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TGJC mission file 4:target<狩人を狩る> 2

ども。

 犯罪者総会から一週間。

 ミラ、ルイア姉妹は手詰まりらしく進捗は無いらしい。

 ジャックの嘘をすり替えるなら今しかない。

 だが、今現在揺れに揺れている政府に仕事を依頼しても直ぐに動いてくれるわけもない。

 そんなタツミのもとに彩芽が尋ねてくる。

「タツミ、突破口を見つけた。君の影武者になってくれる人物を見つけて話をつけてきた」

「誰だ? まぁ、概要だけ教えてくれ」

「東京中央病院隔離病棟で失明、四肢完全不随の少年だ」

 タツミは何かに気が付いたように彩芽の顔を見る。

「そうだ、ユウキだ。君は何が何でもユウキを守れ。仕事ではない。家族としてだ。これから、ジャックは最近事故で入院しているという話を流す。これなら嘘ではなく事実として嘘をつける」

「ま、まて、あいつはだめだ! 危険すぎる!」

「あぁ、彼はそれも承知で受けていたよ。というか、彼から名乗り出たんだ。タツミなら必ずユウキを守れるって信じているって言っていたぞ。だから、何が何でも守れ」

 タツミは少し考えて。

「わかった」

 と返事をした。


 それから数日後、シアムからミラ、ルイア姉妹が情報をつかみ、べステアが立案を始めたことの報告が届いた。

 しかし、影が見つかった所で、まだ完全に作戦が出来上がったわけではない。

 何故なら実行がタツミだからだ。

 当日は確実にガルスやシアム辺りが監視としてタツミの身辺に着けられる。

 そうなっては八方塞がりだ。

 TGJCに協力を求むのも構わないが、危険だ。

 政府が不安定なうえ、TGJCの存在がばれてしまっては収拾がつかなくなってしまう。

 ならば……。

 タツミは携帯で連絡を取る。

「仕事を依頼したい」

『よぉ、一体なんだ?』

 電話の相手はイギリス諜報員のクリス。

「クリス、事情は一通り説明した通りだ」

『また厄介な事に巻き込まれたなぁ。なぁタツミ? まあいいや。つまり、トランプ部隊が犯罪者総会の噂を聞きつけて、シアムやガルスの身辺調査をしていた結果、ジャックを殺す作戦を聞きつけた。それをこのキング様がトランプ部隊に流して動かした。ってシナリオでいいのか?』

「あぁ。頼む」

 これでシナリオは完成した。

 あとはタツミがどう立ち回るか。

 だがこれは後回しでかまわない。

 作戦が決まってから動けばいいという事だ。


 数日後、シアムから犯罪者VIPに招集がかかった。


「さて、今回集まってもらったのはべステアの作戦が完成したそうだからだ。ここからは彼にお願いしよう」

「承った」

 べステアは立ち上がり、作戦の説明を始める。

「まず、今回の作戦のフィニッシュは白髪の狩人君によるジャック殺害となる。しかし、ターゲットは東京病院の隔離病棟で寝ているそうで。だからこの作戦をわざとトランプ部隊に流す。さすればジャックを守りにエース、キング、クイーンが寄ってくるだろう。奴らもついでにやっちまえばいいのではないのかというわけだ。だから、全員で病院に突入して一気に制圧する。それ以外の作戦は無くても大丈夫だろうまぁ、一応何となくの作戦はあるがな。シアム殿、ガルス、姉妹は病院北口から。ワシと白髪キッドは南から行くとしよう」

「まぁ、それで構わないだろう。他の者も異論はないな?」

 シアムの言葉に皆頷く。

「ふむ、では今回はこれで解散としよう」

 皆立ち上がり会場を後にした。


「博士。無事に偽情報が渡ったみたいだ。後はトランプに情報が流れるのを完全に阻止してくれ」

『全く、簡単に言ってくれる。各国特殊部隊に情報が流れるのを阻止しろとか。まぁいい。やってやろう。というか、また一人で抱え込もうとしているのか? 執行官達にまた怒られちまうぞ』

「かもな。まぁそれでいい。これ以上あいつらをこっちの世界には引き込みたくない。あいつらは命令されたことをやればいい。その他の後始末は俺がやればいいんだ。もし、あいつらの仕事で裏世界がこじれて牙をむくなら、俺がその牙を根元からもぐ。そのための白髪の狩人だ。何が何でもあいつらを守る。それが二年間TGJCに姿を隠し、全ての牙をもぎ続けている。それが、力を持った人間のすることだ」

