TGJC mission file 9.5:<TGJC拷問官>
土下座。
遅くなりました。
しかも短い…。
本当は拷問官で一節作るつもりだったんですけどね…。
思った以上に裏作業なうえ超サディストなので描写するとR15の域に収まらなくなると言いますか。
ちなみに次回は頑張って二月上旬を目指してます。
日本国内某所、TGJC関係施設。
「よぉ、居るか?」
血なまぐさい鉄だらけの薄暗い部屋の中に向かって叫ぶタツミ。
「おや、これは珍しいお客様だ。普段は受け渡しだけで顔は見せないくせに」
奥から現れた鉄仮面を付けた男。
「そうか?」
「えぇ、執行官の皆さま方は僕に対してあまり好意的ではないようですので」
「別にそうでもないさ。俺達だって正義の皮を被った殺し屋だ。同じようなもんだろ、な? 拷問官」
TGJC情報収集官こと、拷問官。
彼は執行官及び総理大臣の命において拷問を行う。
「まぁ、そうですね……。して、本日のご用件は?」
「先日の男から聞き出す内容を教えそこなったと思ってな」
「そう言えばそうでしたね。わざわざこちらに来られたという事はそういう事なのですね。こちらへどうぞ」
拷問官は来た道を戻るように案内して、重い鉄扉で封じられた部屋の中で拘束され眠っている恭二郎の部屋に案内する。
「現在は睡眠サイクルを監視し、起床の兆候を見せた瞬間に睡眠薬を注射しています」
「起こせるか?」
「えぇ、もちろん」
タツミの要望をききいれ彼は水の入ったバケツをを持ち、恭二郎の顔面にかけた。
「ゲホッ、ゲホッ!」
恭二郎は驚いた様に目を覚ましたが、四肢と胴を固定されていたため身動きを取れずにいる。
「よぉ」
「獅童辰巳……! 貴様……!」
ガチャガチャと拘束具を揺らしながら反抗的な態度をとる恭二郎の髪をつかみベッドに頭を押さえつけた。
「拷問官、クナイを取ってくれ」
「はい」
タツミは渡されたクナイを持ち、恭二郎の腹に突き立てる。
「さて、知ってる情報を全て話してもらおうか」
「いやだね。テメェに話す事なんざこれっぽっちもねぇよ!」
「そうか。まぁ、答えようが答えまいが俺の行動は変わんないけどな。借りは返すぜ雑魚野郎」
そう言ってクナイを腹部に突き刺した。
「グァァ!」
刺さったクナイの周りから血が滲み出始める。
「拷問官、こいつに聞きたいのは警察革命軍の事とTGJCの情報をどこで手に入れたかだ。聞き出した後は……お前の好きにしていいぞ」
タツミは苦痛に顔を歪める恭二郎を冷たい目で見ながら拷問官に命じた。
「了解いたしました。情報はまた郵送で?」
「そうだな……いや、俺達は同じTGJCじゃないか。収集が終わったら連絡くれよ。俺達は関係性上関わる時間が無いからな。たまには直に話そう」
「そう言ってもらえるとは。光栄だね」
拷問官はゴム手袋をはめタツミから出番を受け取る。
「さてと、仕事しますか。いやぁ、僕は幸せだな、好きな事を仕事に出来て」
外に出たタツミは乗ってきた車に戻り、電話をかけた。
『もしもし、パパ? お仕事終わったの?』
相手はユイナである。
「おう、ばっちり片付けたぞ! ふむ、まだ午前中……ユイナ、カオリ起きてるか?」
『うん! でもさっき起きてきたところ』
「今日は久しぶりに三人で出かけないかってカオリに伝えてくれ。三十分くらいで家に付くからさ」
『分かった! 準備して待ってる! パパも気を付けてね!』
「はいよー」
電話を切ってエンジンをかけたタツミは勢いよくアクセルを踏み込んだ。
何故、執行官達があまり拷問官とは関わらないか。
それはあの男が元々死刑囚であるからである。
TGJC拷問官は執行官の始動後より暫くして作られた役職であった。
そもそも、何故正義を名乗るTGJCに死刑囚より選ばれた人間が入っているのか。
理由は簡単、超極秘機関として作られたTGJC執行官には本来必要な情報を会得した後の教育が存在していなかったからだ。
機密保持の関係上、収集した情報を引き出すためにその他機関に送ることは出来ず、また新たに教育することも出来なかったため、当時死刑囚であった拷問業の男を長期間徹底的に管理し機密を約束したうえで取り込み、万が一仕事を辞めれば死刑囚、情報を漏らせば死刑という立場に立たせ半強制的に働かせている。
