TGJC mission file 5:<ミルリグロスとTGJCの教官> 1
ども
広大な敷地に作られたいくつもの訓練校舎。
ミルリグロス部隊志願者はやる気にあふれた者ばかりで、始業のチャイムが鳴る十分前には自主的に集合し整列、教官を待っていた。
皆一部隊の教官としての使命を全うする中、タツミだけはその鬼教官ぶりを隠しておらず、生徒達にきつく当たり始めていた。
「三十人か。俺の部隊に来るとはいい度胸だな。コード0がどういう事だかは分かっているな? まぁいい。何をどう努力してもお前達が俺に勝利する事なんてまずない。男二十五名、女五名の諸君。以後よろしく。私は獅童辰巳だ。何か質問はあるか?」
部隊の人間は彼の威圧に手を挙げることが出来なかった。
「そうか。ないのか。まぁいい。さて、オールラウンダーとはどういうことか。最前列の一番右。貴様名前は?」
「はっ! 朝川 隆二です! オールラウンダーとは、前衛、中衛後衛全てのポジションを担当でき、部隊の要となる人間の事であると、自分は認識しております!」
「そうか。なら認識を改めろ。いいか、オールラウンダーというのは命令を全てこなすことのできる人物の事だ。前衛、中衛、後衛というのはその一部に過ぎない。今回の教官は俺を除き十一名。この部隊は四か月間で八人以上の教官の生徒を超える成績を出せ」
列のあちらこちらから「無茶苦茶だ」だとか「無理だろ」という声が漏れる。
タツミはしびれを切らし、ハンドガンを上に向けて空撃ちする。
「黙れ! いいか? 俺の所に集まったお前たちの九十九パーセントは誰よりも弱くて情けないどうしようもないクズ共だ! 朝川の左の人間から名前と十一人の教官の得意分野を順に言っていけ!」
「はい! 月島 健と申します! コード2、稲川 美香教官! 超遠距離からの射撃と的確な後方支援を得意とする教官であります!」
「次!」
「はい! 大鳥 大樹! コード3、矢部 沙織教官! 機械工学を中心とした爆発物を得意分野とする教官であります!」
「次!」
「はい! 三波 良太! コード4、宮下 結花教官! 二丁拳銃と自身の速さで敵を翻弄させることを得意とした教官であります!」
「次!」
「はい! 大林 凛! コード5、山下 徹教官! 薬物学を得意とし、毒ガスから階毒ガスまでを生み出すことのできる教官であります!」
「次!」
「はい! 三原 栄太です! コード6、鬼崎 竜教官! 剣術を中心とした前衛を得意とする教官であります!」
「次!」
「はい! 佐藤 美亜! コード7、西原 瑞月教官! 情報収集のスペシャリストの教官であります!」
「次!」
「はい! 工藤 悠馬です! コード8、木村 正輝教官! 体格を生かした突入術と体術を得意とする教官であります!」
「次!」
「はい! 尾崎 唯人! コード9、桐生 優香教官! 投げナイフやクロスボウ等の無音武器での暗殺を得意とする教官であります!」
「次!」
「はい! 轟 健也! コード10、佐久原 裕也教官! 作戦構成及び防衛戦を得意とする教官であります!」
「次!」
「はい! 矢崎 健斗! コード11、五十嵐 朱里教官! 戦車をはじめとするあらゆる砲門を得意とする教官であります!」
「次!」
「はい! 八重原 久乃! コード12、織間 鈴教官! マシンガンなどの武器での弾幕を中間から発生させ、敵を牽制するのを得意とする教官であります!」
「そうだ! 各教官には得意分野がある。それに比べてここの三十人はなんだ? お前らみたいな優柔不断な人間は弱い! 本当なら俺の元に来る生徒は全員死ぬまで鍛えて全員殺すつもりだったが安心しろ。死んでも生かしてやる。これから四か月間、此の世の地獄を見ることになるだろう」