『そう。まぁ、たまには彼らを頼ってあげなさいよ』

「あぁ」

 そういって電話を切った。


 その後、タツミは今回の影、ユウキの元へと向かった。

「おや、誰かな?」

 体を起こした状態で目をつぶり首だけを病室のドアの方へと向ける。

「久しぶりだな。ユウキ」

「その声……タツミか。そっちの仕事をはうまくいっているのかい?」

「あぁ。なんとかな」

 タツミは病室の椅子をベッドの近くに引っ張り座る。

「タツミ、僕はどうすればいいと思う?」

 ユウキは少し首を傾け声のトーンを下げて相談する。

「どうする……というのは?」

「タツミ、君には本音で話してほしい。博士や他のメンバー達は『大丈夫』とか『何とかなる』という。別に僕はそれが悪いとは思っていない。しかし、君には本音を話してほしい」

 タツミは少し間を開けた後、口を開けた。

「わかった。本当のことを言おう。ユウキ、君が前線に復帰することはほとんどの確率で不可能と言えるだろう。手足を俺みたいに付け替えてもいいが、俺の様に動くには絶対に視覚は必要になる。一番最初に彩芽博士と話した案が聴覚の強化。しかし、無茶をすれば音速も超えるほどの身体能力が手に入るわけだからそれでは意味がない。つまり、眼の神経を一から新しく制作するか、光を感知して能に信号を送る装置を新たに作るしかない。まぁ手足の動かなくなった理由は根元の神経の断絶。だから取り換えるだけで済む。日常生活に支障はない程度の運動はすぐにできるようになるだろう」

「……」

「まぁ、そうだよな。俺達執行官はいわばただの兵器だ。兵器が使い物にならなくなった。という解釈が妥当だろう。だが、俺達は無機物ではない。これからの生活が不自由にならない事は約束されるだろうさ」

「情けないなぁ……」

 ユウキは閉じた目から涙を流した。

「銃弾の雨を潜り抜け、凶悪な敵と戦い死線を幾度となく切り抜けた国家兵器の最後が降ってきた瓦礫にやられたなんて……なんか情けねぇよなぁ……」

「人間なんてそんなもんだ。俺みたいに爆弾もろに食らっても生きている人間もいれば、生まれつき恵まれない人間もいる。世界は残酷なのさ。ただ、生きているのであれば生き続けなくてはならない。もし、お前が前線に復帰したいというなら俺は止めない。それでお前が死のうが俺はお前の本望だと割り切って涙の一粒も流さないで終わるだろう」

「そうだね。僕は前線に復帰したいと思っているよ。でも、不完全な体で戦いに出るほど僕は愚かな人間ではないよ。もう一度色を感じられるように願っているさ。それに、今回のタツミの事件が終わったらクローズバリアアイランドに移る予定だしね」

「そうか。まぁ今回の件は安心していい。俺が必ず防衛してやる」

「その件だけど、少し気を付けたほうがいいと思う。彩芽博士に頼んで迷彩カメラを至る所に張り付けてあるんだけど、少し偵察兵の動きがおかしい。何かあるのかもしれない」

 タツミは少し首を傾げた。

「ふむ、警戒しておこう。まぁ、悪人が他人に言う言葉なんて九割が嘘でできているから元から軽視はしていない。だが、やはりその辺の悪徳政治家なんかより厄介だな。中々ぼろを出さない」

 ユウキは少し不安そうな顔でタツミの方へ顔を傾ける。

 タツミはユウキの手を握った後、椅子をもとの場所へ戻し。

「また来る」

 と一言言って病室を出た。


「ユウキとの話は終わったのか?」

 病院正面入り口の所で待っていたかのように彩芽が話しかけてくる。

「博士……何でここに?」

 タツミは振り返らず立ち止まって話す。

「あぁ、まぁ大したことではないんだが、島の所有者が自分の島への行き方を知らないわけにはいかないだろ? ってなわけで君にクローズバリアアイランド周辺の嵐突破方法を教えておこうと思ってな。これから国家秘密空港へ行くぞ」

「確かにそうだな。だが、今俺と同じ車に乗るのはよくない。今借りてるマンションの駐車場に予備の車がある。先に向かっていてくれ。俺は歩いて帰るから」

「確かに少し臭うな。わかった。先に行っていよう」

 彩芽はタツミとは反対方向へ歩き行ってしまった。

 