とは言っても彼は好き好んで拷問をしていたため、本人曰く全く持って苦痛ではないそうだ。
そのため、執行官達には彼に対する多少の抵抗が存在する上、そもそも一般人とかかわりを持とうとしない彼らからすれば特異な存在の為、皆距離を置く。
タツミが家の前に車を止めると、すでに玄関にはユイナとカオリが待っていた。
「思った以上に早かったね……」
「まぁ別に本部と大した距離じゃない場所に行ってたからな」
ユイナは助手席に、カオリはタツミの後ろの席に乗り込む。
「さて、どこに行こうかね」
「タツミ……どこに行くか決めてから誘ってよ……」
「ぱぱ、私べベニーランド行きたい!」
「あぁ、あの日本最大のテーマパークか。いいぞ」
そう言って彼はギアを上げ、勢いよく車を発進させた。
「ちょちょちょちょ! 安全運転を希望します!」
カオリは涙目になりながらシートベルトを握る。
「当車は超安全運転でございますよ~!」
そう言ってタツミはハンドブレーキを持ち上げカーブを曲がっていった。
そして、駐車に至るまでも超トリッキーな運転であったが、そのすべての工程にミスはない。
「ぱぱすごーい!」
「だろ? ユイナもそのうちできるようになるぞー?」
「ならないわよ」
駐車場と入り口には一つの巨大な交差点がある。
「きゃー!」
暴走トラックだ。
交差点で女子高生が立ち往生していた。
「悪いねお嬢さん。異世界転生したいなら言ってくれ」
「へ……!?」
道路の真ん中にタツミがどこからともなく現れ女子高生の目線に合わせてしゃがむ。
「なぁ、生きるか死ぬか選べよ。早くしないとトラック来るぜ?」
「い、生きたいです!」
「ほい」
タツミは立ち上がってトラックを右手で押さえ、持ち上げて進行方向を変えて壁に突っ込ませた。
その驚異的な行動に周囲にざわめきが起こる。
「いやー、重いねートラックって。この前さ、腹に刃物刺されてな? まだ傷完治してねーんだよ」
「は、はぁ……」
女子高生は少し困惑しながら立ち上がった。
「ぱぱー。大丈夫?」
「もー、急にどっか行って……ってエミリちゃん!?」
「え、カオリ!?」
二人は親し気に手を握る。
「誰だ?」
タツミはユイナを抱え上げ腕に乗せた。
「えーっと、同じクラスのエミリちゃん。今日一人?」
「ううん、アリサとシルビアちゃん一緒に来てるはずだよ。あ、この人修学旅行の時にいた人……」
エミリは何か察した様な様子でタツミに軽く頭を下げる。
「にしてもタツミ、異世界転生するかなんていうユーモアのある事も言えるんだね」
「まぁ療養中死ぬほどユウヤに聞かされたからなー。なんかトラックだの通り魔だの目が覚めたらだのって。まぁ、俺達の職業柄じゃ異世界転生は出来なさそうだけどな」
彼は笑いながらトラックに向かい手袋をはめ、運転手を引きずり下ろした。
「こりゃ薬中だな。何々、運送業者かへー。体の湿疹に手の末端の壊死……ん? こりゃアレだな。科学ドラッグってやつだ。俺のブースターとか鎮痛剤に類似する物だ。もちろん、こいつにそんな効果は無いけどな。通常のドラッグと比べて少し高いんだが、圧倒的な効果でさ、まぁそれなりに有名なブツなんだけど……問題はこいつが運送会社の副社長の役職って事」
そう言いながら運転手の服を物色していると、警察と救急車がやってくる。
「そこの男、動くな! 両手を挙げて床に伏せろ!」
「まぁまぁ、そうかっかすんなよ」
タツミがゆっくり立ち上がって警察と向き合うと、銃口を向けてきた。
「ちょ、え、お兄さんヤバいんじゃない……!?」
エミリはカオリの腕をつかんだが彼女は溜息をついている。
「大丈夫……だと思う……」
タツミは警察にゆっくり歩み寄り、手を銃口にかぶせた。
「こーんな物騒なもんしまいなよ、な? ちょーっと触診しただけじゃねーか」
「く、来るな!」
そして周囲に発砲音が響く。
「だからさ? やめろって言ったじゃねーの」
タツミは銃口をつかみ、上に捻じ曲げ、放たれた弾丸をつかんで警官に返した。
「まぁー一旦は引き下がってやるけど、その死体、早いとこ持ってった方がいいぜ? じゃーな」
そう言って皆の元に戻りユイナを再度抱え上げる。
「だ、大丈夫ですか!?」
