新たなる始まり
エピローグなのでめっちゃ短いですが・・・
次回から新章でまだ8割程度の構想なのでまた少し遅れます
アルン牧師との戦いから数日、ロビンは教会の跡地を訪れていた。
あの戦いで教会は瓦礫に溢れ、とても使えるような状態ではなくなっていた。
ロビンがボロボロの扉を押し、中に入ると、崩れた瓦礫の上にシャロンが腰をかけ夜空を見つめていた。
ロビンはシャロンの横に座った。
すると、シャロンは夜空を見つめたまま話し出した。
「ねぇ、ロビン。私には何が残っているのかしら?ずっと一緒だったアルン牧師は闇に飲み込まれていなくなってしまった。そして、教会もこの有様」
ロビンは黙って聞き続ける。
「あのね、ロビン。私がアルン牧師に捕らわれた時にあなたを信じてるって言ったでしょ。でもね、本当は少し怖かったんだよ。あの時の私は事実を受け入れてなかったんだと思うの。けど、アルン牧師がいなくなって少し経ったいま、もう何を信じて生きればいいか分からないの。私が私じゃなくなるみたいに」
シャロンがロビンの方を見ると彼女は一筋の涙を流した。
そんなシャロンをロビンは咄嗟に抱きしめるとこう告げた。
「だったら、僕のために生きてほしい。僕はシャロンを独りにしない。好きだよ、シャロン」
ロビンの告白を聞いたシャロンはロビンに顔を埋めしばらく泣いた後に顔をあげるとロビンに口付けをし、笑顔で言った
「私も好きです」
崩れた教会でロビンとシャロンは崩れることのない愛を誓った。
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「さて、今回の事態の報告は以上」
「まったく、ようやく終わったか」
ギルドのギルド長室で今回の事態について話し合いが終わり、呆れたように炎帝が欠伸をした。
会議にはリオと娘達、炎帝とキール、そしてロビンとシャロンが加わりライラ主催の元に行われた。
「結局、ダーマ町長も騙されていたわけだな」
「ええ、親父は今回の奇跡のことを神の子を宿す魔法や儀式と聞かされていたそうです」
「それで、町の業績悪化に悩む君のお父さんは疑問を持ちながらも奇跡として広めることにした」
「恥ずかしながら炎帝様の言う通りです。しかし、日に日に不信感を抱いた父は毎日のようにアルン牧師を問いただしていたようです」
「ある意味町長も被害者というわけですね」
「では、我々はそろそろ街を出ることにしよう。キール行くぞ」
「はい炎帝様」
「おい、ヤマト」
部屋を出ようとする炎帝をリオが呼び止める
「なんだね、勇者」
「助かった。ありがとう」
「気味が悪いよ。王都で待ってるぞ」
そう言ってキールを連れ、炎帝は部屋を出ていった。
「ロビンはこれからどうするんだい?」
ライラがロビンに聞いた
「自分は親父と一緒に街の復興に務めるつもりです。ワイバーンによる被害はそこらじゅうにありますから。それにシャロンも守っていかなきゃいけませんし」
「そうかい。ところで勇者は次はどこに向かうんだい?」
「次の目的地は決まってるんですよ。娘達に色んなものを見てもらいたいですから。次は芸術と移民の街『トーア』に」
こうして、レタリアで起きた奇跡という名の事件は幕を下ろした。
そして、この後レタリアはある親子によって脅威的な早さで復興が成され、『奇跡の街』と呼ばれるようになるがそれはまた別の話