 タツミは早歩きで薄暗い路地へと入り、右へ、左へと進む。

 そして、何度か曲がった後足を止めると彼の背中に小さな人影がぶつかる。

「俺を付けたいならもう少し足音、気配に気を付けろ」

 振り返り、小さな人影の被っていたフードを取る。

「だって……」

「ゆ、ユイナ……!? 何してんの!?」

 タツミは姿勢を低くし唯奈に視線を合わせる。

「だって……パパ全然帰ってこないし……最近ずっと顔怖いし……執行官さんたちも最近見ないし……」

 彼女の涙腺はもう崩壊寸前だった。

「そ、それはごめんな! ちょっと忙しくてな……。で、でも、二週間後には絶対に終わるから! そ、そうだ! 来週一緒にでかけるか! 楽しみにしていてくれよ! よし、家まで一緒に帰ろうか! うん!」

 タツミはユイナを抱え上げて歩き始める。

 

 そして、家についてから。

「あ、そうだユイナ、これからちょっと島まで行くんだけど一緒に行くか?」

「うん!」

 二人は車に乗り込み飛行場へ向かった。

 飛行場ではすでに彩芽が到着して飛行機のエンジンをかけていた。

「おや、ユイナちゃんも連れていくのかい?」

「あぁ。大丈夫だ。もしミスって墜落しそうになったらユイナだけでも死守して見せる」

「おい」

 冗談を言いながら三人で飛行機に乗り込み出発する。


 彩芽は難しいと言っていたが、タツミの技術の前では特に問題もなく無事島へとたどり着いた。

「まぁ、飛行機の操縦訓練で砲弾の中のを飛び回る訓練もしていたからな。まぁ、戦闘機での話だがな。旅客機で嵐を飛んだのは初めてだったけどな」

「確かに、タツミなら問題ないか」

 彩芽は呆れたようだった。

「よぉしユイナ、砂浜行くか?」

「うん!」

 そういって走っていく二人はまるで本物の親子の様だった。

 タツミに関しては今自分が置かれている状況を忘れたような軽い足取りだった。

 その様子を見ていた彩芽は溜息をついて呟いた。

「タツミは……色々背負いすぎなんだ……もっと肩の力を抜いていかないと……早死にするぞ……」

 その後、二人は夕方まで遊んだ後タツミはユイナを自宅まで送り、タツミは夜の街へとでかけた。


 暗い空の下で眩しく輝く町明りの道でタツミは電話をかける。

「聞き忘れていたのだが、情報の流れは止まっているのか?」

『安心しろ。何とか食い止めている。全く、時給換算一日二万四千円ほしいよ』

「ったく、仕事が終わったらそれなりに振り込んどいてやるって……」

 電話を切って再び歩き出す。

 

