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元カノが コンビニで    作者: 三ツ星真言
20/25

乾杯はベッドの後で

「もう、堪忍して。死んじゃう。」

先生は何度か昇りつめた後、僕の体の上に覆いかぶさって来た。

「あれえ、先生、もう終わりですか。」

僕は意地悪く聞いてやった。

「もう、先生なんて呼ばないで。奏って呼んでよ。」

僕の右指にチュッとキスをしてくる。

どうして女は名前で呼んで欲しがるのだろう。

呼んでやるとあれほど喜ぶのだろう。

大学デビューした僕がずっと不思議に思っていることである。


「 それにしても、明君。全然、変わっちゃったのね。

髪が伸びただけではなく、男としても逞しくて強いのね。

ねえ、今、何してんの。やはり、ホスト。」

「ホストは酷いなあ。考えたことはあるけど、普通の会社員です。」

髪を肩まで伸ばすようになったら、よくホストに間違えられる。

「ふうん、そうなんだ。それで、結婚は、まだなの。」

「まだです。奏は、どうなんですか。」

一応、年上だし、先生だったので敬語は外せない。

「私、してないけどね。愛人やってたんだ。」

とんでもないことをサラリと言うところが、スゴイ。

「愛人・・・。過去形ですか。」

「 そう、私が音大出って知ってるわよね。

その音大の指導教官だった 教授よ。

そんな顔をしないで。パワハラでもセクハラでもないのよ。

私が奥さんいるのに勝手に好きになって、無理やり関係を

迫ったんだから。」

「奏に迫られて、断ることができる男性はいないだろうね。」

「まあ、お上手。あの頃の純情で真面目な優等生はどこへ行ったのかな。」

「先生のせいですよ。僕に、あんなイケナイことをするから。」

「 ウフフ、嘘でもそう言ってもらえると嬉しいわ。

その話は置いといて、・・・・・」

 先生は、急に黙り込んだ。

「 どうしたんですか。何があったんですか。」

「 彼、昨日、死んじゃったの。肺がんだって。

  煙草を一本も吸わなかったのに、皮肉よね。

  病院にはお見舞いに行けたんだけど、今日の葬式には行けなかった。

  奥さんは私と彼の関係に気づいていて、斎場の入り口で門前払いよ。

  私、彼にお別れを言うことができなかった。

  今まで愛してくれて、ありがとうって言えなかった。

  この気持ち、どうしたらよいのか・・・、わからなくて。」

  ベッドの上の僕の胸で声を出して泣きじゃくる奏の髪を優しく

 撫でてやった。

  先生は飲まずにはいられなかったのだろう。僕は、納得した。

  暫く泣いて落ち着いた奏は、顔を上げた。

「 ありがとう。優しいのね。気持ちが楽になったわ。

  ところで、明君、何故結婚してないの。

  随分、女の扱い慣れているみたいだけど、一生女遊びを続けたいの。」

「 それは酷いなあ、僕は、ジゴロではありません。結婚願望はあります。」

「へえ~、それは驚きね。」


 僕は、これも何かの縁と、元カノの光と女友達の霧子のことを語るのであった。






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