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奇跡の街



「奇跡の街?そう言っていたのねリオくん?」



レタリアの街を歩きながら、エリザがリオに問いかける



「ああ、エリザたちにいいことが起きるだろう。そう言っていたよ」



「奇跡の街って言われても特に変わったところはないように見えるけど・・・」



街並みを見渡しながらエリザが言う。



確かにエリザの言う通り、レタリアの街に何か特別なところはない。

カタルトの町に比べて道は整備されており、木造の建物が主であったカタルトと違いレンガ造りの建物がほとんどではあるが、道に並ぶ露店やすれ違う人々、これといって奇跡と呼べるようなものはない。



「奇跡など、どうせ宣伝目的の魔道か何かよ。私が暴いてあげるわ」



エリザの反対側ではアデルがない胸を張って自信満々である。

その瞳はまだ見ぬ何かに期待に満ちているように見える。






「さて、お決まりの滞在報告と行きましょうか」



しばらく道を歩くと目的の冒険者ギルドに辿り着いた。



レタリアのギルドは街の規模もあってカタルトのギルドよりも大きく綺麗なレンガ造りの建物からはどこか厳かな雰囲気も漂ってきている。



中に足を踏み入れると中には酒場が広がっていたが、皆どこか物静かだ。




奥に進み、受付の前まで来ると槍を背中に引っ提げた鎧の青年が何やら話しこんでいた。



「はい、確かに依頼の完了を確認しましたよ。ロビンさん。こちらが報酬になります。ご確認ください」



青年が受付の女性から小さな麻袋を受け取り、中を覗き込みしばらく確認した。



「確かに」



「それにしても精が出ますねロビンさん。警備兵のお仕事も大変でしょうに」



「いえ、自分はまだまだです。それでは自分は仕事がありますので」



そう告げると青年はギルドを出ていった。



「いまのは青年は?」



青年が出ていくのを確認してからリオは受付の女性に話しかけた。



「旅の方ですか?彼はロビン・レタリア。警備兵をしながらギルドで腕を磨いているとっても真面目な青年ですよ」



「レタリアっと言うと」



「はい、お察しの通り彼は町長さんの息子なのです。ところで、ご要件は何でしょうか?」



「ああ、悪い。滞在報告をお願いします」



リオはギルドカードを差し出しながら言った



受付嬢はカードを確認し、



「勇者様でしたのですね。いまギルド長に取り次ぎますのでしばらくお待ちいただけますか?」



受付嬢の対応にリオは少し面を食らったような顔をして聞いた


「驚かないのか?」



「驚いてますよ~騒いだ方がよろしかったですか?」



受付嬢はギルド長への取り次ぎをしながら答える



それを聞いてリオは少し笑みを浮べながら


「いや、必要ない」



「では、そのままお待ちください」








しばらく待っていると奥から黒いショートカットの女性が歩いてきた。

Tシャツを腰の位置で縛り、下はショートパンツという扇情的な姿をしている。



女性はリオたちを見つけると手を振りながら近づいてきた



「初めまして。私がこのギルドのギルド長、ライラ・エレメンタルだよ。」



自己紹介の後に手を差し出てきたため、リオはその手を握り返しながら答えた。



「リオ・ジャックです。こっちは娘のエリザ、サクラ、アデル、マリア」



「よろしく頼むよ。諸々は私の部屋で話そう。奥へおいで」







▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「うっし、報告業務等は確かに完了したよ。この街について何か聞きたいことがあるかい?お嬢ちゃん達でもいいよ」



滞在報告などを終え、ライラは書類をまとめながらリオに訊いた。



「では、1つ訊かせてもらいます。この街が奇跡の街と呼ばれているのは何故ですか?」



エリザがそう訊くとライラの顔が曇った。

そして、しばらくの沈黙の後にライラは口を開いた



「・・・あんなものは奇跡でも何でもないのさ」



「どういうことですか?」



そして、ライラは語り出した。



「この街で数ヶ月前、1人の少女にあることが起きたのさ。そのこと自体は別段不思議ではなかった。しかし、その少女の境遇を考えるととても不思議で恐ろしいことだったのさ。それから定期的にこの街の少女に同じ事が起こり出したんだよ」




「恐ろしいこと?それが奇跡だというのですか?」



ライラの話を遮る形でアデルが訊いた



ライラは首を振り続けた



「馬鹿げた話さ、この町の町長が起こったことを奇跡として街の宣伝材料にし始めたのさ。これが奇跡の街の馬鹿げた概要さ」



それを聞いたリオはしばらく考えると口を開いた



「その恐ろしいことって何なんだ?」



「この奇跡に合っているのは全員若い女性や少女。そして、結婚をしていなければ恋人もいない」



それを聞いてリオはある考えに辿り着いた。



そして、1つ息を飲み自分の考えを告げた。



「その少女達に起こったことは妊娠か?」



リオの言葉を聞いたエリザたちは目を見開き、リオを見つめた。

そして、視線をライラに移した。



全員の視線が集まる中、ライラは口を開いた。



「・・・処女受胎。それがこの街で起きている奇跡さ」



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