エミリが駆け寄ってきてタツミの右腕を持ち上げた。
「ん? 何が」
「だ、だって撃たれて……!」
「あぁ。大丈夫大丈夫。この手袋は防弾繊維で編まれた優れものでな? ナイフも弾丸も貫通しない。まぁ、衝撃はあるから気を付けなきゃなんだけどな」
「な、なら手が……」
彼女はタツミの手を見つめる。
「まぁ、俺の手は超頑丈だからな。弾丸を受けたり爆弾をつかんだところでぶっ壊れたりはしないさ」
暫くして、シルビアとアリサが様子を見に来る。
「あれ、カオリちゃん? なんでここに……タツミさんも……」
「たまたまな。さて、今日は遊ぶぞ。どうやら次の仕事もそろそろ決まりそうだしな」
手袋を外し、ユイナと手をつないで皆と中に入っていった。
その日の深夜。
遊園地から帰宅しカオリとユイナを寝かした後、一人でガレージに向かい、二人乗りの車に乗りこんだ。
「どうだ?」
『えぇ、ばっちりです。では、例の場所で』
「あぁ」
電話を切り、タツミはアクセルを踏み込み家を出て、裏路地のバーに入る。
「お待ちしておりましたよ。ゼロさん」
「で、どうだった」
「まぁそう焦らずに。お飲み物でも注文なさっては?」
拷問官はメニューを手渡してくる。
「はぁ、車で来てんだよな」
そう言ってタツミはウーロン茶を頼んだ。
「さてさて、お話と行きましょうか。まず、松紫原恭二郎がTGJCに関する情報を持っていた件については正直良く分からなかった。彼は元々、ゼロ、あなたに強い恨みの様なものを持っていたらしく、ずっと所在を追っていたそうで、突然TGJCの情報規制が緩くなったと言っていましたので、何やら大きな力が働いたのかもしれませんね」
そう言う拷問官が少し笑っているのを見てタツミは問いかける。
「お前……何か知ってるのか?」
「そうですね……知っているわけではないですが、僕は情報収集官ですので、様々な情報の統計から見えてくる物もあるのですよ。例えば、この国に蔓延る最大の汚点とかね」
「最大の汚点?」
「まぁ、あくまで僕の想定ですので公言は出来ませんがね。まぁそうですね……しいて言えることは『全ての行動を第三者から見ればいい』のではないでしょうか」
「それってまさか……なるほど」
「まぁ、それもただの想定ですけどね」
拷問官は不敵な笑みを浮かべて酒を飲み込んだ。
「さて、話を戻しましょうか。もう一つの情報、警察革命軍についてですが、やはり少し厄介な組織ですね。彼らの最終目標は日本政治への介入と支配の様です。政府から汚点を取り除くというのではなく、政府や警察、組織そのものを解体して完全に作り変えるという思考みたい。けど、すでに革命軍の中には汚職に手を染めている者もいるみたいで、本末転倒、自然消滅説が濃厚かとおもわれます」
「さぁ、それはどうかな」
「?」
タツミはウーロン茶を飲み干しグラスをゆっくり机に置く。
「だって、人間は非から目を背けて繰り返す愚かな生き物なんだぜ? もし、警察革命軍が日本政府征服を果たした際に舞い込んでくる金は莫大だ。身内の悪人にも少しの利権と金を流せばいい。そうだろ?」
二人が話していると、謎のチンピラ集団が押し掛けてきた。
「ねぇ、お兄さんたち金くれよ」
「そーそー、俺達に金くれたら痛い目見なくて済むよ?」
釘バットにナイフやハンマーを乗せてにやにやしている。
「おいおい、シカトすんなよ。金よこせって言ってんの。聞こえないの?」
そう言って机に座ってくる男の言葉を聞いて周りのチンピラたちがげらげらと笑い出した。
「ビビッて動けなくなっちまったか?」
そう言って肩を組んでくるチンピラ。
「はぁ……。そんな事してる暇があるならとっとと家に帰ってママの乳でも吸ってな小物」
タツミは少しいらだった様子で中指を立て、肩に回された腕を乱雑に払う。
「まったく、僕はあまり関わりたくないのですが?」
「まぁまぁ、こんな小物、俺一人で十分だろ」
「っざけんなテメェ!」
チンピラの一人が殴りかかってきたのをタツミはいともたやすくかわし、後頭部をつかんで壁に顔面を叩きつけた。
チンピラは前歯を折られ、気絶し地面に倒れる。
「て、テメェ! 全員、この男をやっちまえ!」
そう言い放って僅か数秒。
周囲に転がったからだと中央に立つタツミ。
「殺さなかっただけ感謝しろ。虫けらが」
