その他諸々の生体認証装置に保存された生体情報を抜き出し、すべてゴキブリの物に改変したいと思うよ。だからサオリ、書き換えのウイルスの作成をお願いできる?」

「おけー……」

 サオリは部屋を出て行く。

「では、私は何をすればよろしいでしょうか」

「八重原ちゃんは、実際に機密区域に潜入してデータを直接流してほしい」

「わ、私がですか」

 久乃が困惑していると、タツミは溜息をついて言った。

「生憎、俺は警察革命軍と面識があって不可能、ユウヤはそのあとの作戦立案で忙しい。ほかの執行官達も関係した組織を壊滅させるために忙しい。ってことで、お前が選ばれたってわけ。まぁ、お前の技術なら問題なく任務を遂行できるだろうし、安全策を立てるうえ、侵入と離脱は俺が手を貸すから安心してくれ。それに、新人の部隊に顔負けしたくはないだろ?」

「た、確かに。ではそのお役目承りました」

 タツミとユウヤ、ユイカの三人は顔を見合わせ頷き、作戦立案に移った。

「さて、三人に戻った所で仮プランを説明するね。まず、今回の機密区画は地下五階。今回使うのはこの東京サブウェイの線路上にある点検用の中継駅。ここの扉から入って専用地下通路を伝い、途中にある通風口から警察庁内部地下四階に侵入。地下五階の機密区画には警察革命軍本拠地の他に警察庁専用サーバーのコントロールルームがあるから、そこに侵入。ユイカの情報が正しいのであれば警察革命軍は僕達の動向を探っているみたいだから、午後二時頃が一番人がいないはず。だから倒すか見つからない様にするかして警察革命軍のサーバーに近づくのでどうだろう?」

「四階から五階の移動はどうするの? 確かに警察革命軍は居ないかもしれないけどサーバールーム見張りは居るだろうし、四階にもその他警察関係者がいるんじゃないかしら」

「まぁ、そこは八重原の技量次第だろ。最近は懐柔してるが元は氷の女みたいな感じだからな」

 その後も三人の会議は続き約三日が経った頃。

「出来たよ……」

 サオリが剥き出しの電子回路を持って現れた。

「流石サオリ!」

 タツミは回路を受け取る。

「でも……この回路を……コンピューターの基盤に直接埋め込まないと……動作しない……」

「なるほどね。一応警察革命軍の使ってるサーバー機種も調べておいて正解だったよ。内部の基盤に触るにはパスワード式のロックを解除しないといけないけど、普通のコードブレーカで大丈夫。よし、八重原ちゃんを呼んで説明、明後日実行開始と行こうか」

 四人は部屋を出て久しぶりにホールに顔を見せた。

「そっちの感じはどうだ?」

 タツミが問うと、マサキは。

「ばっちりだ。まぁ俺達の始動はそっちの警察革命軍の牽制後だからまだ先だけどな」

 と答えた。



 そして、作戦決行日。

 久乃とタツミはユウヤからの指令を受けながら何食わぬ顔で鉄道管理局に侵入し、地下鉄の車庫行きようの線路の上を懐中電灯で照らしながら歩いている。

「緊張するか?」

「いえ、問題ありません。それに、いざとなれば教官が突入してきてくださるという事ですので」

「まぁ、そうだな。けど、あまり信用しないでくれよ? 俺の侵入口も通気口から地下四階に向けてだから時間がかかるし五階まで行くのに時間がかかるかもしれない。まずは見つからない事を目標に行ってきてくれ」