タツミは炎天下の中で長々と教育を始めた。
生徒達にランニングをはじめさせ、自分座ってそれを眺める。
「はぁーあ。こういう教官ってマジで苦手なんだよなぁ。しかも四か月間で部隊構築とか……。やっぱり人間の限界を引き出すにはある共通の対象への憎しみや怒りが一番最適だからこうしているしかないよなぁ。つか、俺練習メニューとかも作るの苦手だし。一週間練習見て『やる気はあるけど身体能力は追いついていない』みたいなやつ捕まえてマネージャーに抜擢するか」
志願者は、軍人などがほとんどを占めているが、数人はただの民間人が入ってきたりもしている。
つまり、拳銃以外を持った事の無い人間もいるという事だ。
約二時間後、ランニングをしていた生徒達が戻ってくる。
汗だくでゴールした瞬間、次々と膝から崩れ落ちていく。
「五分後に再開。腕立て腹筋背筋千回ずつだ」
先頭でゴールした男に次のメニューまで書かれたメモを渡した。
その間にタツミは校舎裏へと行き、また連絡を取る。
「おい小原。ミルリグロス部隊って何なんだ? ただの特殊部隊じゃないだろ。第一、そんな秘密部隊の招集で千七百人も集まるわけがない」
『まぁ、隠しておく事もないか。実はな、イギリスから第三次世界大戦時の同盟の申し出があってな。その部隊の正式名称はミルリグロス部隊日本支部隊。大戦時イギリス軍と共同で戦うことになる。つまり、彼らの上官は君達じゃなくなる。その時、しっかり使えるように訓練しておいてくれよ』
「それじゃ答えになってねぇぞ?」
『ミルリグロス部隊は君達TGJCの存在を隠すための部隊だ。次に、訓練終了次第、合格者は戸籍を抹消。いつどこでどの国の要人を暗殺できるようにできる特殊部隊だ。君達TGJCは現在あくまで日本国内での重要犯罪を取り締まるための部隊だからね』
「そんなことできるのか?」
『そして、その部隊候補生として招集された生徒達はTGJC執行官メンバー候補を外れた十五人目以上の孤児だ。大丈夫。相当な訓練を強いても壊れないタフな人間だ。昔のTGJC執行官の様だな』
「……そうだな。だが、今回は人数が多くいるからな半数以上はぶっ壊すつもりだ」
『全く、本当に君は鬼だね。今のご時世戦闘要員を確保するの大変なんだよ? それに、君にはトラウマになっていてもおかしくない過去があるじゃないか』
「黙れ。今の俺は昔の俺とは違う。守るものは守るし、敵対した人間は必ず殺す。もうあんな失態は絶対に起こさない」
『なら、実践演習の時は周囲に気を配ってやるんだな』
「いやだね。互いを守りあうのはあいつらのやることだ。教官は見ているだけでいい」
『まぁ、そこは任せるよ』
タツミは電話を切った。
校庭に戻ると生徒達が必死で筋トレをしていた。
その後の格闘訓練を見ていたタツミの目に、ひときわ目立った女生徒が映る。
八重原 久乃。
彼女は訓練初日から近接格闘、銃等々、あらゆる面において高い技術力を持っていた。
しかし、一週間の厳しい訓練を乗り越えた生徒達は急成長していく中彼女の能力はトップを走っているが成長はしていなかった。
しかし、彼女は表情の一つも変えず、だたひたすらに訓練に励んでいた。
そして、訓練開始から一週間と二日立った日の練習終わり、タツミは彼女に声をかけた。
「何でしょうか教官」
「八重原、お前はここに来る前何をしていた?」
「それは……」
「別にそれを聞いてお前を法廷に立たせるなんてことはしない。正直に話せ」
彼女は少し深呼吸した後口を開いた。
「掏りや強盗、裏格闘競技での賞金稼ぎ、違法カジノ等々……」
「その前は」
「く、クリスチャン・ウォンという男の所で軍隊に所属していました……」
「そうか。明日、訓練開始後俺の所に来い」
