TGJC mission file 1:target<最強の執行官> 2
この物語はフィクションです。
暴走運転や銃撃戦、紐無しバンジーは現実では絶対にしないでください。
二千十九年 十一月十五日 日本国内 『TGJC』本部
「今日であいつが死んで二年か」
大きなソファーにだらしなく腰かけてつぶやく金髪の青年。
「死んだ仲間の話はよくないわよ、マサキ」
コーヒーを持って歩いてくるポニーテールを腰ほどにまで伸ばした少女。
「ユイカの言う通りです。マサキ。まぁ、忘れるのもよくないことですけど」
茶髪で少し幼げな少年もユイカの意見に賛同する。
「そうだよなぁ。ユウキの言うとおりだぜ。でも、あいつがいなくなって皆変わったよなぁ。仕事の計画も道具の準備もほとんどゼロがしてくれてたもんなぁ。でも、みんな悲観しないで各々が能力を伸ばす方に気持ちを持って行ってくれて本当によかったよな」
マサキは少し微笑みながらつぶやいた。
三人でソファーに座って天井を眺めていると、ドアのチャイムが鳴る。
「速達です」
「は、はい!?」
「どうかされましたか?」
「い、いえ、何でもないです。ご苦労様です」
荷物を受け取ったオレンジ色の髪の毛の少女が部屋に入ってきた。
「ん? どうしたの、アカリ?」
「ゆ、ユイカ! 大変…。これ、速達『TGJC』本部当てって…!」
それを聞いたマサキはソファーから飛び起きて。
「そ、それってまずいんかねぇか!? ここが本部だって知ってる人間は組織の奴だけ。普段の配達物及び依頼書は一旦仮本部を通して家に送られてくるんだろ? でも速達ってことはあれだよな? そういうことだよな? まさか本部がばれた!? 警戒レベル上げるか?」
慌てるマサキに反してユウキは落ち着いていた。
「でも、ただの手紙ですよね? 開けてみてもいいんじゃないでしょうか?」
「そ、そうだな。んじゃ、開けるか…?」
四人は手紙を机に置き、じっと眺める。
「んー? 四人とも何してんのー?」
ピンク色の髪の女の子が別室からやってきて、手紙を持ち上げ封を開けて読む。
直後、顔を青ざめその場で崩れた。
「ミカ!?」
ユイカはミカの元に駆け寄る。
ユウキはミカの落とした手紙を拾うと、今まで見せていた余裕の表情が一瞬にして消えた。
『The Gray Justitia Company様
十一月十六日午前一時三十分、東京中央公園に代表者一人だけが来なさい。
獅童 辰巳君こと執行官№0の現在地の情報をお教えします。』
「こ、こんなのいたずらですよね? タツミはもういないはずですよね…?」
ユウキは必死に問いかけた。
しかし、ミカこと執行官№2はあの時、狙撃中のスコープ越しに見ていた。
瓦礫の中で僅かに動いた瀕死のタツミを。
救いに行こうとして自分が向かって現場につく頃にはもうすでにタツミがいなかったことを…。
彼女だけがこの事を知っていた。
「行く価値は…あると思う」
普段ふわふわしている感じのミカの真面目な言葉にその場にいた全員が心を動かされた。
「確かに。何せ俺達が止めてもこいつだけは絶対に行くと思うぞ? なぁ、執行官№4ことユイカさん?」
「あたりまえでしょ? ゼロが死んだなんて仮定するほうがおかしいのよ。第一、死体が見つかってないのでしょう? 警察とかの現場検証人どもは爆発で跡形もなく消えたんじゃないかって言ってたけど、ゼロはそんな簡単に死ぬ男じゃないものね!」
「たしかに。なんか十歳くらいの時もあいつ数日いなくなってたもんね。あたしまじで死んじゃったかとおもって悲しんでたのに急にフラッと何事もなかったかのように帰ってきたしね」
アカリもあきれ顔でこう話した。
五人は顔を見合わせ頷いた。
「だがよ、一人って誰が行くんだ?」
