TGJC mission file 6:<対レーリズ日英共同特殊同盟> 2
暑いですね
「ちょっと、どこに行ってたの?」
TGJCに一切の連絡を入れず姿を消していたタツミ。
彼を部屋で待ち構えていたのはユイカ。
「ちょっとな。ユウヤに話がある。どこにいる」
「ったく、あいつなら今部屋で作戦練ってると思うわ。何か掴めたの?」
タツミはユイカの瞳を真直ぐ見つめた。
「わかった。どこに行っていたかは深く問わないわ。行ってらっしゃい」
「助かる」
タツミはホルスターを腰から下ろしユウヤの部屋に向かい、拷問で聞き出した情報を全て伝えた。
「……わかった。それと、すぐに撤退準備を始めるように伝えてほしい。僕たちがロシリアに出発した日、アメリカがここに宣戦布告したらしい。レーリズの立場はまだ決めていないらしい。ただ、もしアメリカが攻め込んできて僕達が手を出してしまえば自動的に戦争が始まってしまう。レーリズを潰し次第早急にここを出たい」
「……厄介だな。結構日時は決まったのか?」
「アメリカは遅くても一週間後までに戦争を始める気らしい。だから決行は三日後。作戦も超特急で考える。皆には三日後とだけ伝えてほしい」
「小原は?」
「編成を急かしている感じだった。今連絡を取っても帰って邪魔になるだけだろう」
「そうか」
タツミは部屋を出て皆に通達して回った。
『やあ。ミスター十三郎』
「久しぶりだなニクス。しっかりやっておいたよ」
『そうか。これからも頼むぞ』
「ところでニクス、あの件はどうなっている?」
『任せておけ。アルファもベータも現在問題はない。しいて言えば少し生意気で俺を見下すような話方をしてくることくらいか』
「ははは。それはこちらも同じだよ。引き続き頼むよ、ニクス・オルター殿」
『あぁ。君も』
電話の切れた後、男は一言呟く。
「悪いね。君の最期はもう決まっているのだよ……」
二日後、作戦会議のためホテルに作られた秘密会議室にTGJCとクリスがユウヤの招集により集められた。
「さて、まず今回の作戦参加者はミズキ、ユウカを除くTGJCとイギリス特殊部隊。特殊部隊が持ち帰った情報によると、リュウ達の見てきたビルの最上階で会議は行われるらしい。しかし、あそこを攻めるのは非常な危険が伴う。偵察は上空からいったから分かりにくかったかもしれないが、隣の町との境には巨大な防壁が設置されていて、入るには必ず検問を抜けなくてはいけない。また、当日ビル周辺には対空自動迎撃システムが展開され、三十五階建てのビル三つ分くらいの高度まではレーダー感知されてしまう可能性が高い。なので今回は特殊部隊を貸してもらえるという事で正面から突撃しする作戦にしようと思う。あの町……【ポリシアタウン】内部で抵抗、または反撃してくる者に慈悲はいらない。まず、超装甲戦車で壁の一部を破壊し内部に突入、その後は応戦しながらタワーを目指す。戦車は皆の壁になりながらその場のふさわしい道を通りながら向かってくれ。同時にリュウ、マサキ、タツミの三人が反対側の壁から侵入し、ビルを目指す。二班二方向からビル一階を占拠したら、タツミ、マサキ、そしてクリスさんの三人で最上階を目指してください。アカリはもし近距離に敵が集中し過ぎたら戦車から降りて応戦しても構いません。ほかに特別な動きのある人はサオリくらい。サオリは一階を占拠したら、配電室に行って建物全ての電気系統を遮断、連絡網を一気に断ってほしい。少し時間のかかる作業だからユイカ、護衛を頼めるかな?」
「わかった。サオリ、背中は任せて」
サオリは首を縦に勢い良く振った。
「一応、作戦はこんな感じだ。何か質問等あるか?」
「なぁ、もしヘリとかの応戦部隊が来たらどうする気なんだ?」
少し不安そうなクリスを見たタツミがスズを指さす。
「この嬢ちゃんが?」
「あら? 私を甘く見てもらっては困りますわよ。今回私はミニガンを二丁持ちして人力セントリーガンをやるつもりですわ! ヘリでも飛行機でも瞬殺して差し上げますわ!」