タツミはそう言って帰っていった。
八重原はとても不安そうな顔をしていた。
タツミが生徒に話しかけることは非常にまれだったため、自分は切られるのではないかという思考に至っていたのである。
次の日、ウォーミングアップのランニング開始と同時に八重原がタツミの元へやってくる。
「お願いします教官! わ、私ここに残りたいです! お願いします!」
彼女は深く頭を下げてタツミに懇願する。
「……は?」
「へ?」
二人は首をかしげる。
「八重原、お前は強い。が、それ以上の成長もなく困っている。そうだな?」
「は、はい! 教官、やる気なさそうに私たちの事見てるけど結構ちゃんと見てるんですね……」
「あ?」
「すいません!」
「まぁいい。単刀直入に言うとお前がこれ以上強くなることは出来ない」
「そ、そんな! も、もっときつい訓練でも耐えて見せます! お願いします!」
「別に訓練が悪いとか、体に負荷をかければとかではない。クリスチャン・ウォンの開発していたブースタードラッグは特殊なもので、服用者の筋力を本来の限界まで引き出す薬だったのさ。つまり、軍人時代に大量に投与されたお前やお前の元仲間達はその薬の効果が常に発揮させられている状態となる。つまり、お前はこれ以上の成長はできない、ということだ。そこで提案なんだが、お前俺の補佐やらないか?」
「……補佐?」
「そうだ。お前の身体能力は……えっと、なんだっけか? SJCメンバーに匹敵するほどだ。君なら問題なくこなせるだろう」
「しかしそうしたら……」
「あぁ、ミルリグロス部隊からの除隊を意味することになる。まぁお前が望むのであれば戦場にも出すし、死ぬほど仕事させてやろう」
「死ぬほど……?」
「あぁ。これから死ぬほど忙しくなるからな。人造人間に機械部隊、生物兵器に超巨大艦隊。何が出てくるか分からないからな」
「SJCって大変なんですね……」
「まぁな。俺もただただお前らに死ぬほどきつい訓練与えてそれを暇つぶしに眺めてるだけじゃないんだ。ついつい眺めすぎて事務作業が溜まりまくってるんだ」
「眺めてはいるんですね……」
タツミは笑った。
「当たり前だろ?」
「きょ、教官、一つお伺いしたいのですが、教官ってどのくらい強いんですか……?」
「さぁな。試してみるか?」
タツミはその辺に置いてあったアサルトライフルとハンドガンを投げ渡し、皆の前に出て場所を開けるように指示する。
「これって対人戦闘訓練用の銃弾がゴムの奴ですよね……?」
「実弾銃だ。周囲の奴らも気を付けろよ。流れ弾で死んじまうかもしれねぇからな」
周囲はざわつき防弾プレートで身を守る。
「さてと、時間も、弾の制限も設けないただ、お前の体力が尽きるまで俺に攻撃を続けろ、まぁ俺は相手の無力化くらい俺は触れなくてもできるから十分くらいで終わるとは思うがな」
へらへらしながら着ていたスーツの上着を脱ぎ、ワイシャツのボタンを三つ目まで外す。
手袋をはめて体を伸ばす。
「ま、まさか素手で相手する気じゃないですよね?」
「そのつもりだが?」
「そんな無茶な……!」
「まぁいい。早く来い」
八重原は覚悟を決めてアサルトライフルのトリガーをひく。
激しい音と共に無数の弾丸がタツミに向かって放たれる。
「コード、スローワールドレベルワン、リムリミッターリリースレベルワン」
着弾寸前タツミはアサルトライフルのサイトの中から消え去った。
「まぁ、頑張れ」
八重原の後ろにタツミが現れて囁く。
「な!」
彼女はタツミの方に銃口を向けてまたトリガーをひく。
しかし、またタツミはどこかへと消えていった。
「渡しておいてあれなんだが、ミニガンとかライトマシンガンの方がよかったんじゃないか?」