「そうね、こういう場合執行官№1が行くのが普通なんだけど…ユウキはなんだかパニックになってるし、ミカには万が一に備えてスナイパーの準備しておいてほしいから…私が行くしかないのかなぁ?」
ユイカは溜息をつきながら腕を組む。
「でもさでもさ、ユイカちゃんこの前の任務中に怪我してるでしょ? もう大丈夫なの?」
ミカは心配そうな表情を見せる。
「ま、まぁ日常生活に支障はないけど最高のコンディションってわけじゃないわねぇ」
彼女の言葉を聞き、アカリに視線が集中する。
「ちょぉっとまて! なんでそこで俺じゃなくてアカリに視線が集まるんだ!? アカリはイレブンだぞ?」
マサキは盛大に突っ込みを入れる。
対してミカはまじめな顔で。
「だってマサキは能筋じゃん。もし情報を口頭で説明されたら私たちにはゼロの生死位の情報しか入ってこないでしょ?」
と答えた。
「じゃああたしが行くよ」
アカリはあっさりと受け入れ、万が一に備えて準備を始めた。
約束の時刻 東京中央公園南方二キロのビル屋上
「こちらツー。それらしき人物の影あり」
『イレブン了解』
アカリの目の前にコートを着てフードを深くかぶった男が現れた。
「君がTGJCの人かな?」
「えぇ。そうよ」
アカリは堂々と答えた。
「ふむ、私はただの使者だ詳しいことは話せない。君に雇い主の言葉をそのまま伝える。『今ゼロは返せない。協力求む。詳細はデータを確認せよ』とのことだ。そして、これが渡すように言われたUSBメモリーだ。ウイルスが入っていたりしないことは雇い主が保障するといっていた。では」
男は夜の闇へと消えていった。
「使わなくなったPCを用意しましたよ」
アカリとミカが家に帰るころにはユウキ達が機材の準備をし終えていた。
四人はアカリの無線を通して話を聞いていたのである。
ユイカがPCにUSBメモリをさし、中のファイルを確認する。
写真四枚、メモファイル一つ。
以上五個のファイルが入っていた。
ユイカはまず一番の写真を開く。
そこにはなんと、制服を着て学校の授業を受けているゼロの姿が。
しかし、彼の目には今までの様な輝きは無く、死んだ魚のようだった。
おまけに窓の外を眺め、写真を見る限り教科書等を準備してはいるものの、一切真面目に授業を受けている様子はなかった。
「なんか…変わっちまったのかな…」
マサキは少し悲しそうに声を出す。
少し悲しい雰囲気のなか、ユイカは次の写真を開く。
その瞬間皆画面から目を離す。
「オエェ」
皆一斉に嗚咽する。
それも無理はない。二枚目の写真に写っていたのは四肢は引きちぎれ、右目の目玉が飛び出している状態の人間だった。
ユイカは急いで画面を閉じる。
「こ、こんな写真をモザイクもなく出してくるなんて趣味の悪い人ね…」
アカリの言葉にユウキは。
「も、もしかしたらメモと一緒に見なきゃいけなかったのかもしれないですね…」
ユイカは写真を飛ばしてメモを開く。
『皆さま初めまして。
私は菊城彩芽。ゼロは今、私が保護者代理として保護していますゼロはあの日……
二千十七年 十一月十六日。
「タツミ君…君は死なせるには惜しい人材よ。今の日本に対抗できる唯一の組織TGJCの執行官№セロを死なせるなんてできないわ」
菊城は、タツミの体を自分の研究所に持っていき、手術をたった一人で行った。
菊城彩芽は、代々続く科学者一族、菊城家の中でも随一の頭脳と技術を持つ天才博士である。
最も彼女を世に広めたのは脳波を読み取り機械を動かす技術を応用した、骨折者などのための義手である。
表向き、医療関係の機械工学の博士となっているが、裏では新兵器を開発したりもしていた。
ある時、裏のとある事件に菊城は巻き込まれその身を追われる事となった。