 色々な店や人からあふれる音。

「社長、今日はありがとうございました!」

「おにーさーん、ちょっとよってかない?」

「これからどっかいくー?」

 タツミはそれを聞いて溜息をつく。

 もし俺が普通の人間だったら……昔のタツミであったらそう考えたであろう。だが今のタツミの脳内にそういった考えはない。

 今、ユイナや執行官達が一緒にいるのはなぜか。

 そう考えると今までの人生に意味があるものの様に思えてくる。

 それに、もう普通なんて考えてはいけない。

 獅童辰巳は手を汚し過ぎた。

 もう、人間ではない。

 兵器以外の何物でもないのである。

 人格更生プログラムによる殺人を楽しいと感じる、タツミは自分自身を信じられなくなっていた。

 まだ手だけがサイボーグだった頃、タツミは自分を人間だと言い聞かせ、殺人はいけない事だと信じ感情の暴走を抑えていた。

 しかし、世界の本質に触れれば触れるほど自分が何なのかが分からなくなっていく。

 そしてついに抑えていた本当の感情が動き出し、暴走した。

 タツミの手足が完成し、目を覚ました半年後。

 感情の暴走したタツミは意識を失い感情のままに人を殺した。

『東京裏路地大量殺人事件』

 未だ犯人の分かっていないこの事件。

 起きたのは二年ほど前。

 ある日、東京の下町の裏路地で首と胴体の離れた死体が大量に表れた。

 警察の調べでは、犠牲になったのは周辺をアジトとした暴力団達であった。

 この事件の真相は、感情が暴走し自己制御を離れたタツミが無意識のまま殺したのである。

 それからタツミは彩芽と相談し、白髪の狩人という獅童辰巳を作り上げた。

 そして、暴走しそうになると同時にタブレット型のダウンドラッグを服用するようになった。

 二年経った現在は自身を制御する事もたやすくなり、ダウンドラッグの服用もなくなった。

 しかし、タツミは自己制御のため、『自分の作られた人格』を全て理解し飲み込むことを強制された。

 その結果、現在の様なテンションの起伏が激しい性格が出来上がったのである。

 ただ、人格理解の時にタツミに与えたストレスは計り知れず、殺しの前に稀に見せる楽しく狂った表情や、窮地に陥るほど顔が歪んでいくようなひねくれた性格にもなってしまった。


 タツミは夜の街のとある路地に入り、奥まった木製の建物へと入る。

「ここはガキの来るところじゃねぇよ。わかったら帰りな」

 薄暗い建物のなかにいた白髪の混じり始めるくらいの年齢の男が煙草をふかしながらタツミに対応する。

「違法な武器から薬まで何でもそろってるっつう店はここか?」

「おい。うるせぇぞガキ。ぶち殺されたいか? いやならおとなしく店を出ろ」

 男はショットガンを片手で構える。

「おっと、こりゃ失敬。俺はシアムの紹介できた者だ。白髪の狩人と言えばわかってもらえるか?」

「ふん、こりゃまた大物がきたもんだな」

 男はショットガンをしまい、カウンターに手を突く。

「おや、ご存じとは嬉しいね。早速なんだが、特注とかできないか?」

「あぁ。できるさ。で、一体何を作ってほしい」

 タツミは男に紙切れを渡す。

「これを五十個頼む。できるだけ早く」

「……えげつねぇもん思いつくもんだぜ……五十個くらいなら二日もあれば出来上がる。二日後のこの時間にまた取りに来い」

「そうか。頼んだ」

 タツミは店を後にした。

 この後も夜通しで町を歩き回り、裏店に出入りを続けた。

 

 それから四日後。

 また街をぶらぶらしていると、何者かが背後からタツミに話しかける。

「少し路地裏まで顔を貸せ」

 振り返ろうとしたタツミは背に銃口を向けられていることに気が付き、抵抗せずに男の誘導する先へと向かった。


「悪いな。俺は忙しいんだ。要件があるなら手短に済ませてくれ」

 タツミは落ち着いた様子で話す。

 しかし、男は一切口を開けることなくただ無言で銃を突きつける。

「まぁいいか。大体の見当はつく。お前、犯罪者だろ。んで、金で雇われて俺を殺そうとしている。まぁどうせ雇い主の名前は知らないってやつだろ? まぁ予想はつくが……。それと、あまり銃口ばっかりを見つめて他の所に目をやらないのは愚か者のすることだぞ」

 タツミは手を大きく振り上げ、手に握ったスプレー缶の様なものを男の顔に吹きかける。

「ぐわ!」

 男は銃を落とし顔を両手で覆う。

 タツミは落ちた銃を踏みつぶし言う。

「その液体、超高濃度の麻薬だから。まぁ強力な睡眠薬も入っているから何というか……絶頂でしびれてるみたいな感覚が味わえるぜ。まぁ、脳みそが解けるから今すぐにでも病院に行かないと……聞いてねぇか」

 タツミは男の横を素通りし夜の街へと姿をくらました。


 それから毎日のように襲い来る者を同じような方法で、対処していった。

 一週間と数日たった日、また彩芽に連絡を取る。

「博士……」

『わかっている。君の行動が少し気になったから一週間ほど前から君が出かけている時間帯の視界を覗かせてもらっていた。まぁだが、これを起こさせるために君はトランプ部隊への情報を書き換えではなく、隠蔽にしたのだろ? 大丈夫、情報の操作は任せなさい。そのためにわざわざシアムと同じ銃と奴が使う電磁パルス弾薬を五十発も作らせたのだろ?』