その直後、訓練区域全体に警報が鳴り響く。
「なんだ?」
それを聞いたミルリグロスメンバーと執行官達が集まってくる。
「何事だ?」
一番最初にたどり着いたマサキが尋ねたが、タツミも首を横に振る事しかできなかった。
次にたどり着いたサオリが簡易通信装置を手渡してくる。
『タツミ君、聞こえるか? 吉原だ。現在、所属不明航空軍隊がミルリグロス部隊演習地に向かっている。通信への侵入は不可能、攻撃の意思はまだ分からない。こちらで防衛システムを作動させる。対空迎撃は向こうに攻撃の意志ありと判断次第開始する』
その瞬間、航空軍隊の巨大戦艦から一発のみ発射され、演習場内の建物が被弾する。
「判断するまでもなかったな」
『そうだね。では対空迎撃及び防衛システム展開! どうした! なんだと! タツミ君! TGJC……いや、SJCに出動を命令する! 全航空部隊を迎撃せよ!』
「敵の総数、予想総戦力、主力砲射程距離、その他敵部隊の情報を十二人簡易通信で全員に報告、主砲一部を手動迎撃に。アカリを誘導しろ! その他は皆各々の武器を整えて迎撃を開始! 行動開始!」
普段怠けていた教官の姿に生徒達は少し動揺した。
執行官達は走って散っていく。
『なんだこれ……』
「どうした!」
タツミの問いかけに吉原は。
『きょ、巨大戦艦が二隻。まるで第二次世界大戦時の海上戦艦と形が同じだ! 羽もなく下向きのジェットエンジンが四個と後方エンジンが一個。どうやって飛行しているんだ? そんなことよりあんな巨大な戦艦二隻どこから現れやがった! 次はなんだ! 気を付けろ! 戦艦から大量の飛行デバイスらしきものを身に着けた軍隊が現れたぞ! 次はなんだ! 更に後方から小型航空戦艦が二十機だと!? そんなの、一国の軍隊を軽く超える戦力じゃないか! 全迎撃システムを最大出力で展開しろ! 急げ!』
吉原の方も相当なパニックが起こっている。
「おい生徒共、お前らは展開されたシェルターにとっとと入っていろ! コード、リムリミッターリリースレベルファイブ!」
熱によりタツミの腕はあらわになっていく。
「さて、久しぶりの本気と行こうかなぁ!」
タツミは飛行デバイスを展開していち早く上空へと飛び出した。
「警告する。今すぐママのおっぱいでも吸いに帰れ!」
しかし、その言葉に応じることなく戦艦は全砲塔を彼に向けた。
「なるほどね」
直後、タツミに向けて一斉射撃が開始された。
「通常砲弾なんて当たるわけ……!」
飛来した砲弾は超高速で飛来し着弾する。
『タツミ君! 大丈夫かい? 今の感じ、多分最新型のレールガンだと思われる。本当に、一体何が起こっているんだ!?』
「それはこっちのセリフだあほ!」
すると突如無線にノイズが入り、突如通信先が切り替わる。
『やっと割り込めた! タツミ君聞こえるー?』
「博士か? 今忙しいんだが……」
『今の君たちの状況は把握している。その航空艦隊はロシリア解放軍【レーリズ】だ。ロシリア解放軍は第三次世界大戦に乗じて旧ロシア連邦奪還を考えているそうだ。つまり、戦争後国を安定させるために日本軍の戦力を削いでおこうという考えなのかもしれないな。まぁ、レーリズの航空艦部隊は一応世界で一番強い。気を付けろ。まぁ向こうも戦艦対人間の戦闘は初めてだともうけどな』
「それ俺らに勝ち目あるのか?」
『さぁな。日本軍も出撃準備をしているらしいがいつになるか分からないらしい。あの航空艦を落とせるのは君達次第だ。ただ、気を付けたほうがいい。兵士が何人乗船しているとかいう情報が何一つとしてあらわになっていない以上内部からの破壊はまず不可能と考えていいだろう。それに、航空艦に使われている材質は今までに見たことのない物質だ。耐衝撃、耐熱に優れている可能性がある。今、補給機で貫通炸裂弾を輸送している。それまで何とか食い止めてくれ』
