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先生の部屋で
連れて行かれた場所は、洒落たカクテルバーではなかった。
防犯設備がしっかりしているちょっとおしゃれなマンションの
先生の部屋だった。
「ちょっと先にやってて。着替えてくるから。」
先生は、リビングに僕を座らせて、ブランデーのボトルと
グラス、それとポッキーを置いて、奥へ消えた。
パシャパシャ、シャワーを浴びる音が聞こえてきた。
高校生の頃の僕とは違う。
こんなことで動揺しない。興奮もしない。
部屋をじっくり観察しながらグラスに入れたブランデーを、
口に含む。
「美味い。」
かなり高級のブランデーだ。年代物に違いない。
部屋も、ブランデーを置くにふさわしい内装と家具ばかりである。
「お待たせ。さあ、やろう。」
思った通り、素肌に白いガウンだけをを羽織った姿である。
「乾杯はしないんですか。」
「 乾杯は後、後。女に恥をかかせないで。
それに、私、君の闘う姿にいきそうになったんだから。
さあ、早く。」
僕は、奥の寝室へと誘われるのであった。