「あぁ。迷惑かけてばっかですまないな」

『本当に。その迷惑、執行官君達にも分けてあげろよ』

 タツミは無言で電話を切り、飛行デバイスを起動し、とある場所へと向かった。





 海辺に建ち並ぶ別荘地の一件。

 ぽつりぽつりと乾いたタイルを濡らし始め、やがて雷すらもなり始める。

「どういうことだ! 音信不通だと!? 死体もなく!? 一体何が起きている? もう何回も同じだ! 一体あのごみくず共はどこに消えやがった!」

 暗い部屋でモニターに激怒する人影。

『す、すいません【クリストフ・ジョナー】部隊長!』

「くそ! さっさと奴をぶっ殺せ!」

 机を蹴り飛ばすクリストフ。

『国家特殊機関トランプ部隊のジャックを殺せ。報酬は前科取り消しというところか? まぁ、難航しているようだがな!』

 部屋の電話が突如鳴り、音声が流れる。

 クリストフは驚きながら問う。

「な、何者だ!」

 その瞬間、別荘全てのガラス窓が弾け割れる。

「ククク……まぁ不可能だと思うがなぁ」

 雨吹き込む窓枠に座り、雷の光を背に受け不気味に笑みを浮かべる男。

「だ、誰だ!」

「ひどいなぁ……同僚の顔を忘れるなんて……」

「まさか……ジャック!」

「そうだ! 貴様の殺したい相手、ジャック様だ。どうだ? 本物の悪人を目の前にした気持ちは? なぁ、アメリカ特殊機動部隊隊長クリストフ・ジョナー? いや、トランプ部隊コードネームエースさんよぉ!」

 タツミはエースの首をつかみ壁にたたきつける。

「や、やめろ……そ、そんなことしたら……お前のせいで……戦争が……おこるぞ……!」

「あぁ! そうだろうなぁ……。お前を殺した人間の正体が分かればなぁ!」

 エースは更に壁に押し付けられる。

「いいかエース、俺は各国連合特殊部隊なんて大反対だったんだ。それに、悪と正義を見分けることもできないお前も大嫌いだ。まぁ、日本政府は元々お前らを信用していなかったのさ。何故俺がジャックという名を与えられたか知っているか? いいか? 人間誰しも裏の顔という物がある。そもそも、トランプ部隊は北アメリカ大陸特殊部隊の実力を図るために日本が設計した。つまり、トランプのジャックという事、政府が俺に渡してきた本当の立ち位置は『ジョーカー』だ。前にも言ったよな? 俺はジャックという名を好かないと。ジャックなどただの偽名に過ぎない。俺の本当の役職はジョーカー。エースとクイーンを狩る役だ」

 狂気の笑みを浮かべながら容赦なくエースの眉間に銃口を突きつける。

「そうだ、忘れていた。クリストフ、お前に会うのは最後になるからなぁ。これを言わなくちゃいけねぇ。クリストフ・ジョナー、殺人未遂の罪でTGJC執行官№ゼロが現行犯で死刑を執行する!」

「や、やめー―!」

 タツミは容赦なくトリガーを引いた。

 抵抗を失くしたエースを床に投げ捨て高笑いしながら消えていった。













 数日後、タツミは仕事前最後の招集という事でシアムに呼び出され地下にある小さな基地に姿を現した。

 鉄の匂いや金属がきしむ音などが開く部屋で、一人椅子に座っているとタツミの後頭部に銃口が押し当てられる。

「少し……君は僕たちを甘く見ていたようだね……」

 シアムの声が聞こえた直後、周囲にガルスやべステア、ミラルイア姉妹に最後の出席者、ネックカッターが姿を現した。

「まさか、君が今回のターゲット、トランプ部隊のジャックだったとはねぇ」

 シアムは少し呆れた声色で話しかけてくる。

「さぁ、何のことだか」

「一週間ほど前かな。僕たちの周りを嗅ぎまわっていたフリーの探偵がいてね。彼はトランプ部隊のエースと知り合いだっていうからさぁ、本人に直接聞いたんだよねぇ。まぁ、最初から君の行動が少し変だったのが引っかかって調べてみたけど、まさか君がジャックだったとはねぇ」

「で? 俺的にはお慈悲をかけていただけるととぉっても嬉しいんだが……」

「そうだねぇ。君は凄い犯罪者だから殺してしまうのは惜しい……だけど、僕たちが標的を変えると思う? 残念だけど君にはここでおとなしく死んでもらおうかな」

「それは残念なことで」

 タツミは大きく深呼吸して目をつぶった。

なんか終わり方が微妙な感じになってしまって申し訳ない。

切りどころが分からなくなってしまったのでございます。

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