「まぁ、やるだけやってみるさ」
通信をしている間にも、執行官達は着々と準備を終わらせ自分の持ち場へと向かっていた。
『タツミ! 迎撃砲台は自動照準機関銃が三門、手動砲塔が一門のやつだから私は低空に来た小型機に集中するわ!』
「聞こえたなユウヤ? これからの作戦は一任する!」
『了解!』
無線機の向こうからすごい勢いで機械音が聞こえてくる。
ユウヤが考えている間にも雑魚を皆で撃退する。
『敵大体の戦力から考えるに、低空は自動迎撃システムとアカリに任せる。周囲中型艦及び小型戦艦を皆で食い止めてくれ。きっとあの大型戦艦は部隊壊滅を確認次第確実に後退していく。本作戦は撃退を持って終了とする。追撃は考えなくていい。とにかく全力で食い止めろ!』
『了解!』
全員が一斉に動き出そうとした瞬間、周辺艦隊の動きが停止し、大型艦隊が前進してくる。
「なんだ?」
一度リミッターを戻したタツミの元にマサキが上がってくる。
「さぁな。タツミはどう思う? まるで王の行進みたいだが」
その瞬間、戦艦の下部から巨大砲塔が現れエネルギー充填を始める。
砲塔内部に光が収束していき、プラズマが暴れる。
「おいおいタツミ……! ありゃやばくないか!? あの角度的に着弾予測値は演習場だぞ」
「どうもこうも砲弾を防ぐ術なんてあるわけねぇだろ! アカリ! 見えてるか!」
『見えてるわ! こっちも全力で砲塔を狙ってるんだけど雑魚の数が多すぎて砲門をまわせないの! 下の雑魚は止まってないんだから!』
上から降りてきたスズが痺れを切らして。
「あぁもう! 私があの砲門の中に乗り込んで銃をぶっ放せばいいんでしょ!」
と言って飛び出す。
「ちょっと待て!」
タツミはとっさに引き留めたがアカリは全速力で飛んで行ってしまった。
「あーなるとスズは止まらないからなぁ。マサキ、頼むわ」
「お使い頼むみたいな感覚で大砲に乗り込ませないでくれると助かるんだがな」
マサキは文句を言いつつも急いでスズを追いかける。
「おいスズ! 充填完了がいつだか分かんねぇんだから突っ込んでも勝てるわけないだろ!」
「でもほら見てくださいまし! あの戦艦の周りの空気、なんだかおかしくありませんか?」
スズが指を刺したので目を凝らしてみると、所々戦艦の模様や形が歪んで見える所が多々存在する。
「ど、どういうことだ?」
マサキは船に近づこうとしたが、無数の機関銃が放たれ、近づくどころではなかった。
「クソッ! くらえ!」
マサキが放ったアサルトライフルの弾は一部船体に当たったが、傷をつけることは出来なかったうえ、弾が所々すり抜けて飛んでいった。
「おい! 今の見たかタツミ!」」
「まるで幻術だな。どうなっていやがる」
巨大砲塔を防ぐ術を考えていると、再度彩芽から通信が入る。
『その巨大戦艦はハリボテだ! 機関銃とレールガン、巨大砲塔を搭載した中型航空機の集合体だ! タツミ君がシアム暗殺時に使った同時投影装置を覚えているかい!? あれ、実は私ともう一人の研究員が合同で作成されたものだったんだが、そいつの研究所がレーリズの襲撃を受けていたことが分かった! 戦艦が存在している事実は変わらないが、そこにいるのはただの通常艦だ!』
その言葉を聞いて攻撃を仕掛けようとしたその時、戦艦の甲板に一人の老人が姿を現す。
「ほぉ……。君達が『佐崎の遺産』と呼ばれる日本最強戦力チーム、TGJC達か」
見下ろす老人に目線を合わせてタツミは問う。
「何者だ」
「おや、これは失礼。私は【オルネリア・ウォルコット】。佐崎十三郎の暗殺を企てた張本人だよ。以後よろしく」
また