「もちろん承知しております」

 そうこうしているうちに前方から僅かな光が見えてきた。

「あれが侵入する駅だ。ここに人が来るのは終電後と始発前だけだから今は無人だ。お前のタイミングで行くと良い」

「はい。了解しました」

 そう言って彼女は暗視ゴーグルを着用して通気口に侵入していった。


「教官、分かれ道です」

『あぁ。右だ』

「了解です」

 久乃は無線から聞こえてくる声に従い順調に歩を進めていく。

『よし、注意しろ。その先に警察庁地下四階の通気口がある。見つかるなよ』

「はい」

 通気口の蓋を少しだけ開け首だけを出し、左右を確認して内部に侵入した。

 内部では数人の警官がデスクに向かって作業している。

 机の影に隠れながら久乃はこそこそと連絡を取った。

「教官、この扉生体認証型のオートドアの様です」

『案ずるな。サオリ』

『了解……三、二、一、ゼロ……』

 その瞬間、ロックが解除されてドアが開く。

『行け』

「はい」

 彼女は身を転がすように扉から廊下に出る。

「何者だきさ――」

 一人、警官がいたが即座に首を抑え、気絶した体をロッカーに隠した。

『おい、大丈夫か?』

「問題ありません。これより地下五階に向かいます」

『気を付けろよ。人が少ないとは言えゼロではないからな』

「はい、心得ています」

 久乃は足早に階段を降り、ロックの解除されたサーバーコントロールルームに潜入する。

『そこ……USB差し込んで……。ついでに警察の内部情報ももらっておく……』

「了解しました」

 そして今度はサーバールームの奥に座る管理者を後ろから襲撃し、気絶した体をサーバーの中に隠ぺいした。

「矢部教官、完了いたしました」

『……矢部教官はやめて……サオリでいい』

「か、かしこまりました」

『あぁ、俺達TGJCは苗字を嫌うやつが多い。まぁ、全員気楽に下の名前で呼んでくれ』

「りょ、了解です」

 久乃はサーバールームと警察革命軍本部を隔てる壁に付けられたブラインドの隙間から内部を除く。

 四人ですか……。

「タツミ教官、ガスの使用は可能でしょうか?」

『サオリ、どうだ?』

『可能……。五秒後に作動可能』

 彼女は手早く換気扇内ガスグレネードを突っ込んだ。

「ガスマスク装着しました」

『了解……。ぽちっと……な……』

『ん? サオリ、今なんか言ったか?』

『ななな何でもない……!』

 その瞬間、隣の部屋の換気扇から白い煙が一斉に流れ込み、内部の人間が次々に倒れていく。

 久乃は、窓の鍵を開けて部屋に飛び込みサーバーに向かってコードブレーカ―を使用した。

「電子回路基板にセット完了です」

『ん……。十秒待って……。今基盤の中身を流し込んでるから……………………よし、基盤を回収して脱出して……』

「了解しまし――」

 突如、警報が鳴り響く。

『不正アクセスを検知されたっぽいな。サオリ、何とかなるか?』

『なる……。さっきのコントロールルームハッキングから伝って……メインサーバー……アクセス管理……よし』

『八重原、警報は止まったが応援が来る。早く脱出しろ』

「了解」

 久乃は走って部屋を出て通風口に向かう。

「見つけたぞ! 侵入者だ!」

 地下四階の廊下に応援が集まってきた。

 久乃は防護壁の元の機械を銃で撃ち、強制的に閉める。

「教官、通風口に入りました。一瞬、警察と鉢合わせましたがガスマスクで顔を覆っていたため正体はばれていないと思われます」

『そうか、よくやった』

『タツミ……ちょっとまずい……。通風口から侵入したことバレたっぽい……。周辺駅に警察が武装して集まってきてる……』

『そーりゃ面倒だ。一応ライフルも持ってきて入るけどただのライフルだし一丁だぜ?』

『今……急いで武装のハッキングしてるから……よし、タツミの眼内コンピューターにハッキングスイッチのデータを送っておいた……』

『まじ助かるわー』

 二人が会話しているのを聞きながら、久乃は通気口から姿を現した。

「戻りました」

「よし、行くぞ」

 タツミは久乃にライフルを投げ渡す。

「こ、これは教官が……」

「いや? 俺はいい。ハンドガンがあればなんとかなるし、ハッキングもあるしな。んなことより急ぐぞ。ここは一本道だからできるだけ脱出ポイントまで距離を詰めておきたい」

「了解しました」

 二人は走って緊急用脱出口への誘導灯を辿って向かって行く。

 しかし、あと一歩のところで警察の応援と対峙してしまった。

「警告する! 二人とも武器を捨てて投降しろ!」

 もちろん、タツミ達が従うわけがない。

 そしてすぐさま柱を蹴り折り障害物を作り身を隠す。

「八重原、伏せろ!」

 タツミの声と共に、警察官が一斉に爆発した。

「どーだ! 自分達のグレネードをハッキングされて利用される気分はよぉ!」

 二人は障害物を乗り越え、砂埃の中を通り脱出口から外へ向かう。

「八重原、先行ってろ」

「きょ、教官! 何をするおつもりですか!?」

「ちょっとな」

 タツミはテープとグレネード、ピアノ線を見せた。

「よ、よくそんなものをお持ちで……」

「まぁ、今日はアクロバット戦闘をする気はなかったしな。だから背中には『バールのような物』が入ってるぞ」

「な、なんですかそれ……」

「っつーかんな話してたからしっかり五本もブービートラップ作れちまったじゃねーか。ほら行くぞ」

「随分と良い手際ですね……作り慣れてる……」

 階段を駆け上り外のワゴンに飛び乗る。

「乗った……?」

「おう、出してくれサオリ」

「らじゃ……」

 三人はその場を離脱し、作戦を完遂した。


 翌日、TGJC本部執行官専用会議室。

「さて、情報は全てそろったね。ここからはスピード勝負だよ」

 ユウキは情報をホロボードに映して皆の前に立ち説明する。

「そうだな、こっからは俺達の仕事だ」

 マサキはグレネードを投げて遊ん言った。

「マサキ、危ないからやめなさい」

「心配すんなってぺったんこ。中の火薬は減らしてあるから」

「そういう問題じゃないわ!」

 ミズキが立ち上がると、彼は驚いてフラグを地面に落とす。

「あ、まずい」

 それを見て、タツミは手を伸ばし。

「んんんトゥーザコミック!」

 と叫ぶと、フラグが小さく爆発しマサキがアフロになった。

「ゲホッ……え、今タツミ何した?」

「博士の秘伝業だ。実験で失敗時に使うらしい。まぁそう言うのはいいからさっさと話しを続けてくれ」

「う、うんいいよ」

 ユウヤは困惑しながらも話を続ける。

「えっとー……警察革命軍は手出しできなくなったわけだから、さっそく俺達で関係組織に企業への強襲作戦を決行する。本番は明後日の夜、全ての建造物に爆発物を仕掛けて退散。その後はドーンっと一思いにやるとしよう! で、問題はイランの製造工場なんだけど」

 情報を拡大して工場の写真などを立体的に合成した見取り図を展開した。

「前回の海外遠征はロシリアで、ロシリア政府やイギリスの協力があって秘密飛行場への着陸が出来て国に入れたけど、イランには僕達に協力的な秘密飛行場も港も無い。一応吉原総理大臣に色々相談してみるつもりだけど、最悪の場合日本から飛んで行ってそのまま空挺降下なんてこともあり得るから一応覚悟しておいてね」

 その話に怖気づく者はいない。

 皆小さく頷き明後日の強襲作戦に備えて準備を進めていった。

毎度読んでいただきありがとうございます。

さて、本話で出てきたユイカの過去の話が急に出てきた、もしくは初見さんはTGJC第十七部をご覧ください。

タツミが一瞬だけ語っております。

次回の投稿は二月下旬を予定しております。

今後ともTGJCを何卒よろしくお願いします。

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