彼女は自身の秘密の研究所に身を隠し世間から姿を消した。
一人寂しい生活ではあったが、研究熱心な菊城は更なる新兵器の制作に手を付けていった。
しかし、彼女の平和な生活は突如終わりを告げた。
菊城五郎、花子氏の『事故死』。
彩芽の両親は突如この世から姿を消した。
この事件がきっかけだったかのように、彩芽の肉親は次々と『事故死』していった。
耐えられなくなった彩芽は当時にもなっていなかったTGJCの事を調べ上げ、総理大臣に直接手紙を出した。
TGJCはこの手紙に対して、当時十歳だった獅童辰巳の初陣として送り出した。
しかし、TGJCについて調べ始めタツミが派遣されるまでの間にもう菊城の血を引く人間は彩芽と菊城花子の妹菊城 美弥子、美弥子の娘の香織だけになっていた。
彩芽はタツミに二人の警護をお願いしたが、残念なことに親戚が次々と死んでいくこの状況下でおかしくなってしまった美弥子は次の日森で首を吊ったしたいとして発見されることとなった。
結果、警護の依頼は取り消され、香織を彩芽の所まで無事に連れてくるという依頼になった。
彼女は香織を施設などには入れず、自分の娘として保護することを決意したのである。
タツミがカオリの家に着くと、丁度、彼女が何処かへ連れていかれる所だった。
ただ、一つ決定的なのは、施設に連れていかれるわけではないということだ。
一見、残された子を保護施設に連れていく人たちに見えるが、腰に携帯されている銃は、護身用のハンドガンではなく、SMGだった。
『むやみに飛び出せば保護対象が危ない』
と考えたタツミは人の目を盗み、車のトランクに侵入した。
しばらくして車は止まった。
耳を澄ましてもあまり音は聞こえてこなかったが男達もカオリももう車の周りにはいないことだけは分かった。
タツミはトランクを少しだけ持ち上げ辺りを見回す。
車は屋外に止めてあった。辺りに人もいなかったのでタツミはトランクから降りた。
そこは、貿易会社の利用する倉庫の立ち並ぶ浮島だった。
この浮島に続く道は一本のみ、もし犯人達に気づかれでもしたら大人数で橋を封鎖されてしまう。
タツミはサイレンサーを取り付け、倉庫の裏口に向かった。
しかし、裏口にも警備していると思われる人間が二人立っていた。
そこでタツミは壁をよじ登り、少し開いていた二階の窓から潜入した。
薄暗く、埃っぽい倉庫の下の階から男たちの声と少女のうめき声が聞こえてくる。
「おいおい、どうすんですかぁ? このガキ」
「菊城家の人間なんだろ? セメントで固めて海に落っことしてもいいんじゃないか?」
「いや、こいつは奴隷として売ろう。金になる」
「んー!」
「黙れガキ!」
男の一人が必死に抵抗するカオリを殴る。
「おい、大事な商品だぞ。傷はつけるんじゃねぇぞ」
タツミは会話を聞きながら一階へと降り、置いてあった木箱に身を隠し様子を伺う。
ハンドガンが七人。SMGが五人。アサルトライフルを持っているのが四人。合計十六人。
普通の特殊部隊でもこの状況は厳しい。
保護対象がなければグレネードを投げ込むのが得策だが、不可能だ。
タツミの現在の装備は、ハンドガン一丁、グレネード一つ、閃光手榴弾が三つ、ナイフが一本。それに菊城博士考案の超硬度防弾スーツだ。
この防弾スーツは、軽く、機能性もよい上に、弾が当たっても衝撃のみという優れものだ。
しかし、そのスーツが守ってくれているのは洋服の身に着けられる部分なのでうかつに飛び出すこともできない。
タツミは周辺の使えるものを探した。
「あれしかない……! 一か八かやってみる!」
彼は男たちの頭上に会った室内用クレーンの吊り上げるためのチェーンに向けて銃を撃つ。
クレーンはギシギシと音を立て、アームの部分を落とした。
「な、なんだ!」