スズは持ちやすく改造された重いミニガンを軽々と持ち上げ笑う。
「お、おうスズの嬢ちゃんには逆らわない方がいいな……」
クリスは徐々に声を小さくしながら言った。
「そういえば、この前の偵察で特殊部隊側に少々負傷者が出たという噂だが今どうなっている?」
トオルの質問にクリスは。
「あぁ、実は郊外にもレーリズの町があってな。ポリシアよりは小規模でド田舎という感じだったらしいが、防壁に近づこうとした瞬間門番に発砲されたそうだ。一応死者は出なかったが、二人だけ作戦から外れる。だから合計で三十八人が出撃可能だ」
と答えた。
「わかった」
そういって机の下から巨大な段ボールを取り出す。
「今回の作戦のために新作の毒ガスを作成した。通常のガスマスクでは防ぎきれない優れものだ。この中に入っているガスマスクは俺が作った超高性能のガスマスクだ。部隊に支給してくれ。同士討ちは避けたい」
「承知した」
クリスは箱を受け取る。
そのまま続けて。
「俺は裏から攻めるってことだったよな。だからイギリス特殊部隊の指示はユウキに一任させてもらいたいんだが大丈夫か? TGJCほどではないが、ある程度動けると思うからよ」
「問題ない。僕が兵を預からせてもらう。ほかに何か話しておくことはあるかい?」
数秒置いて確認し、ユウキは会議を締めくくった。
皆が会議室を去る中、クリスはタツミに話しかける。
「いっちょ見せてやるか? 俺とタツミの最強コンビネーションをよ?」
「あぁ、兵器プログラム実践訓練でやったあのコンビネーションか?」
「そうそう、一に俺が突っ込み二にタツミが突っ込む。我ながらあの作戦はうまくいったと思っているんだがどうだ?」
「あほか。それに今のお前と俺じゃ戦力差があり過ぎるだろ」
「確かにな。それでも身体能力は結構高いはずなんだけどなぁ」
「まぁ、俺の手足はモーターとジェットエンジンがないと動かないからなぁ」
「頼むから突撃の時は歩調を合わせてくれよ?」
「しょうがねぇなぁ」
タツミは部屋の入り口まで行って立ち止まる。
「あ、そうだ。お前に勘略式飛行デバイスをやる。博士からのプレゼントだ。例の情報が起きてしまったら使わざるおえなくなるだろう。お前の足型に合わせてあるからお前以外使えん。だから喜べプレゼントだ。まぁ、緊急で作られたやつだからTGJCが使っているものより機動力は劣るが直線の速さならどのデバイスにも負けん。俺のには勝てんがな。外の戦車のあるコンテナの中だ。明日までに乗りこなしておけ。これ鍵だ」
銀色の鍵を投げ渡し部屋を去った。
その日、ホテル周辺では地上から上空へ、あるいは上空から地上へと響く奇怪な男の声が響いたという……。
作戦当日、ホテル正面玄関。
「よぉクリス、問題ないか?」
「あぁ、あのデバイス意外とバランスとか速度調整とか難しいんだな……だが問題ない! 昨日ひたすら練習して無事乗れるようになったからな!」
タツミは鼻で笑う。
「絶叫しまくってたくせに」
「う、うるせぇ! 操作方法もろくに教えなかったくせに」
「マニュアルが入っていただろ? まぁ、このデバイスで一番難しいのは着陸だ。何せ、出力を間違えば転倒しかねないし、無事地に足がついてもデバイスを装着したまま走るのは違和感があるだろう。コケるなよ?」
「対地雷用鉄製靴を履いて走り回ってるんだ。問題ないさ」
「じゃあ行くか」
二人は自動ドアをくぐった。
外には特殊部隊員とTGJCのメンバーが戦車の調整や輸送トラックへの荷物移動を開始していた。
「おはようタツミ、クリス。自分たちの荷物はもう部屋の前に出したか? 私達が作戦をしている間にもう日本に送られるらしい」
二人に気が付いたユイカが額の汗をぬぐいながら心配してくれる。
「大丈夫だ。俺達はあの大型トラックに詰められて運ばれるのか?」
