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完璧執事の秘密  作者: hioi
第1章
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入学準備と愁い

貴族階級がありますが王権制度はありませんので現代って事で(*´ω`*)架空の国の話です。

私立皇桜学園

中高一貫校のこの学校は皇帝科、執事科、警護科からなる他に類を見ない学校である。


皇桜学園を語るには書かせないのが皇帝科である。

上流階級や財閥の令息令嬢のみに在籍をゆるされるこの国唯一の学科である。

男女で紳士コースと淑女コースに分かれ帝王学や教養、所作等人の上にたつものに必要な知識を学べる。紳士淑女に必要なダンスや乗馬などの必修科目があるのも特徴だ。子息令嬢を皇帝科に入れる事が貴族の一種のステイタスとなっている。


執事科には執事コースと侍女コースがあり、こちらも男女分かれて主にお仕えする時に必要な知識や教養を学ぶ事ができる。紅茶の淹れ方の授業からお嬢様に施す身支度やメイクなどコースごとに細かくカリキュラムが組まれている。主の一番近くで仕える執事科生徒は警護科との合同授業もあり武道や護身術も必修だ。その多岐にわたる科目の多さから外部生は極めて稀でほとんどが中等部からの進学である。

ちなみに律は中学の3年間は執事育成の本場である欧州国に留学していたため、外部生扱いになる。



警護科は男女のコース分けはないが、軍隊なみの厳しい訓練と不審者を見分ける洞察力や要人警護の連携など、警護対象者を危険にさらさぬ知識や実戦を学ぶ。その特性から将来は主に直接仕えるだけでなく、警察のSPになるものも多い。ほとんどが外部生で所謂脳筋が多いのも特徴らしい。知識面は大丈夫だろか。


より実践的に主従関係を築くため高等部からは全寮制になっていて、高等部1年の5月からは皇帝科の生徒に執事科から1名専属を決める。

奏汰と律のように家から指定される場合もあるが、他の生徒は希望の主従関係を築くため4月は校内が熾烈なアピール合戦になるらしい。


律は分厚い入学案内を読み終えた。

この学園の卒業生である父は、最初は補足説明という名の横やりをいれていたが、集中モードになった律が構ってくれなくなりいつの間にかいなくなっていた。結構な時間がたったらしい。


たいていの物は1度読めば覚えるたちだが、広大な校内の見取り図などは紙と実際とはまるで違うだろう。執事として、たとえ外部生であっても迷子になるなどもっての他だ。


律は、ふぅ~と深い息を吐き時計を見ると、陽明家の方々の夕食時だろう。

本格的に奏汰様つきの仕事をするのは明日からだが、学園での専属が決定するまで気がぬけない。

いくら家の取り決めだろうと、奏汰様とうまくいかなければクビになるかもしれない。その瞬間、律の存在意義はなくなるだろう。


律はほの暗い感情が顔を出しそうな気配を感じ、ふと思い立つ。

自由に過ごすことができるのは今日までと言われている。

律は着替えを済ませると、出会った使用人に一声かけ外に飛び出した。

律は雑念を振り払うようにジョギングに出掛けた。

(俺はもっと強くならなければならない。)



◇ ◇



「奏汰様おはようございます」

そう言って律はカーテンを開ける。


「ん……まぶしっ…………司、休みなんだから、もう少し寝かせてくれよ」

奏汰様はいつも起こしに来る司と勘違いしているらしい。


「そういう訳にはまいりませんよ。本日から入寮するために持参する品の準備に取りかからねばなりませんし、いつもどおり勉学の時間もございます。なにより寝過ぎては身体に悪いかと……」

そう言ったところで奏汰様と律はバチっと目があった。


「…………………」

「…………………」


長い沈黙のあと、いたたまれなくなり律はニコりと笑って見せた。


「はぁ?お前、誰だよ!勝手に俺の部屋に入ってくんじゃねぇ!」

「誰と言われましても、昨日ご挨拶したはずですが……」

「知らねぇし…」


(えぇえ~昨日の事も覚えてないほどこの人は寝ぼけてるのかい?それに進学の際のあれこれや俺の事も説明するって父さんも晃佑様も言ってたじゃないか!なんなの……ねぇなんなの!)


律は内心呆れたのは表に出すわけにはいかず、昨日と同じセリフを言う。

「……では改めまして、本日より奏汰様に仕えさせていただきます、如月律と申します。至らぬ点が多々あるかと存じますが、どうぞよろしくお願い致します。」

「はぁ…………」

奏汰様は苦々しい顔をしながらため息をついた。

その顔に気づかぬふりをして律は続ける

「それではお召し替えをいたしましょうか。お手伝いはいりますか?」

「いや、いい。」

「そうですか、朝食はすでに出来上がっておりますので準備ができ次第食堂までお願いします。何かございましたらお声がけください。」

そう言い部屋を後にしようとする

すると背後から

「おい!」

「はい、なんでしょうか?」

「……よろしく頼む」

奏汰は顔を背けながら聞こえるか聞こえないかの小さな声でポツリと言った。

律は思いがけない言葉に自然と笑みがこぼれる。

「よろしくお願い致します」

そう言って礼をすると扉をしめる。


(なんだよ!ツンデレかよ!)

誰もいない廊下ではニヤニヤが止まらなかった。


どうしても序盤は説明が長くなっちゃう(´・ω・`)

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