騒ぐ男達の頭上に落ちてきたクレーンは、敵の数を半分ほどにしてくれた。
その後、驚き目をつぶったカオリを確認し、タツミは閃光手榴弾を投げ込む。
男たちの目をくらませた後、タツミはナイフを投げ、男の一人に突き刺した。
「あそこだ!」
男達はタツミの存在に気が付き、銃を向ける。
タツミは木箱の裏から抜け出し、数人を銃で打ち抜く。
タツミ髪を隠すために転がり込んだ物の裏には数本の釘が落ちていた。
彼はまた閃光手榴弾を投げ込み、残りの男達の脳天に釘を突き刺す。
カオリの周りにいた男達は全員、血を流して地面に倒れた。
タツミは周辺に警戒しながらカオリに近づき、口にまかれていた布を外す。
「もう大丈夫だ」
彼が少し目を離したすきに。
「危ない!」
男の一人が起き上がりさっき刺されたナイフをタツミに投げつける。
しかし、瀕死だった男の投げたナイフはタツミを逸れ、カオリの方へ。
「クソッ!」
タツミはカオリの方へ飛び出し、手を伸ばし、彼女を突き飛ばした。
「きゃっ!」
そのままタツミは腰の銃を抜き、男の脳天を打ち抜いた。
「やった!」
喜ぶカオリの前にバランスを崩したタツミが倒れこんできた。
「だ……大丈……? 手が!」
カオリを押し出したタツミの右手には、深々とナイフが刺さっていた。
「も、問題ない!」
タツミはインナーを破き、腕にきつく縛り付け止血処置をする。
「で、でも!」
「大丈夫だから……! さぁ、急いで彩芽博士のもとに行くぞ!」
カオリの手を引き倉庫から出る。
そこには既に、先ほどの奴らの仲間と思われる男達が包囲していた。
「……こりゃまずいな……」
タツミは左手で銃に手をかける。
「女は殺すな! 売り飛ばしてやる。男はハチの巣にしろ!」
タツミはカオリを抱え倉庫の扉に身を隠す。
「あいつら問答無用で銃を撃つ気だぞ? このままだとカオリまでハチの巣だぜ?」
タツミは不気味な笑みを浮かべた。
カオリは今にも泣きだしそうだ。
「こりゃ戦うより逃げた方が得策かもしれないなぁ」
タツミが銃を構え身を出そうとした瞬間、敵の銃撃が始まった。
彼の右手から垂れる血が足元に溜まっていく。
「クソ、乗り物か何かあれば逃げ出せるんだけどな」
タツミはカオリの手を引き裏手に回る。
しかし、裏口の前にさっきいた男二人が中に入ってきていた。
「ちっ、二人ならやっちまうか」
カオリを物陰に隠し、タツミは銃を構える。
「ガキが!」
男はアサルトライフルを取り出しタツミに向けて容赦なく放つ。
「おっと!」
タツミは物陰に転がり込む。
そこからタツミは銃を向け、敵の脳天に打ち込む。
二人の男が倒れるのを確認して、物陰から姿を出す。
「よし、もういいぞ、カオリ」
再度彼女の手を引き走り出す。
裏口には奴らの者かと思われる車が数台止まっていた。
タツミは窓ガラスを破り、車の鍵を開けエンジンを直結させる。
「チッ、この車マニュアルかよ……。なぁ、お前運転したこと……あるわけないか……。俺の指示に従って動かしてくれ」
タツミは左手でハンドルを握り、ギアボックスの動かし事を支持する。
車は時速百キロを超える速度で道路を爆走する。
「よし、あとはスピードを落とさずに秘密研究所まで突っ走るだけだな」
タツミはアクセルべた踏みする。
「あ、あの、よくその身長でアクセル踏めますね……じゃなかった! 右手大丈夫ですか……?」
「問題ないって言ってるだろ。それに、アクセルにその辺にあったコンクリートブロックを乗せている。ちなみに、訓練しないとできないから真似すんじゃないぞ」
「う、うん」
結局追ってもあっさりまき、研究所に帰ってきた。
「カオリちゃん!」
彩芽はカオリに抱き着いた。
「あ、あの、彩芽おばさん、この人の手が……!」