「我慢しなさいタツミ。さすがに輸送機を出すほどの距離でもないし、ぞろぞろ行っても目立ちすぎる。あ、でも安心して、タツミとクリス、あとマサキは先に裏手側で降りるから大した時間乗っていないと思うよ。二人とも、そろそろ物資の詰め込み終わるからトラックに乗り込む準備しておいて!」
ユイカは手を振って走っていった。
「まるで遠足みたいだなぁ」
クリスは少し楽しそうだ。
「そうだな。まぁ実際は戦争しに行くんだがな」
「戦争しに行くときもお前はスーツなのか? ちゃんと武装した方がいいんじゃないか?」
「このスーツは耐熱繊維で編まれた俺がどれだけ手足の出力を上げても全裸にならない優れものだ。それに、どうせ途中から銃は持てなくなる。アヤメニウムで銃を作れば持てるが、弾は無い。あの鉱石は貴重だからな弾丸なんかに出来ない。だが鉄なんかでは形を保てなくなってしまうというわけだ」
「確かに、戦闘服よりスーツの方が機動力はあるな。しかし、他の執行官達のあの服装はなんだ?」
特殊ビニールを生地に様々なところに機械が取り付けられている。
更に、背骨や関節部には骨と同じような形の装飾が施され、着るもののスタイルをしっかりと映し出す。
「パワードスーツの新作だな。今までの戦闘スーツは多少重厚感があって力と引き換えに速度を失う面もあったからな。それを極限まで減らしたのがあれだろう」
「お前のは無いみたいだな」
「俺には四肢がある」
そういって緩んだネクタイを締めなおし、腰からハンドガンを抜いて懐からマガジンを取り出し装填し再度しまう。
「行くぞ」
そう言ったタツミの顔はやる気に満ち溢れていた。
「ふむ、これが街の裏の壁かぁスプレーだらけできたねぇなぁ」
タツミは肩をまわしながら首を鳴らす。
それに続いて二人もトラックから降りてくる。
「じゃぁ三人とも頼んだわよ!」
トラックの扉を閉じながら他の皆は去っていった。
「突撃時間まであと十五分か。さて、博士からのプレゼントも準備できたし……」
マサキは巨大な筒を腰に背負う。
「よしじゃあマサキ、偵察に行ってこい」
「そーだーいってこーい」
マサキ後方から聞こえてくる声の方向を向くと、タツミとクリスが折りたたみ椅子に座ってジュースを飲んでいた。
「あんたら何してんだ! てか偵察なんていらねぇだろうが! あとここは北だ! トロピカルジュースは南で飲め! クリスも『そーだー』じゃねぇよ!」
マサキはタツミの首元をつかんで前後に揺らす。
「お前もいつも通りだな。なっか緊張してるみたいだったから安心したよ」
「んなもんハナからしてねぇっつうの。ただ戦争は初めてだからいつも通りでいいものなのかを考えていただけだ」
「何を言っている。いつも通りでいいんだ。今までの仕事がちょっと大規模になっただけだ。気にすることはない」
マサキはタツミの腕を振りほどきながら言った。
「そうか。お前は一人でこっちの世界にいたんだもんな。悪い。いつも頼ってこいなんて偉そうなこと言って。確かにこの前までの俺だったらビビッて逃げ出してたかもしれねぇ。だけどやっぱ自分たちの大切なものに喧嘩売ってきた奴等を放っておくわけにはいかねぇよな」
マサキは一度大きく深呼吸し、首を鳴らしていつでも突撃できるよう整えた。
暫くして、町の制反対側から巨大な音が聞こえてくる。
「戦車が壁を壊して突撃開始。初発は高く遠くへ裏手への合図を兼ねてだったな。始まったようだぜ。クリス、マサキ、準備はいいか?」
二人は頷いた。
マサキは背の筒を地面と平行にし、口を壁に向ける。
「ソードオフチャージ式キャノン、発射ぁ!」
背に大砲をしっかり固定し右手側にあるレバーを前に倒す。
大砲から放たれた四百ミリメートル砲弾は壁に突き刺さり間も無く激しく爆発した。
町を囲っていた壁は一瞬で大穴を開けた。
「道は作ったぞ!」
この大砲は、マガジンが一応存在しているが、装弾数は二。そのマガジンも巨大なため、一つをセットした状態にしてももう一つ持つのがやっとといったところだ。
リロード自体は発射時に倒したレバーを上げれば自動的にされるが、マガジン交換には多大な時間を要する。