タツミと拷問官は唾を吐きチンピラの懐の金で会計を済まして外に出た。
「まぁ、本日の報告は以上ですので。次回以降はどうしましょうか?」
「さてね。実は日中『コヒュポス』の末期症状者がいてね。その件に関する話が回ってくるかもしれない。そうすると忙しくなるから、まぁ暫く会う事は出来ないかもな」
「コヒュポス……なるほど、それは厄介ですね。あのドラッグの生成にはそれなりに大規模で専門的な設備が必要ですので……」
「あぁ。また国外行きかもな」
そう言ってタツミは車に戻り、家へ帰った。
数日後、彼の予想通り、吉原総理大臣から緊急招集がかかる。
「やぁ、久しぶりだね。展覧会の時以来かな?」
彼はたんたんとプロジェクターや資料を準備しながら話してかけた。
「確かに。まぁ、俺とマサキの記憶の中じゃあんたが爆撃許可を出した記憶が一番強いがな」
「あぁ、間違いねぇ」
「そう言えば、結局ユイナちゃんはどうなったのかな?」
トオルが問うとタツミは少し複雑な表情を見せる。
「ユイナの家系、まぁつまり小原家には代々完全記憶って言われる凄い能力があるって話は前したろ? つまり、ユイナにもその力はあった。けど、目覚めてなかったんだ。それが、展覧会に何かトリガーがあったのか急に目覚めてショック症状が出たっつー事らしい。今はもう問題なく日常生活が送れてるし、博士から万が一の場合の鎮静剤ももらってるから大丈夫。ってもすごいよな。視覚情報を全て模様として一瞬で記憶しいつ何時でもその状況を脳内で再現できるなんてさ。だから見た者の心情や、その場で何があったかも全て分かるんだと」
タツミは少し呆れた様子で溜息をついた。
「それは……。もっと彼女の警備を強めなければいけないな」
トオルも何となく察したような表情で机に置かれたコーヒーを飲む。
「そろそろ、話していいかな?」
そう言う吉原に皆肩をすくめて目を閉じた。
「ありがとう。さて、手元の資料の一枚目で分かると思うけど、コヒュポスが市場に出回っている。君達にはコヒュポスに関する情報収集を行ってもらいたい」
「情報収集? コヒュポスの件は知っていましたけど、てっきり大元を叩けっておっしゃるのかと思いましたわ」
スズは少し不思議な表情で吉原を見つめる。
「今日本の軍力は全て静岡の跡地に出払っていてね。情報収集部隊も陥没やテロリスト集団に関する情報収集で出払っていて何もできないんだ。だから情報収集。もちろん、もし大元の情報がつかめた暁には君達に現地に向かってもらうつもりだよ。工場、出資者、コヒュポスの元全てをね」
「なら、私の出番ね」
ミズキが立ち上がって胸を張った。
「張る胸ねぇのに……クックック……」
「黙れ能筋!」
睨み合う二人を横目に執行官達は話を進める。
「なら、私も行こうかしら。暗殺者も情報収集できることを教えてあげるわ」
「ならパンツしまえよ」
タツミは鼻で笑いながら彼女の捲られたスカートを見た。
「べ、別にこれくらいなんともないわ! 私を甘く見ないでよね! やるときはやるんだから!」
「わ、私も……情報集収できる機械……とか作ってみる……」
「おう、頑張れ」
必死に取り繕うユウカには目もくれず、タツミはサオリの頭に優しく手を乗せる。
「なるほど、タツミはすっかりパパになっちゃったわけだね~。あ、もし援護射撃が必要ならいつでも呼んでね~」
ミカは手をひらひら振りながら微笑んだ。
「まぁ俺達は基本的に突撃隊だから収集はそっちに任せる」
リュウ、ユイカ、ユウヤ、アカリ、スズは資料に目を通しながら色々検討をし、すでに作戦を立てているようである。
「まぁ、あとは君達に任せるよ。僕はとにかく静岡のテロの跡片付けが大変でね。あ、でも何かあったら遠慮なく要請してくれたまえよ」
そう言って吉原は会議室を去っていった。
彼の去る姿を見てタツミは静かに目を閉じる。
「さて、話し合いを始めようじゃないか」
全然関係ない話なんですけど、三月最近アニメ見てて下唇だけ色を塗る描写を見たんですよ。
それがどーにもしゃくれてる様に見えてしまいまして。
どうしたらいいでしょうか。
ちなみに二枚あるパソコンのモニターの一枚で小説を書きながらもう一枚でアニメを垂れ流すのがルーティーン。