カオリはタツミの手を指さす。
「ふむ、これはまずいわね。ちょっと手術室に来なさいタツミ」
「大丈夫だって」
「いいから来なさい。ちなみに、単刀直入にいうと、その手、もう駄目よ」
「駄目って……?」
「切断だな。安心しろ、今義手の研究してるから。それに人間の腕より性能がいいぞ! お前専用に戦闘用改造もしておいてやるさ。とりあえず、麻酔して手首ぶった切るところから始めるから。着替えたら来い」
そう言って彩芽は白衣を羽織り行ってしまった。
「あ、あのごめんね……。私のせいで……」
「お前しつこいな。問題ないと言っている」
タツミは服を着替え、彩芽の後を追った。
手術は約三日に渡った。
実際義手の開発にかかった時間の方が長いが。
義手は、とても高性能なものへと仕上がっていた。
痛覚以外の感覚機能が備わっており、見た目も人間の手と一切見わけが付かないほどだった。
「博士、痛覚は無いのか」
「えぇ。あなたの手、もう骨じゃないのよ。鉄の塊なの。弾丸だって受け止められるのよ? 痛覚なんてあったら使い勝手悪いじゃない」
タツミは手首をまわしながら立ち上がる。
「金はどうすればいい。今回の報酬で足りるか?」
「そうね……本当は全然足りないんだけど……そうだ! これからTGJCに新兵器売りつけていいかしら? もちろん、お安くするわよ。それと、ここからは新規依頼の予約みたいな感じなんだが……この子、今あなたと同い年なんだけど一応中学レベルまでの勉強は私が教えようと思うの。でも、いつまでもこの薄暗い研究室で過ごすのもつらいだろうし、高校生の年齢になったらあなたの所に送りたいのよ」
「武器の件は社長に相談しておく。送りたいというのはTGJCに入れたいという事か?」
「いえ、そういう事じゃないの。あなたをボディーガードとしてあの子を外の世界に送り出したいのよ。今私の周りにいる悪は強くて大きい。彼女を守ることが出来るのは今の所タツミ君だけなんだよ……」
彩芽は少し悲しそうな顔をした。
「わかった。考えておく」
タツミは、少し溜息をつき研究所を去った。
その後しばらくしてTGJCと菊城彩芽博士の取引は始まった。
しかし、不安を煽らないようにするためタツミの腕の件は他の執行官達には秘密にすることになった。
結果、菊城博士の事もタツミ以外は知らない。
結果現在に至る。
ゼロは今、一人の学生として生活しています。
皆様には今の彼を救ってほしいのです。
続きは別の書類でお渡しします。
では、次は明後日、深夜一時に東京中央開発地域建設中ビル二十四階でお待ちしています。次は全員で来てもらって構いません』
とのことだった。
「……とりあえず信じる方向で行くか……。さっきのグロい写真はなんだったんだろう……」
マサキは顎を摩った。
「信じるしかないでしょ……。またツーはスナイパー役をやってもらおうかな」
「ユイカの頼みなら仕方ないなぁ♪」
そして明後日。
ユイカ、マサキ、ユウキ、アカリがビルに。
ミカは近くのビルでスナイパーライフルで構えていた。
『こちらタツミ。ビル二十四階にターゲットを捕捉。目標まで距離六千。問題なし』
『タツミ、わかってるわね』
『博士。安心してくれ。ガキでもプロだ。仕事はちゃんとやる』
『あなたの物理演算能力とその『目』があれば十キロ先の相手の眉間にだって簡単に弾を充てることが出来るわ。それに私特性のライフルで弾道落下も最小限に抑えているから、千メートル級の狙撃とかっては変わらない。では健闘を祈る』
『りょーかい』
タツミは工事中ビルの二十四階に照準を合わせトリガーを引いた。
狙撃もだめだからね。
手で銃弾受けようとしないでね
釘で人刺しちゃだめだよ
あと、無言で他人にグロ画像とかも送っちゃだめだよ。