マサキの持ってきた弾は五発。
つまり、壁を破った後、リロードし弾を持ち直す手間が存在するのだ。
彼の出した合図でタツミとクリスが戦場へと飛び込んでいく。
「別に掃討作戦じゃないんだろ?」
「あぁ、タワーまで一直線に走り抜けるだけだ! 立ちふさがる奴を倒すだけでいい。物足りないか?」
「俺にはな。まぁ、お前の場合は必死だろ?」
「それはどうかな?」
クリスは目の前に現れたアサルトライフルで武装した市民の眉間に走りながら弾丸をぶち込む。
「おぉ、お前は知り撃ち苦手だったのに随分うまくなったな」
そう言いながらタツミは壁を蹴り、空中で体を後方に捻り後方に現れた敵を数人殺す。
「おほめにあずかり光栄だね。まぁまだお前に敵いそうには無いけどな!」
クリスは更に横から襲い掛かる脅威を回し蹴りで排除する。
「じゃあ俺からアドバイスだ。建物をうまく使い、周囲に気を配ることだな」
タツミはまた壁を使い、建物三階程の高さまで飛び頭を下に地面と垂直になり敵の銃口に恐れることなく落ち着いた状態でトリガーをひき、三人仕留める。
「おいおい、そりゃ人の事言えねぇんじゃねぇか?」
クリスはタツミの頭と地面の間をスライディングですり抜け、タツミの背を狙う敵に的を絞り眉間に弾丸を打ち込む。
タツミは手を地面に付き、腕をバネにバク転した後進行方向へ体をひねる。
「まぁ、仲間を信用するっつう事も大事なんだぜ」
状態を起こして速度を戻すクリスの方を向いてタツミは笑う。
「かもな。あと、普通の人間は壁走ったりなんて絶対出来ねぇからな。例の軍隊の訓練とかに混ぜたりするんじゃねぇぞ」
クリスは呆れ半分で言った。
直後、正面組から通信が入る。
『聞こえるか? こちらハーフポイントを追加。これより№5と№2はプランAにて行動を開始。戦線を離脱。検討を祈る』
「こちら0。了解した。頼んだぞ」
「俺らの位置は?」
「まだハーフ到着はしてない。ペースを上げるか」
「大半は前がひきつけてくれる計算だったが思った以上にこっちにも敵がいるな」
「まぁ、ほぼ同時突入だったからな」
話している二人を敵の集団が囲む。
『邪魔だ!』
二人は背中を合わせて一瞬で敵を倒す。
すると、クリスの足元が突如に小さなくぼみができる。
「スナイパーだ。タツミ、走るぞ」
「あぁめんどくせぇ」
二人は速度を変えながら直進する。
周囲に幾本ものスナイパーライフルから放たれた弾が着弾する。
弾の一つがタツミ達をすり抜け止めてあった車に突き刺さり大爆発を起こす。
「っぶねぇ。ガソリン入れてねぇのかあの車」
「知力勝負では俺の勝ちだなタツミ。ありゃ炸裂弾だな。つか、そんな分かりやすく爆発物を街中に設置すると思うか?」
再度弾が二人をすり抜け、今度は置いてあった鉄製のごみ箱に当たり爆発する。
「おいクリス、炸裂弾ってあんな効果力なのか?」
「まじかよ……まじで街中に爆弾設置してやがるぜこいつら」
「ほらな? だが、炸裂ではないが装甲貫通弾を使っているのは間違いないだろう。出なきゃあんな簡単に鉄を突き破れるとは思えん」
「そうか?」
「あぁ。見た感じ劣化もしていないしな。きっと今日の会議に合わせて配置されているんじゃないか?」
二人は弾丸と爆発をよけながら街中を進む。
「これじゃスピードを上げようにも上げられないぜ」
「まぁな。ある程度ビルに近づけば爆発物は減ると思うが……面倒だからな」
タツミは一度息を吸い込み。
「コード アイモード サーマル」
タツミは近くのベンチを使い、地面と距離をとって空中前転をする。
「数は七。距離は二百メートルを保って建物上を移動してきている。進行方向を向いて右側に三人、左側に四人だ」
「そりゃ新モードか?」
「そうだ。まぁただサーマルレンズに切り替わるだけだ。その分視界は少し悪くなるが索敵にはうってつけだ」
「だがよ? 敵の位置分かっても俺らハンドガンだぜ?」
「別にお前にはいってねぇよ」
その瞬間、後方からアサルトライフルを単発で放つ音が聞こえてくる。
「任せとけ! 位置が分かればこっちのもんよ!」
「遅かったなマサキ」
「別に良いだろ。この大砲まじで重いんだわ」
「にしてはよく追いついたな」
クリスの質問に。
「あぁ、それは新型のパワードスーツのアシストランニングっていう機能のおかげだ。だから一番時間がかかったのはリロードとマガジンを背負う作業だ」
マサキは持っていたアサルトライフルを投げ捨てながら言う。
「その銃捨てて大丈夫か?」
「心配無用だクリス。まだアサルトライフルは持っている。ただ、咄嗟に援護を任されたからあんたらが倒した奴の銃を奪っただけさ」
三人はそのまま敵を倒しながら突進していった。
一方、ポリシアタウン正面。
「突撃! 戦車を盾に特殊部隊の諸君は前進せよ! 途中指揮系統をアカリに移行!」
崩れた壁からぞろぞろと街中になだれ込み、中央を目指す。
アカリは、隠れているスナイパーなどの脅威を建物ごと粉砕していく。
「アカリ! 前方に対戦車地雷!」
「大丈夫! 超装甲戦車はロケットランチャーを食らおうが無傷で立っていられる最強の装甲車だから! ただ、爆発範囲が分からないからみんな離れて!」
アカリの声を聴いて。
「皆分散! 戦車から一時的に距離をとれ!」
とユウヤがメガホンで叫ぶ。
戦車の下が激しく爆発し、小石が辺りに飛び散る。
それに恐れた敵の腰が引け始め。
「今だ! 全員速度を上げろ!」
と指示を出す。
戦車と銃で町は徐々に壊されていく。
敵は減る一方のなか、TGJCは未だ戦闘不能者は出ていない。
ハーフポイントに到着し、最前線にいたトオルと機動狙撃手をしていたミカがユウヤの元へと引いて来る。
「二人とも、頼んだよ」
トオルは頷きミカは。
「任せといて~♪」
とスナイパーライフルをバッグに戻す。
その間、トオルはタツミに通信で別行動に入ったことを連絡した。
二人は飛行デバイスを起動し街の外へ移動、再度向きを変え街を迂回して飛んでいった。
「あと半分だ! 押し切れ!」
もう裏からも侵入されていることには気が付いている様子の敵だったが、人手を表に回すことにしたのか、だんだんと行く手を阻む敵の数が増えていく。
しかし、前に何が有ろうと突き進む戦車を盾にしている一行は全く動じることなくどんどん前へ進む。
「見て! タワー前にバリケード! 戦車で突き破っちゃってもいい?」
「かまわない!」
ユウキの指示を聞いたアカリが歩兵より頭三つ分ほど前に出て、街中の机やごみ箱、ブロック塀などでできたバリケードを突破する。
「こちら10! 正面部隊目標タワー到達! これより一階占拠を開始する!」
皆建物内部に入りながらクリアリングをし、アカリは建物正面玄関をふさぐように戦車を横にして乗り物を降りる。
「配電組は待機! 0達の到着を待つ!」
「了解!」
ユイカの返事の直後。
「まずいですわよ! 迎撃ヘリが到着したうえ、裏口に敵が回り込んで突破しようとしていますわ!」
スズはミニガンを構えながら言う。
「おりゃー! どけぇぇ!」
裏口の更に奥から声が聞こえてきた瞬間、タツミ、クリス、マサキの三人が扉を突き破って中に入ってきた。
「すまん遅れた!」
マサキはアサルトライフルを床に置く。
「三人とも無事みたいだね。実は、配電室に行く為には鉄扉を破らなくてはいけないんだがどうやらアナログ式みたいでね。マサキ、頼めるかい?」
「任せとけ!」
ユウキの案内で鉄扉の前に行き、大砲を放ち壁に大穴を開ける。
「サオリ! ユイカ! 道は開けた!」
ユウヤの指示で二人は走って中に入っていく。
戻って来たマサキは大砲を地面に置き、アサルトライフルを持ち上げる。
「それじゃあまぁ行きますか?」
タツミはスーツのネクタイを緩め手袋をはめる。
三人は余裕の表情で階段を上り始めた。
毎月15日周辺は課締め切りが忙しくて…
終わったら終わったでゲーム欲爆発してしまいまして……




